院長ブログ

白血病とビタミンK2

2019.5.16

『白血病新薬キムリアを保険適用 1回当たりの価格は約3350万円』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190515/k10011916561000.html

「中医協では、1回当たりの薬の価格を3349万円と決めました。
厚生労働省によりますと、現在、国内で保険が適用されている薬では最も高くなるということです。
患者が医療費として払う額には上限が設けられ、超えた部分は保険料と税金などで賄われるため、専門家などからは、高額な医薬品への保険適用が相次げば、医療保険財政に影響を与えかねないと懸念も出ています」

正気の沙汰じゃない。厚労省の役人は何を考えているのか。
こんな超高額な新薬が次々に出てくれば、保険料や税金からの補填では間に合わず、いずれ公的医療保険制度の崩壊は免れないだろう。
患者団体がこのニュースを歓迎するのはわかる。
しかし保険システム自体が崩壊して困るのは、患者団体も同じはずだ。

アメリカで骨折したら、治療費に2000万円請求された、という話。
対岸の火事じゃないよ。日本でも早晩こういう状況が訪れることだろう。

なぜこんなことになるのか。
僕らが払う保険料や税金の行き先は?
そのあたりに思いをめぐらせば、誰が一人勝ちで笑っているのか、だいたい予想がつく。
超高額な薬でボロ儲けできる人たちにとって、ビタミンによる栄養療法の存在はさぞ不都合なことだろう。ビタミンで治ってもらっては、せっかくの金ヅルを逃してしまうから。そこで彼らは、ビタミンの副作用を誇張して不安を煽り徹底的に弾圧し、効きもしない薬の「有効性」を示す論文を捏造し、影響力のある医者に金を掴ませて薬の宣伝をさせる。
多くの医者も、そういう影響下にあって、薬屋の片棒を担いでいる。大学教育自体が製薬会社の支配下にあって、医学生は大学6年を通じて、教育という名の洗脳を受ける。
こういう具合だから、本当に人を救う医療は、なかなか表に出てこない。

白血病に対して、国家予算を圧迫しかねないほど超高額な治療薬しかないかというと全然そんなことなくて、安価なビタミンで治ってしまう、という報告はすでに1990年代からある。
たとえばこんな論文。
『ビタミンK2およびその派生物が白血病細胞のアポトーシス(細胞の自死)を誘導し、オールトランスレチノイン酸の効果を高める』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9177427
おおまかな内容は、
・ビタミンK2とビタミンAの合わせ技がそれぞれ単剤で投与するときより効く。
・ビタミンK1はどの白血病細胞にもまったく効かなかった(だから、Kを飲むならK2でないと意味がないよ)。
・K2はこの研究ではMK3、MK4、MK5を使ったけど、どれも効いた。

『ビタミンK2と1α25ジヒドロキシビタミンD3の併用による白血病治療は、細胞質p21CIP1の誘導によるアポトーシス抵抗性を伴う単球分化を促進する』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16142303
ビタミンK2とビタミンD3を一緒に使うことで、白血病や骨髄異形成症候(MDS;造血幹細胞がアポトーシスを起こして、白血球、赤血球、血小板が減少する病気)によく効く、という話。
癌細胞というのは、要するに、細胞の成熟能力が損なわれている。
細胞が何らかの機能に特化して、組織の一部になることを「分化」というんだけど、それができなくなっているわけだ。
ただ、分化のできなさには程度があって、本当に全然できないものを特に、未分化癌という。これはすぐにあちこちに転移や浸潤して、非常に悪性度が高い癌として恐れられている。
逆に、分化度が高い癌ほど、悪性度としては低いと言える。
ビタミンK2は白血病細胞に対して、分化するかアポトーシスするかの二択を迫ることで治療効果を発揮するというのがこの研究の要点だ。

症例報告(“Vitamin K2 and the Calcium Paradox” Kate Bleue著の135ページより)
・骨髄異形成症候群の80歳女性に対して、K2(MK4で)を1日45mg経口で投与を開始した。14か月後、症状は軽快し、白血球数が改善したため、輸血が必要なくなった。
・急性白血病の診断を受けている72歳女性に対して標準治療(化学療法)を行い、症状は寛解したが、8か月後に再発した。
ビタミンK2(MK4として)を経口で1日20mg投与開始したところ、2か月後には癌細胞が完全に消失した。骨髄の生検にて寛解が確認された。
・前白血病状態が白血病に進行した65歳男性に対して、MK4を1日90mg経口で投与を開始した。6週間で異常細胞が有意に減少し、正常細胞が増加した。
10か月後には服用量を半分にしたが特に悪影響はなく、その後も標準的な化学療法なしに健康を維持できている。

東京オリンピックでメダルを期待されている池江璃花子氏が白血病を発症した、というニュースがしばらく前に流れたが、その後池江さんはどうしているのだろう。
化学療法には副作用が多いし、寛解(症状の消失)ではなく本当の治癒が得られるかどうか、個人的には疑問に思っている。
若い女性でもあるのだから、まずは副作用の可能性の少ないビタミンK2(D3、Aも併用)による治療をするべきだ(ビタミンで完治すれば、こんなめっけものはないでしょ)。
それで効果がなければ、化学療法を試せばいい。それからでも遅くないだろう。
しかしまぁ、もう化学療法をやっちゃってる可能性が高いだろうなぁ。

栄養と知能~講演会2

2019.5.8

保護者からの質問
・間食や夜食について、どうしても体に悪いお菓子になりがちなので、チョコなどどのくらいまでならいいですか。
また、おすすめの間食や夜食があれば教えてください。

カカオ100%のチョコって食べたことありますか?あれ、食べた人はわかると思うんですけど、全然おいしくないでしょ。
チョコレートのおいしさって、砂糖のおいしさなんだなって、逆にわかりますよね。
お菓子のチョイスとしては、チョコレートというのはベターだとは思います。
同じ砂糖の含有量のお菓子でも、チョコレートのほうが、まんじゅうとかケーキとかより虫歯になりにくい、っていう研究があります。
この理由としては、カカオに含まれているCBH(カカオ豆の殻成分)には抗菌作用があること、カカオ由来のマグネシウムなどの微量ミネラルの効果、カカオに含まれるテオブロミンの抗酸化作用など、いくつかの要因があります。
ただ、カカオの苦みと調和するだけの甘みをつけるために、大量の砂糖が使われているわけですから、チョコをどのくらいまでなら食べていい、とは言えません。
精製した白砂糖の理想の摂取量は、ゼロです。とらないのであれば、それに越したことはありません。
間食や夜食でおすすめということであれば、ナッツや、ジャコのような小魚をつまんでいればいい。
でも一番のおすすめは、夜食を必要とするような勉強スタイルをやめることです。夜には、遅くても10時には寝ましょう。
深夜まで勉強しているというのは、いかにも「勉強している」感があって、本人はそのこと自体に悦に入っていたり、はた目にはいかにも頑張っているように見えますけど、単に日中の勉強能率が悪いだけ、ということがけっこう多いです。
日中の能率を高めることを考えましょう。

・魚料理をあまり作らないのですが、何か学習に影響はありますか。

今日の講演にからめて言うと、魚をよく食べる原住民は多いです。
ポリネシアの原住民は魚、カニ、タコを上手に捕まえます。エスキモーにとって鮭は不可欠な食材です。
ただ、魚を食べない原住民もいます。
山岳民族とか、アフリカの内陸部に暮らす部族では、魚を食べません。というか、現代のように輸送・冷却保存の技術がない時代には、魚を食べる機会がありませんでした。
でもそういう部族も、しっかり健康を保っています。
そういう意味で、魚が健康に必須である、とは言えません。
ただ、やはり今日皆さんに紹介したように、「少なくとも週に一回魚を食べる子供はそうでない子供と比べて7歳時点でのIQが有意に高い」ということが研究で分かっています。
せっかく島国に住んでいて、良質な魚が手に入る環境にいるのですから、魚を食べないのはもったいない、とは思います。
なぜ魚料理をあまり作らないのですか。直接伺いたいところですが、何か理由があるのだと思います。魚をさばくのが苦手だ、とか。
「魚、特に遠海を泳ぐ大型魚(マグロ、太刀魚、さわらなど)には水銀が高濃度に含まれているから、子供の知能に悪影響がある」との懸念から、魚を控えている人がいるかもしれません。
これについては、後の論文で否定されています。
『魚由来の水銀は子供のIQを低下させない」(Joel Scwartz 2006)
魚をさばくのが苦手でないのであれば、遠慮なく魚を食べてください。

・ケトン食で頭脳のパフォーマンスを高める、という考え方についてはどのように思われますか。

これについては、学者の見解は割れています。
肯定的な研究としては、
『ケトン食は認知機能を高め、海馬とは別に前頭前皮質に生化学的効果がある』(A.Hernandez et al 2018)
『ケトン食は自閉症マウスの腸内細菌叢を改善する』(C.Newell et al 2016)
などがあります。一方、逆に否定的な研究としては、
『ケトン食はビオチン欠乏を引き起こす』(M.Yuasa et al 2013)
とか、他にもセンテナリアン(百寿者)や沖縄長寿者の研究では「長寿者ほど炭水化物をよく摂っている」というデータがあります。

個人的には、健康な子供に厳格な糖質制限をやらせるのは行き過ぎじゃないかなと思います。
砂糖菓子は論外として、「小麦は控える、お米はオッケー」、ぐらいのスタンスでいいんじゃないでしょうか。
というのは、患者の話を聞いていると、厳しい糖質制限をして、「最初は調子がいいけど、長期的にはあんまりよくない」、っていう人が多い印象です。
日本人の腸内細菌には、乳酸菌とか米のでんぷん質が好物の菌がいて、これが体に有用なビタミン(ビオチンなど)を作ってくれているようです。厳しい糖質制限をして、肌がガサガサになったのは、腸内細菌叢の変化によるビオチン産生の低下が関係している可能性があります。

・テストや入試などの前にとる食事のおすすめを教えてください。

記念日にこだわる人っているでしょ。特に女性で。誕生日とかクリスマスとか。
個人的には、僕そういうのイヤなんですね。
イヤっていうのは、僕が相手にやってあげることは問題ないんだけど、相手が記念日だけ大事にして、その他、何でもない364日をおろそかにするのは、どうなのかなっていう。
「今日は特別な日だから、特別上等な栄養肥料をあげよう」ではなく、毎日水をかえてあげるほうが、植物も喜ぶと思いませんか。
スペシャルな日に何かをしてあげる、ではない。何でもない毎日のなかで、コツコツと小さな愛情を注いであげる。
本当の成長は、そのようにしてもたらされると思います。
子供の食事には、そういう気の配り方をしましょう。
具体的にどのように食事に配慮してあげればいいか、そのヒントは今日の話のなかにあったと思います。参考にしてください。

何を食べるべきで、何を食べるべきでないか。
今日はいろいろとお話ししてきました。
今日の話、ちょっと重いのは、お母さんがもし、甘いものが大好きだった場合ですね。
子供って、親が言うことよりも親がすることを見て学ぶものですから、お母さんが口先では「甘いものはダメ」って言って、自分はムシャムシャ食べてたら、子供は「何だそれ」って思いますよね。
だから、今日の話って、重いと思います。
食事を変えるというのは、子供に食べさせるものを変えるだけじゃありません。
お母さんも含め、家族全員が変わることを求められます。きっと大変なことだと思います。
でもそれだけの価値は十二分にあります。
食べ物が変わると、体が変わります。
体が変わると、心が変わります。
心が変わると、人生が変わります。
「成績アップ」とか「IQアップ」とか、せこい話です。
そんな小さなことじゃない。人生が変わるんです。食べ物を変えるのは、それぐらいの大きな話です。
今日の話を参考に、ちょっとずつ変えてみてください。得るものはきっと大きいですよ。

栄養と知能~講演会1

2019.5.8

浜学園という塾がある。有名中学校への進学率の高さでもって鳴る塾で、関西では知らない人はいない。
たとえば灘中学校の定員は180人で、例年浜学園出身者が90人前後を占める。去年度に至っては102人と、過去最高の合格者数を記録した。
灘中生の半分は浜学園を経由しているわけで、驚異的な進学実績だ。
灘に合格するということは、そこらへんの私立中学に合格するということとはずいぶん意味が違う。
12歳時点では日本のトップレベルの頭のよさだといえるし、そのまま順調に成長すれば、国の科学技術や行政司法の中枢を担うエリートになる可能性も高い。

もっとも、蛇足ながら付け加えておくと、浜学園の全員が灘に行くようなエリートの卵かというと、そうではないけどね^^;
パッとしない成績の子ももちろんいる。
でも総じて、どの保護者さんも教育熱心で、子供の将来に強い期待をかけて、この塾に通わせている。

大変名誉なことに、縁あって小医がこの塾の保護者相手に、『栄養と知能』をテーマに講演することになった。
そして今、講演を無事終了し、自分のクリニックに帰ってきて、こうやって久々のブログの記事を書いている。
今回僕が話してきたことは簡単で、一行に要約できる。
「僕らの体は、食べたものからなる」
これだけ。
この単純な事実を、様々な科学的データをもとに、いろいろな表現で、手を変え品を変え、お伝えしてきた。

まず、ウェストン・プライス博士の『食生活と身体の退化』を紹介した。
原住民がいかに見事な歯をしていたか。それが、西洋文明の影響を受け、精製した砂糖や加工食品を食べるようになったせいで、あっという間に虫歯だらけになった。
プライスの残した写真には、圧倒的な説得力がある。「現代の食事には、何らかの間違いがある」ということを、見る者に雄弁に語りかける。
そして、食事の変化によって失われたのは、すばらしい歯だけではない。
彼らの健やかな肉体は病気がちになり、穏やかな性格は神経質になった。かつての平和だった村には、病人と犯罪が急増した。
逆の事例も示した。すっかり損なわれた健康も、食事の改善によって回復できること、また、栄養の改善が知能の向上に好影響を与えることを、プライスの臨床症例をもとに示した。

ルース・ハレル博士の研究を紹介した。
「知的障害児16人(IQ=17~70)にサプリ(8種類のミネラルと11種類のビタミン)あるいはプラセボを8か月にわたり投与した二重盲検。
最初の前半4カ月でサプリ投与群は平均IQで5.0~9.6の上昇を示した。
4カ月経過時点で、プラセボ群にもサプリを投与したところ、後半終了時には同群で平均IQが少なくとも10.2上昇していた。
前半・後半を通じてサプリ投与を受けた群では、後半4カ月でさらにIQが上昇していた。
知的障害児のなかにはダウン症児が4人いたが、うち3人でIQが10~25上昇した。
また、被験者のなかには、IQの向上のみならず、視力の回復や成長率の増加が見られた者もあった」
この研究を示し、なぜ効いたのか、その理由として、遺伝栄養性疾患(genetotrophic disease)の概念について説明した。

ビタミンがビタミンとしての活性を発揮するためには活性型になる必要があるけど、そこには酵素の働きが関与していることが多い。
そして酵素の働きは、遺伝の影響を強く受ける。
たとえばお酒を飲めない人は、アルコール分解酵素の働きが弱い人だ。
ある種の薬剤に対して少量で著効する人もいれば、大量に投与しても反応しない人もいる。ここにも酵素の働きの違いが関わっている。
ある種の栄養素(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸など)に関して、酵素の働きが弱いため、正常な代謝のためにはその栄養素が多めに必要なのに、その供給が少ないせいで欠乏症をきたす。
これが遺伝栄養性疾患だ。
そして、ハレル博士の研究が示唆しているのは、知的障害は遺伝栄養性疾患ではないか、ということだ。
「サプリでIQが上昇する」
教育熱心なお母さんには、なかなか聞き捨てならないセリフだろう^^

サプリが成果を挙げた事例として、アメリカの刑務所で行われた研究を紹介した。
サプリの投与によって、刑務所の受刑者の反社会的行動(ケンカ、暴力など)が減少するかどうかを2週間にわたって調べた研究。
サプリ投与群ではプラセボ投与群に比べて、規律違反が35.1%減少した。
この研究を、学級崩壊や家庭内不和とからめて話した。
学級崩壊に対しては、問題児のカウンセリングを行うなど、話し合いによってその問題児の気持ちを理解しよう、というアプローチがとられるのが一般的だろう。
しかし成果は上がっているのだろうか?
カウンセリングがムダとは言わないけど、本質ではないと個人的には思う。
栄養面からのアプローチこそ、問題の核心を突く唯一の方法ではないか。
健康な食事をして、心身ともに満ち足りた人が、授業中にバカみたいに騒ぐというのは、考えにくいはずだ。

以前この院長ブログでも紹介した、ご飯食とパン食のどちらがよいのかを調べた研究『健康な小児における朝の主食のタイプが灰白質および認知機能に影響する』(Y.Taki et al 2010)を紹介した。
朝食にご飯を食べる子供では、パン食の子供に比べて、灰白質比が大きくIQも高かった、というのが概要だ。
その原因として論文の著者は、GI(グリセミック指数)の違いを挙げている。
ご飯はパンよりもGIが低いため血糖値の変動を起こしにくく、そのために認知機能に好影響を与えているのではないか、というのが著者の考えだ。
しかしそれだけではないのではないか、と僕は指摘した。
大手メーカーが製造するパンの原材料を見てみるといい。砂糖、ブドウ糖果糖液糖、植物油脂など、体に好ましくない成分が多く入っている。
精製した小麦だけでなく、過剰な糖質を摂取することになり、そのために代謝プロセスでビタミンB群が失われる。
ミトコンドリアでのエネルギー産生は、大幅に低下することになる。
つまり、パンは栄養になるどころか、マイナス栄養ではないか。
あともう一つ、朝食にパンを出すかご飯を出すか、というところに、お母さんの子供に対する姿勢が表れていることを指摘した。
朝食にご飯を炊くということは、それだけでは済まない。おかずを作らないといけない。「白米だけ食っとけ」ってテーブルに置かれたら、きついよね^^;
でもパンの場合は、目の前にパンだけ置かれて、「焼いてジャムつけて食っとけ」で案外成立してしまう。
つまり、毎日子供にご飯を炊いているお母さんというのは、おかずを作る手間をも惜しまないお母さんだ。
こういうお母さんは、食事面だけしっかりしているのではなく、他の面でも子育てに熱心な可能性が高い。
逆に、食事で手を抜くお母さんというのは、食事面でだけテキトーなのではなく、他の面でも子供に無関心な可能性が高い。
こういうお母さんの姿勢が、子供のIQに影響しているのではないか。

最後に、「頭を良くするもの、悪くするもの」をエビデンスを交えつつ紹介した。
頭を良くするものとしては、ビタミンD3、オメガ3系脂肪酸、ヨード、フォスフォチジルセリン、有機ゲルマニウム、イチョウを挙げた。
頭を悪くするものとして、フッ素、有害金属(鉛、水銀、ヒ素など)、人工甘味料(アスパルテーム等)、トランス脂肪酸を挙げた。

1時間の講演にしては盛り沢山の内容で、最後は駆け足になってしまった。
保護者から事前に頂いていた質問にも、答える時間がなかった。
稿を改めて、保護者からの質問に答えることにしよう。

ビタミンD3と冬眠

2019.4.17

植物は日光により光合成を行い、エネルギーを産生する。
動物はそうした植物を食べて、エネルギーを得る。いわば、間接的に太陽の恵みを食べている、という格好だ。
では動物にとって、日光には直接的な意味がないのか、といえば、全然そんなことはない。
人間を含め哺乳類も鳥類も爬虫類も両生類も、皆、直接的に太陽の恩恵にあずかっている。
その機序の一つは、ビタミンD3を介したものだ。

ビタミンD3は別名「日光ビタミン」とも言われるように、日の光に当たった皮膚で(ケモノでは体毛でも)生成される。
もう少し詳しくいうと、日光曝露によりコレステロールが7-デヒドロコレステロールに転換され、これが肝臓と腎臓で代謝を受けて、活性型のビタミンD3になる。
だから肝臓や腎臓の調子が悪いと活性型ビタミンD3の産生が障害される可能性があるんだけど、今はそういう難しいことはいい。
とりあえず、「お日さんを浴びた肌でビタミンD3が作られる」と理解しておこう。

生化学的には、D3はビタミンというよりはむしろホルモンだ。
コレステロールを材料にして生成されるプロセスが他のホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、コルチゾールなど)と共通しているし、分子式もよく似ている。
細胞の核にある核内受容体に作用して遺伝子発現に影響するところもホルモンと同じ。
そのあたりを踏まえれば、D3は「日光ホルモン」と呼んだほうが適切かもしれない。

病気との関連で言えば、血中D3濃度の低下と相関が見られる病気は多い。
多すぎて、ほとんどすべての病気ではないかと思えるほどだ。
あえて列挙すると、、、
代謝疾患(高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症、痛風、メタボリック症候群、頭痛、めまい、低血糖症、性腺機能低下症)
精神疾患(うつ病、統合失調症、双極性障害、強迫性障害、自閉症、学習障害、過食症、アルコール依存症)
消化器疾患(胃炎、胃潰瘍、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎)
呼吸器疾患(風邪、ぜんそく、結核、COPD)
筋骨格疾患(関節炎、ガングリオン、子供の成長痛、骨痛、足底筋膜炎、くる病、骨軟化症、骨棘、骨粗鬆症)
循環器疾患(心不全、心肥大、脳卒中、静脈瘤)
腎・泌尿器疾患(腎臓病、尿失禁)
皮膚疾患(水虫、爪水虫、ニキビ、フケ、乾癬、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、日焼け、皮下嚢胞、古傷)
眼疾患(黄斑変性、近視・遠視、緑内障)
免疫系疾患(アレルギー、リウマチ、SLE、強皮症、1型糖尿病)
神経疾患(パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、認知症)
産婦人科系疾患(月経前症候群、早産・死産、子癇、妊娠糖尿病)
その他、虫歯、各種の癌(特に前立腺癌、乳癌、直腸癌、白血病、膵臓癌など)、各種の感染症

ビタミンD3の欠乏と上記の病気がどのように関連しているのか。
この関連性を説明する仮説がある。以下に紹介しよう。

生命が発生してン十億年。生物は太陽の恩恵を巧みに利用する形で進化してきた。
だから、日光が生存に悪影響を及ぼすことは、本来あまりないはずなんだ(皮膚癌のリスクは煽られすぎだと思う)。
むしろ生物にとっての課題は、日光の乏しさに対していかに対処していくか、ということだった。
夏はいい。あふれる太陽と萌える緑。豊富な木の実や果実。
生い茂る植物を草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べる。
長時間にわたり惜しみなく注ぐ日光と豊富な食材が、生存を保証してくれている。
しかし冬になると、どうなるか。
短い日照時間と厳しい寒さで、植物は育たない。捕食行動をしようにも、そもそも食糧が存在しない。
困った。食えなくては、死んでしまう。どうすればいいだろうか。
そこで彼らは、冬眠という方法を編み出した。
厳しい冬の間は、下手に動くのは得策ではない。また温かい春が来るまで、いっそ眠り通してやろう。
クマ、リス、ハリネズミ、ハムスター、コウモリ、蛇、とかげ、亀、カエル、ワニ、フナ、メダカ、かぶとむし、てんとう虫など、多くの生物がこの戦略を採用した。
そして見事、厳しい冬を乗り切ることに成功した。

ところで、人間はどうだろうか。
温暖な赤道近辺に安住することをよしとせず、高緯度地域へ北上あるいは南下していった人間は、冬の寒さをどのように乗り切ったのだろうか。
ホモ・サピエンス(頭のいい人)を自称する人間である。動物の毛皮を着て、家を作り、火を使うなど、万物の霊長として、知恵を使って冬をしのいできた。
しかし人間も動物である。冬眠という越冬手段は、人間もあえてその気になれば、できなくもなかった。
たとえばこんな報告がある。
https://uk.reuters.com/article/uk-sweden-snow/swedish-man-survives-for-months-in-snowed-in-car-idUKTRE81H0JX20120218
(冬の二か月間、飲まず食わずのまま低体温(約31度)状態で過ごした男性)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6197339.stm
(23日間飲まず食わずのまま低体温(約22度)状態で過ごした男性)
人間も他の動物と違わず、ある種の条件下では冬眠状態になることで急場をしのぐ。そういう本能がいまだに残っているようなんだ。
活動状態と冬眠状態、その切り替えを促すものは何だろう。
そのスイッチの一つこそ、日光ホルモン、ビタミンD3ではないか、という説がある。

夏、豊富な日光のもとでは、血中のD3濃度は高い。
D3は体にメッセージを送っている。
「食べ物はそこらへんにいくらでもあるよ」「夜は短く、昼は長い。日中は活動的に行きましょう」
だから、代謝が活発になる。エネルギーの消費モードだ。飢えを恐れる必要がないから、食欲はそんなにない。
一方、冬になるにつれて、日照時間が減少する。同時に、皮膚で合成されるビタミンD3が減少する。
これが、冬の到来を知らせるある種のシグナルになる。
「もうすぐ飢えと寒さの季節が来るよ」「エネルギーの無駄遣いは厳禁だ」「しっかり食べて、脂肪を蓄えておけ」
代謝を極力落とし、体を休眠へ誘う。エネルギーの節約モードだ。
食欲が亢進して、同時に活動量も低下することで、能率よく脂肪がたまる。

この「冬眠仮説」によって、上記に挙げたD3低下との関連が指摘されている疾患のほとんどがクリアに説明できる。
たとえば、うつ病というのは冬眠そのものだ。
D3低下は「活動量を下げろ。ムダにエネルギーを使うな」という警告なんだから、無気力で何をする気も起きず、ずっとウトウト布団で過ごしているというのは、実に合目的的な行動だと言える。

高脂血症は皮下脂肪のみならず、血中の脂質をも高めておこうとする反応だし、糖尿病も血中にグルコースとしてエネルギーを蓄えておこうとする反応だ。
また、血中のグルコースが高いこと、および血圧が高いことは、寒さから身を守るための適応でもある。
「水溶液の濃度が濃いほど、圧力が高いほど、凝固点が低下する」というのは理科の授業で習っただろう。
冬眠中に血液が凍っては一大事だから、高血糖、高血圧は、厳しい冬をしのぐための理にかなっている(そういえば、車のラジエーターの不凍液はエチレングリコールで、なめると甘いらしい)。

関節炎は冬に増悪することが多い。
D3低下による炎症(および痛み)の悪化は、「狩猟のために遠出なんてしてる場合じゃないぞ、家でじっとしておけ」というメッセージだ。
不必要に過剰な行動への牽制になり、エネルギーの消耗を防ぐことができる。

風邪が夏より冬に多いのはなぜか。
一般的な答えとしては、「空気が乾燥しているから」ということになっている。
そういう側面もあるかもしれないが、D3濃度の低下の影響は無視できないはずだ。
免疫賦活作用のあるD3が低下しているわけだから風邪をひきやすくなるのは当然だし、また、疲労感などの身体症状のため、活動量が低下する。
やはり、「家で寝とけ」ということだ。

ここまで説明すれば、D3のサプリメントがなぜ過食症やアルコール依存症(広義の『糖質欲求亢進症』)を改善する一助になるのか、もうお分かりだろう。
過食症の患者で、タンパク質(肉や魚)をドカ食いする人を見たことがない。例外なく、炭水化物(特に糖質)をむさぼり食っている。
D3不足が「冬が来るぞ。しっかり栄養を蓄えろ」というメッセージを送っているのだから、その声に従って、能率よく体重を増やせるものを食べているのだ。

僕がD3を勧めたある患者が、言っていた。
「先生、ビタミンD、すごい効いてます。食欲が落ちました。でもまったく食べれない、っていうわけじゃないです。ただ、自然と、『もういいかな』って感じになります。
あと、びっくりしたのが、私、昔左膝を痛めたことがあって、それ以来、走ることができなくなってたんだけど、その痛みがビタミンDを飲みだして数日で、不思議と消えました。
ビタミンDを始める以外他に何もしてないから、きっとこの効果だと思うんです」
その通り。D3には古傷を修復する作用もある。
これも「冬眠仮説」で説明がつく。
D3低下状態において、体は周囲を「冬」だと認識して、エネルギー節約モードになっている。そういう状態でケガをするとどうなるか。
組織の損傷に対して、完全に治癒させようとはしない。とりあえず、生存していくのに差し支えのない程度の突貫工事で、状況をやりくりしようとする。
食糧事情の切迫した冬なんだから、不測の事態に備えてエネルギーをケチらないといけない。根本からの修復は、またあたたかい季節が来てからで(血中D3濃度が上がってからで)いいだろう。
体はそういうふうに考えている。
しかし実際にあたたかい季節が来ても、現代日本に生きる若年女性はほとんど全員が「太陽はお肌の大敵」だと思っていて、日光に極力当たるまいとする。結果、血中D3濃度は「冬」のまま。それで古傷が延々治らない。
ところがD3を摂り始めたことで、ようやくこの患者に「春」が来た。
体もようやく重い腰を上げ、古傷の治療を開始し始めた、というわけだ。

傷がきれいに治らず、色素沈着してあとが残る、という人はいませんか?
そういう人の体は、乏しいD3濃度のせいで「冬」の節約モードにあるのかもしれない。
最近の医学は紫外線によるシミ、しわ、皮膚癌の危険性を言い過ぎる。
この説を真に受けて、太陽を悪魔のごとく忌避し、日焼け止めを塗りまくっている女性は多い。そのせいで血中D3濃度が低下して、女性たちは様々な病気にかかりやすくなっている。
皮膚科医の罪はとてつもなく大きいと思う。

D3をサプリとして摂るなら、どれくらい摂ればいいのか。
一般に言われる推奨量、600 IU程度でいいのか。もっと摂るべきか。
脂溶性ビタミンで摂り過ぎはよくないというが、大丈夫か。

長い文章になってしまった。
また後日に稿を改めます。

参考”The Miraculous Results of Vitamin D3″(Jeff Bowles著)

ビタミンD

2019.4.7

温かくなって、いい季節になってきた。
温かいことで、医学的にどんなメリットがあるか?
温かいから、薄着で外を歩くことができる。薄着だから皮膚の露出部分が多い分、日光によく当たる。日光が当たると、皮膚でビタミンDが生合成される。
ビタミンDはほとんど「万病に効く薬」と言ってしまいたいほど、心身にプラスの効果がある。

精神的には、抗うつ作用がある。冬季うつなんかは、ビタミンD欠乏性うつと呼ぶべきで、ビタミンD補充がテキメンに効く。一般の精神科ではルーチンで抗うつ薬が処方されているけど、ベターチョイスがなおざりにされているのは(というか医者がビタミンDにまったく目を向けていないのは)、悲しいことだね。
さらに、血中ビタミンD濃度の高い人ではアルツハイマー病になりにくい、というのが疫学の示すところだ。

骨の病気(骨粗鬆症、くる病、骨軟化症)にも効くから、若い女子諸君は紫外線を恐れるあまりに日光を過剰に避けるのはよくないよ。
シミはあるけど骨がタフで頭もしっかりしているおばあちゃんと、美肌だけど骨折で寝たきりで認知症のおばあちゃん、どっちになりたいですか。「綺麗になれたそれだけで命さえもいらないわ」ってテレサ・テンが歌ってるけど、常識的には、まず、キレイさよりも健康でしょう笑。
若いときに運動部で頑張っていた人は、高齢になっても骨粗鬆症になりにくいことが分かっている。運動による機械的刺激で骨がタフになったということもあるし、成長期の大事な時期にしっかり日光を受けることで、ビタミンDの生合成が促進され、骨が強くなっている。その貯金(貯骨)のおかげで、高齢になっても骨粗鬆症になりにくいわけだ。
ビタミンDが不足すると、副甲状腺機能が活性化し骨の脱灰が促進され、骨粗鬆症が進展する、という機序もある。

「サーファーに花粉症なし」という格言がある。
「夏にサーフィンするんだけど、その時期だけは花粉症が治る。食べ物とか特に気を使ってるわけじゃない。いつも通り、コンビニ弁当とかジャンクフードばっかり。でもなぜか、この時期だけは調子がいい」こういうサーファーがたくさんいる。
このメカニズムは?
海辺の強い日差しを浴びて、血中のビタミンD濃度が高まる。さらに、海水に含まれているミネラル(特にマグネシウム)が経皮吸収される。
ビタミンD、マグネシウム、いずれにも抗アレルギー作用がある。
マグネシウムが欠乏すると、IgE、炎症性サイトカイン、ヒスタミンが増加することが分かっている。いずれもアレルギーに関係するマーカーだ。
(『皮膚アレルギーにおけるマグネシウム』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17928798)
日照量と自己免疫疾患(1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、SLEなど)の関係性についてのエビデンスは膨大で、ここにも当然ビタミンDが関与している。でも膠原病内科の医者で、患者にリウマトレックスじゃなくてビタミンDを投与している人を僕は見たことがない。これも悲しい現実だね。

1型糖尿病は免疫疾患だけど、2型糖尿病はどちらかというと生活習慣病だ。でも、2型糖尿病にもビタミンDが効く可能性が示唆されている。つまり、疫学では、血中ビタミンD濃度と2型糖尿病発症率の間に逆相関が見られた。

ビタミンDには抗癌作用がある。日光曝露量が少ないこと、血中ビタミンD濃度が低いことが、大腸癌と乳癌のリスク因子であることが分かっているし、逆に、ビタミンDのサプリを予防的に服用することで癌の発症率が低下する可能性がある。

腸内細菌の研究から、「腸脳相関」ということが言われ始めて、最近ではさらに、「腸脳皮膚相関」を唱える先生もいる。確かに、発生的には脳と皮膚はいずれも外胚葉由来。いわば共通のご先祖を持つ器官で、無関係ではない。
うつ病やアルツハイマー病というのは脳神経系の疾患で、それにビタミンDが効くということは、皮膚疾患にも効果があるのではないか、というのは理にかなった推測で、その通り。実際、アトピー性皮膚炎への有効性が示唆されている。
(『ビタミンD濃度とアトピー性皮膚炎に対するビタミンDサプリの効果』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30284328)
腸内に無数の細菌がいるように、皮膚にも無数の常在菌がいる。腸が荒れると皮膚が荒れるように、腸と皮膚の相関は確かにあるだろう。皮膚の免疫異常のアトピー性皮膚炎にビタミンDが有効だということは、腸の免疫異常(クローン病など)にビタミンDが有効だということも、やはり筋が通っている。
(『ビタミンDと炎症性腸疾患』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21419280)

「ほう、ビタミンDというのはそんなにいいのか。じゃ、ひとつ、自分も飲み始めようか」と思う人は、とりあえず5000 IUあたりから始めるといい。
何らかの不調があってその治療目的で飲む人は、症状次第だけど、25000 IUとかそれ以上の高用量を飲むのもありだけど、同時にマグネシウムとビタミンK2の服用を忘れないこと。
以下に関連論文を訳しておこう。
『ビタミンD欠乏時のマグネシウム補充』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28471760
要約
背景:ビタミンDとマグネシウムは医学で最も研究の進んでいるテーマのひとつであり、人間の健康および疾病に強く関わっている。多くの成人はビタミンD、マグネシウムともに欠乏しているが、医療従事者はそのことを認識していない。
課題:マグネシウムとビタミンDは体内のすべての臓器で利用されているため、不足するといくつかの慢性疾患を発症する可能性がある。栄養と病気の関連についての研究には互いに矛盾したものもあり、仮に栄養を充分に補充しても病状が回復しない可能性もある。サプリの使用は、現時点では、治療というよりもあくまで予防にすぎないと思われる。
データソース:ビタミンDとマグネシウムと各種疾患との関係性についての文献をPubMedで検索した。
結果:中年患者におけるビタミンDとマグネシウムの補充療法は、 非脊椎骨折、全死亡率、アルツハイマー病発症率を減少させた。
結論:一般的に血中ビタミンD濃度の正常値とされている範囲の下限値は、病気の予防にはまったくもって不十分である。疫学調査によると、世界中の全成人の75%が血中25(OH)D濃度が30 ng/mL以下である。近年、ビタミンD不足を意識する人が増えているため、ビタミンDをサプリで補うことが一般的になってきているが、マグネシウム欠乏はいまだ放置されたままである。慢性的なマグネシウム欠乏をスクリーニングで見つけることが難しい。なぜなら、一般的に正常とされている血中濃度だとしても、実際には中程度から重度のマグネシウム欠乏である可能性を否定できないからだ。現在、ヒトにおける体内の全マグネシウム量を正確に評価する計測法は存在しない。マグネシウムはビタミンDの代謝に必須であり、ビタミンDを高用量で摂取すると重度のマグネシウム欠乏を引き起こすことがある。ビタミンD投与による治療を行う際には、充分量のマグネシウムをも併せて補うことが重要である。

2019.4.7

母が死んで、当然悲しかったわけだけど、なぜ悲しいかといって、母がどこにもいなくなってしまったからだ。
晩年は癌で、実家のリビングにずっといた。僕は県外で働いていたけど、「もし実家に帰れば、いつもの定位置にいるだろう」と想像することができたし、実際帰省すると、そこにいた。
しかし、いまや、母はそこにいない。そこどころか、世界中のどこにもいない。
僕にはこれが不思議だった。バカなことを言っていると思われるかもしれないけど、「人が死んだら、いなくなる」ということが、何だか妙に不思議だった。そして、息がつまるように悲しかった。
存在が、消滅する。
これが死ということか。
途方もなく重い気持ちになって、でも泣いたってどうにもならない。ただひたすら、悲しい。
でもしばらくして、僕は悲しさから解放された。母が、いなくなると同時に、あらゆるところにいるように思ったからだ。町ですれ違う誰とも知らない女のなかに、目の前にいる女性患者のなかに、抱く女のなかに、母の面影を感じるようになった。
もちろん言葉には出さない。ただ黙って、感じている。
大きな一枚鏡が割れて、その小さな破片が世界中のあちこちに散らばったようだ。
鏡の破片に女性性のきらめきが一瞬映り込んで、そこに僕は、母の姿を見出す。
どこにもいなくなるということは、あらゆるところに存在するということだ。
死という虚無が、普遍に通じているということを、母の死を経て強く感じるようになった。ゼロと無限大がほとんど隣り合わせだということは、ちょっとした発見だった。

当直の仕事をしていて、死亡確認をするときがある。
心停止、呼吸停止、瞳孔反射の消失。
死の三兆を確認した。時計を見る。
「午後11時47分、死亡を確認しました」とご家族に伝える。
はたからは堂々と振舞っているように見えるだろうけど、こっちはけっこう緊張している。
慣れない。慣れてはいけない、とも思う。
まだ亡くなって間もないときだと、聴診器を当てているときに体温を感じることがある。心臓も呼吸も確かに止まっているけど、まだぬくもりがある人を、「死亡」と宣言するのはなかなか勇気がいることだ。
こういうとき、やっぱり理論が役に立つ。「僕が判断するんじゃない。理論が判断しているんだ。心臓と呼吸が止まり、瞳孔反射がない状態が死の定義であって、体温の有無は生死の基準と無関係だ」と自分に言い聞かせる。
個人的には、死の兆候が最も早く、最も特徴的に現れるのは、目ではないかと思う。
死ぬと、全身の循環が止まる。目も例外ではなくて、生きている人では常に涙液が産生されていて、目の乾燥を防いでいる。だから、死亡確認のために目を開けるとき、亡くなっている人の目は、乾燥でニチャッとする。涙液の産生が止まっているから、すでに目にうるおいがないのだ。
瞳孔反射の消失、対光反射の消失、角膜表面の乾燥など、目が与えてくれる情報は多い。「死人に口なし」かもしれないが、「死者の目は口ほどにものを言う」というのも真理だと思う。
あと、さりげなく鼻を触ると、すでに冷たいことも判断の一助になる。末梢だから冷たくなるのが早いからだ。

90代の女性の死亡を確認し、ご家族に死を告げた。
60代くらいの息子さんが、「あはー!」と大きな声をあげた。僕は最初、それを笑い声だと思った。それぐらい突拍子もない声だった。しかし声をあげると同時に、母の亡骸に抱きついて、ものすごい勢いで泣き始めた。
僕はその様子をそばでじっと見ていた。見ているうちに、僕も泣きそうになった。
母が死んだときのことを思い出した。僕もこの人と同じように、母の遺体に抱きついて泣いたから。
男はみんな知っていることだけど、女性諸君は知っていますか。30代だろうが60代だろうが、男はいくつになってもマザコンみたいなもので、大事な母ちゃんが亡くなったら、こんなふうに泣くんだよ。

ビタミンCと食欲

2019.4.6

「いやぁ、先生、この前50gのビタミンC点滴を受けたんだけどね。受けた直後は、特に何もなかった。
でもその日の夕食のとき、普段はけっこう少食なほうなんだけど、食欲がすごくてね。いつもより多く食べれた。
あれはきっとビタミンCの効果だと思うんだけど、そういうこと、ある?」

壊血病(ビタミンC不足の成れの果て)になると、食欲不振になることは昔から知られていた。拒食症とビタミンC不足の関係も指摘されている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27502755

ビタミンCが食欲に作用する、というのはあり得ることだ。
ひとつの機序として、まずビタミンCは免疫系に作用する。
具体的には、血中ビタミンC濃度の上昇に伴って、白血球の遊走能、貪食能が高まる。
file:///C:/Users/user/Downloads/nutrients-09-01211-v2.pdf
いわば、体の中の掃除屋が活性化する格好だ。
不健康な細胞にアポトーシスを起こして体の中からご退場頂くなど、いわゆるデトックが促される。
こうして異化(組織を壊すこと)が亢進すると、同時に同化(組織を作ること)も亢進する。
スクラップ・アンド・ビルド(破壊と再生)は、町の工事現場で起こっているだけではなく、僕らの体の中でも起こっているのだ。
新たにビルドするには、新たな材料が必要になる。こうして食欲が亢進するわけだ。

「ということは、ビタミンCをとれば食欲が亢進して太ってしまう、ということか」と思われるかもしれない。
しかし矛盾するようだけど、以下のような論文がある。
『非喫煙者の成人において、血中ビタミンC濃度は体格指数(BMI)とウェストサイズと逆相関の関係にあるが、血中アディポネクチン濃度とは相関がない』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17585027
タイトルが内容を簡潔に示している。要するに、血中ビタミンC濃度が高いほど、スリムな体型をしているということだ。
アディポネクチンというのは脂肪から分泌される生理活性物質。インスリン感受性に関わっていて抗糖尿病作用があるが、奇妙な振る舞いをする。つまりアディポネクチンは、血中グルコース濃度の低いとき(空腹時)には食欲を抑制し、高いとき(満腹時)には食欲を亢進させる。同じ物質が、状況次第で真逆の働きをするわけだ。さらに奇妙なことに、アディポネクチンは脂肪から分泌されるのにもかかわらず、肥満の人では分泌量が少ない。
http://www.jichi.ac.jp/openlab/newsletter/h56_spletter.pdf
体感としてちょっとわかるのは、空腹感もある程度時間が経つと慣れてくるし、逆に、飲み会なんかで延々ダラダラと食べ続けることもできたりする。
臨床的には、拒食症患者の6、7割は過食症も併発する。
こういう背景には、アディポネクチンの両義的な性質が関与しているのかもしれない。

もうひとつのメカニズムとして、糖代謝が関与している可能性がある。
https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/60/5/735/4732022?redirectedFrom=PDF
『血糖値の正常な成人にビタミンCを大量投与すると、グルコース負荷に対するインスリン分泌が遅延する』という論文。
要約
アスコルビン酸の大量投与が経口グルコース負荷試験(OGTT)後のグルコース代謝およびインスリン分泌にどのような影響を与えるかは知られていない。
プラセボ対照二重盲検によって、血糖値の正常な健康な被験者(22±1歳)に、最初の2週間をウォッシュアウト期間として全員にプラセボを服用させ、その後の2週間、アスコルビン酸(1日あたり2g)あるいはプラセボを服用させた。そして一晩絶食させた後、OGTTを行った。
この4週間の研究を、クロスオーバー方式(実薬群とプラセボ群で、投与薬を入れ替えること)で再び繰り返した。
結果、食後1時間後の血糖値は、ビタミンC服用群がプラセボ群に比べて有意に上昇していた。
血中インスリン分泌曲線は、ビタミンC服用群ではベースラインよりも右方移動していた。血中インスリン濃度は、食後30分では有意に減少していたが、食後2時間では有意に増加していた。血糖値の正常な成人において、血中アスコルビン酸濃度が高いと、グルコース負荷に対するインスリン分泌が遅くなり、そのことで食後の高血糖が延長する、というのがこのデータの意味するところである。
なぜこのような影響が見られるのか。グルコースが膵臓のβ細胞に輸送される際に、血中を循環するアスコルビン酸濃度が高いと、グルコース輸送の競合的抑制が起こることが機序の一端であると考えられる。

ビタミンCとグルコースの分子式を見比べると、とてもよく似ている。


細胞が内部にグルコースを取り込むところ、血中に大量のビタミンC(グルコースと似て非なるもの)があると、グルコース代謝やインスリン分泌に影響が出るということだ。
食欲には他にもグレリン(食欲亢進ホルモン)やレプチン(食欲抑制ホルモン)が関わっていて、現状、研究はまだまだ発展途上で、食欲の全貌解明には時間がかかるだろう。

抗肥満薬とビタミンC

2019.4.5

毎日筋トレをしているけど、ステロイドを使おうなんて全然思わない。
でも筋トレをしているアメリカ人で、ナチュラルにこだわる人はむしろ少数派だ。
彼ら、簡単にストロイドに手を出す。「そのほうが能率がいいじゃないか」と。確かにそれはそうなんだけどね。
アメリカ人って、すごく頭のいい知的エリートもいれば、即物的でテキトーな人もいて、両極端な印象だ。移民とその子孫の国だから、本当、あの国は十人十色だな。
「テキトー派」は、簡単に薬を使う。気分が低ければ抗うつ薬や抗不安薬を使うし、眠れなければ睡眠薬を使う。こういう人たちが製薬会社の売り上げを支える上得意になっている。
知的に低いせいか、あるいは単純に副作用に無知なのか。
あるいは、国民性によるものか。善かれ悪しかれ、プラグマティズムが思考の根っこにあって、そのせいで薬に抵抗感がないのかもしれない。

たとえば、肥満を薬で治そう、っていう発想がすごい。
これは日本からはなかなか出ないアイデアだろう。生活習慣(食事、運動)を改善すれば治るし、それしかないって思ってるから。
日本で使える抗肥満薬としては、マジンドールとセチリスタットがある。
いつも思うんだけど、マジンドールってすごい名前だな^^;
ノバルティスの作った薬だけど、副作用(依存性、肺高血圧など)のために本家の欧米では販売中止になっていて、先進国で堂々と承認されてるのは日本くらい。
セチリスタットは日本で販売されてるけど保険収載されていない。買うなら自費、ということだ。オルリスタットという同じような薬があって、欧米ではこれが販売されている。
抗肥満薬の開発は1970年代に始まって、いろんな薬が現れては副作用のために消えていった。
たとえば、かつてフェンフルラミンという薬があった。食欲を見事に抑えてくれるということで、アメリカで一大ブームとなった。1973年に承認されてから20年以上にわたって、何百万人ものアメリカ人がこの薬を使った。しかし、肺高血圧や心臓弁の異常を引き起こすことが分かり、1997年に販売中止になった。
「危険な薬が市場から撤廃された。よかったよかった」で話は終わらない。
2002年にはフェンフルラミンを含むダイエット用健康食品で死亡事故が起こった。
フェンフルラミンと甲状腺ホルモンが入っていたという。フェンフルラミンで食欲を抑え甲状腺ホルモンで代謝をアップさせるという合わせ技を狙った商品で、確かにやせ薬としては効きそうだ。でも、やせるよりも先に死んじゃったら悲しいよね^^;
フェンフルラミンは、正規の販売ルートが閉ざされた今でも、「健康リスクをとってでも、何としてもやせたい」という人から根強い需要があって、ネット上でこっそりやりとりされていたりする。

『食欲低下薬とビタミンC:モルモットの食欲と脳中アスコルビン酸の役割』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7319724
要約
モルモットに食欲低下薬(フェンフルラミン、マジンドール、ジエチルプロピオン)を毎日投与する。その際、ビタミンCのサプリと一緒に投与する場合としない場合で、食欲や脳中アスコルビン酸濃度にどのような影響が見られるかを調べた。24日間の実験で、その期間中モルモットに与えるエサはビタミンCを含まないものである。
モルモットは壊血病を発症し、食欲低下薬の投与で食事摂取量が減少した。ただし、フェンフルラミン投与群やマジンドール投与群ではジエチルプロピオン投与群ほどの大きな減少は見られなかった。ビタミンCサプリの同時投与によって、これらの薬の食欲低下作用が有意に抑制された。
壊血病をきたしたモルモットの脳中アスコルビン酸濃度は、フェンフルラミン投与によって有意に減少した。しかしマジンドールやジエチルプロピオンの投与は、そのような減少を起こさなかった。
ビタミンCを投与すれば脳中アスコルビン酸濃度が上昇するのが普通だが、3種類いずれの食欲低下薬の投与によっても、この上昇が阻害された。
ジエチルプロピオンおよびマジンドールによって引き起こされる拒食状態において、脳中のアスコルビン酸濃度が代謝の調整に関与していると考えられるが、フェンフルラミンの投与ではそうではないと思われる。

「肥満は万病のもとだから、抗肥満薬を飲んででも肥満を解消すべし」というのが、抗肥満薬を処方する大義名分なんだけど、上記の実験によると、抗肥満薬とビタミンCの相性は悪いようだ。ビタミンCを飲んでいると薬の食欲低下作用が減少したということだから、抗肥満薬を飲んでる意味がなくなってしまう。
この結論を素直に読めば、「だから抗肥満薬を飲む人は、薬の効きをよくするため、ビタミンCの摂取を極力控えましょう」ということになりかねない。でも直感的には、こんな結論、間違っている。
抗肥満薬の服用によって脳内のビタミンC濃度の上昇が抑制された、というのも恐ろしい。脳内のビタミンC濃度は、血中ビタミンC濃度の10倍高い。脳はそれだけ大量のビタミンCを必要とするということだ。
そして脳内にビタミンCを取り込むのは、グルコース・トランスポーターだということがわかっている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9389750
ビタミンC、グルコース、食欲。
三者の間に相互作用があるに違いないのに、食欲低下だけをターゲットにしぼって投薬治療を行っては、そのバランスが崩れてしまう。このあたりが対症療法の限界ということだろう。

精神疾患とゲルマニウム

2019.4.2

栄養療法の実践者は、ビタミンやミネラルについて一通り精通しているものだけど、自分の臨床経験を通じて、特に思い入れの深いビタミンがあるものだ。
たとえばポーリングはビタミンCのすばらしさを実感していたし、ホッファーはナイアシンに強い愛着を持っていた。
自分がその有効性を科学的に実証し、多くの患者の命を救い、彼ら自身その栄養素の効果を実感していたのだから、それだけの思い入れを抱くのも当然だろう。
最近、Sandra Goodman博士の”Germanium The health and life enhancer”という本を読んだ。
この著者の「押し」はゲルマニウムだ。
著者はゲルマニウムが様々な疾患に効くことを知り、その有効性に魅了された。本の中で、その効果を絶賛している。
上記の本から、ゲルマニウムと精神疾患についての記述を、一部引用しよう。

「精神疾患は、単一の原因により引き起こされる単独の病態というわけではない。遺伝、生化学、栄養、心理など、様々な原因に由来する体全体の不調、それが精神症状として現れたのが精神疾患である。
だから、この病態に対するアプローチは、全身のバランスを回復させることを意図して、多方面から取り組んでいく必要がある。すべての精神疾患に対して、劇的に改善する奥義や裏技があるわけではないのだ。
最近数十年の研究によると、様々な精神障害(たとえばうつ病や統合失調症など)において、生化学と栄養が関与していることが明らかになっている。
たとえば、体内の過剰な銅(原因は銅の水道管、銅の調理器具、経口避妊薬、ビタミンC・B3不足など)は幻覚や妄想の原因となる。
また、多くのうつ病や統合失調症の患者は、亜鉛やビタミンB6が欠乏しており、ひどい頭痛、神経疲労、光や音への過敏といった多くの症状がある。
自閉症の子供に亜鉛やビタミンB6を投与すると非常に改善し、ついでにニキビ、発疹、ヘルペスまで一緒に治ってしまった、なんて話もある。
ある種の統合失調症のタイプとして、脳アレルギーを原因とするものは、メチオニン、カルシウム、亜鉛、マンガン、ビタミンB6、ビタミンCで改善する。
気分障害は、一般的な食物(小麦など)に対するアレルギーや、血糖値のアンバランスに対するアレルギーによって引き起こされることがある。こうしたアレルギーは栄養面の改善によって緩和することができる。
多くの破壊行動や衝動的な粗暴行為は、その背景に栄養的・生化学的な側面がある可能性がある。
有機ゲルマニウムは、慢性的な精神病、うつ病、てんかんなどの治療に成果を上げており、浅井研究クリニックによると以下のような改善例がある。

(1)統合失調症の診断を受けた15歳女児。自閉症の傾向が出現し、あらゆるものに対して不信を感じ始め、学校にも行かなくなった。
有機ゲルマニウムの摂取を開始して1か月後、月経痛が消失し、表情が明るくなり、性格も快活になった。1年後には、再び学校に通えるようになった。
(2)虫垂切除術後にうつ病を発症した27歳女性。目はうつろで、急に涙を流すこともあった。有機ゲルマニウムを1日80mg摂取し始めてから2日以内に、どんよりした目つきが消え機敏な目が戻った。2日後には表情が普通に戻り、言葉がほとんど普通に話せるようになった。10日後には大学の入試試験を受けた。25日後、治療を中止。その後7年経過するも、症状の再発はない。
(3)二度目のうつ病にかかった38歳男性。目はうつろで、話すことさえできなかった。トフラニール(抗うつ薬)を服用していた。有機ゲルマニウム100㎎を1日2回摂取し始めて1週間後、目が明るくなった。しかし、「まだいまいち気力がわかなくて」とこぼした。トフラニールの用量を半減した。2週間後彼の表情はほぼ正常に戻り、1か月後には職場復帰を果たした。その後ほぼ1年、有機ゲルマニウムの摂取を続けた。3年間、症状の再発は見られていない。
(4)58歳女性。半年おきに消長を繰り返すうつ病をわずらっていた。最初の3か月ほど一定のうつ状態が続き、それから徐々に増悪し、ついには自殺未遂を起こすほどに症状が悪化するのだった。有機ゲルマニウム10㎎を1日2回摂り始めてから2,3日すると、持病の不眠症が消えた。やがて、うつ病の症状もほぼ消失した。その後3年間、有機ゲルマニウムの摂取を続けた。それから8年が経過したが、症状の再発はない。
(5)30年来のうつ病の既往のある69歳女性。病状は冬になると悪化する季節性のものだった。有機ゲルマニウム70㎎を1日2回摂り始めた。3年服用を続けた。うつ病の症状がまったくないため、有機ゲルマニウムの摂取を中止した。
白内障の手術を受けた後、またうつ病の症状がぶり返した。およそ5か月後、有機ゲルマニウムの摂取を再開した。症状はすぐに改善した。寝ている途中で覚醒することもなくなり、よく眠れるようになった。今も体調良好である。

有機ゲルマニウムが、なぜこんなにも効くのか。その生理学的・生化学的メカニズムは十分には分かっていない。
しかし、有機ゲルマニウムの特性を調べることで、なぜ精神疾患に効くのか、その理由を推測することは可能である。
(1)まず第一に(そしてこれが最も大きな理由だが)、有機ゲルマニウムによる酸素充足作用である。生命にとって酸素が必要なのはもちろんだが、脳細胞にとって特に不可欠である。脳はたった3分間酸素供給が途絶えるだけで、死滅する。だから、有機ゲルマニウムが精神疾患の治療に大きな成果を上げている最大の理由は、有機ゲルマニウムによる脳への酸素供給の増加によるものだろう。
(2)また、有機ゲルマニウムは強力な抗酸化物質でもある。このおかげで、有害なフリーラジカルが無毒化され、結果、脂質膜の過酸化によるダメージを防ぎ、血液の性状を健康に保つことができる。つまり、毒物の除去に加えて、こうした血液の浄化作用によって、多くのいわゆる「メンタル」面の不調が改善すると考えられる。
(3)さらに、有機ゲルマニウムには重金属(水銀、カドミウムなど)を捕捉、排出する働きがある。こうした重金属には神経系への毒性が知られているが、有機ゲルマニウムはこれらの重金属の排出を促すことで、精神疾患を改善させているものと考えられる。
(4)有機ゲルマニウムによるもう一つの大きな効果として、免疫賦活作用がある。免疫系は、各臓器やホルモンが複雑に絡み合って成立している。有機ゲルマニウムは体の自然免疫を刺激し、そのことで免疫機能の向上(インターフェロン、NK細胞、マクロファージ、サプレッサーT細胞などは全身の生化学的・神経化学的物質に大きな影響を与える)が起こる。
有機ゲルマニウムによる治療効果は根本的な生命力を高めることにあるため、精神症状を来す自己免疫疾患(たとえば全身性エリテマトーデス、あるいはAIDSも)の治療にも有効である。ホルモン状態および免疫機能の改善は、患者の精神状態に確かにプラスの影響を与えるだろう。
有機ゲルマニウムの代謝、生化学、そして体への必須性については、今後もっと研究されなくてはならないだろう。有機ゲルマニウム自身の栄養特性やその他の栄養素との組み合わせについて、精神疾患にどのように影響するのかの研究が進めば、有機ゲルマニウムの治療効果がもっと明らかになるはずだ。」

漢方薬がなぜ体にいいのか?
有機ゲルマニウムの合成に世界で初めて成功した浅井一彦先生によると、この問いに対する答えは、「ゲルマニウムを含んでいるから」だ。
朝鮮人参、クコの実、さるのこしかけなどにゲルマニウムの含有量が多かったという。
一般のオーソモレキュラー栄養療法が、有機ゲルマニウムを治療に積極的に取り入れていないのが不思議だ。
個人的には、方法論にとらわれる必要なんてなくて、とにかく「患者をさっさと治したもん勝ち」だと思っている。
だから、このゲルマニウムのように有効性が明らかになっているものに関して、僕はすぐに治療に取り入れる。
方法論に対する義理堅さ、なんて何の自慢にもならなくて、患者の利益こそがプライオリティなんだから、こういう「節操のなさ」は大事だと思うんだよね。

令和

2019.4.1

レーワ、という年号を初めて聞いて、「何かカッコよくていいんじゃない?」というのが第一印象。
「令和元年生まれ」とか、何かしぶい感じがする。
しかしネットのライブ中継を一緒に見ていた看護師の第一声は、「何か冷たい感じがする」。
確かに、霊話とも聞こえるし、レイから「冷」をイメージしなくもない。
零和と考えれば、ゼロサムゲーム、取ったり取られたり(だけど全体的な収支はトントン)、平成時代に続き令和時代も経済戦争が続くのだな、という感じもする。
「1話、2話じゃない。0話なのだ」と考えれば、これから語られる物語の新たな序幕、だという雰囲気もある。
でもこんなふうに、言葉の感じをいじくりまわして吟味するのは最初のうちだけで、そのうちすっかりなじんで、別段何も感じなくなるのだと思う。
いままで平成が何ら違和感なくフィットしていたみたいに、令和もなじむに違いない。

今頃、お役所は行政文書の書式の改変に大忙しだろう。
たとえば僕の仕事に関係している分野でいうと、死亡診断書。
死亡者の生年月日の欄が、西暦じゃなくて元号を使っているから、明治、大正、昭和、平成に続き、令和を書き加えないといけない。
死亡するのは高齢者ばかりじゃない。令和生まれの新生児が亡くなった場合に、「令和」の項目がないと困ってしまうからだ。
しかしこういう手間が敬遠されて、この改元を期に、そもそも元号を使うこと自体が、すっかり廃れてしまう可能性があるな。
めんどくさいから、いっそ西暦で統一してしまおう、というのはあり得る話だと思う。

個人的には、西暦一色じゃなくて、和暦も共存して欲しいな。
時代をまとめて語るときに、元号があったほうが便利だと思う。
「将棋界、昭和は大山、平成は羽生の時代だった」「野球界、昭和は長嶋、平成はイチローの時代だった」
みたいに、ざっくりした時代区分の呼称として、元号は使い勝手がいい。
「これだから平成生まれのゆとりは、、、」みたいにディスるときにも便利だし笑

小学校二年生、8歳のときに平成を迎えた。
そして今、38歳。
平成の30年は、僕という人間の形成期で、青春時代そのものだった。
5月1日に即位する徳仁親王は現在59歳。
新天皇が日本人の平均寿命まで生きるとすれば、令和は20年以上は続くはずだから、僕にとって令和は中年から初老を過ごす時代ということになりそうだ。
いい時代になるといいなぁ。