院長ブログ

タバコ3

2019.9.27

古代インドの神話。
人間が悪に堕落したことを危惧して、自然界(動物界、植物界、鉱物界)の神々が会合の場を持った。
動物界を代表して、クマが言った。「世界から悪をできるだけ減らそう。そのためには、悪の根源である人間の寿命を縮めるべきだ。人間が長生きしては、自然界が破壊されてしまう」
どうやって人間の寿命を縮めるつもりなんだい?
「病気にかかるようにすればいい」
植物界、鉱物界の神々は、動物界の強硬な意見にしぶしぶ同意したが、植物界は人間のことを哀れんだ。
植物界の代表はタバコだった。「気の毒なことだ。もうすぐ人間たちは病気に苦しむようになる。その苦しみを、少しでもやわらげてやりたい」そう思ったタバコは、他の神々に大きな声で言った。「私が聖なるハーブになって、人間がかつての聖なる生活を取り戻せるように、手助けしようと思う」
タバコは、植物界の代表として、様々な植物たちに、ハーブとして人間の苦痛をやわらげてやるよう指示した。
鉱物界の神々も、クマの提言を聞いて、人間を哀れに思っていた。彼らも人間の病苦を癒してやりたいと思った。
鉱物界の代表はクォーツ(石英)だった。「しかし、自分は石。どうやって人間の助けになれるだろうか」
クォーツとタバコは非常に仲がよかったことから、この2人の神は語り合った。
ふと、クォーツが腕を伸ばしてタバコを抱いた。「兄弟よ。君が聖なるハーブになるというのなら、私は聖なる鉱物になろう」

神話は字義通りに解釈するべきものというよりは、何らかの比喩であることがしばしばあるものである。
クォーツとタバコが抱き合うというのは、一体何の比喩だろうか。クォーツがタバコを「兄弟」と呼ぶのはなぜか。
現代科学が、この問題に答えを与える。

タバコは、ミネラル成分として、非常に高濃度のケイ素を含んでいる。ケイ素はクォーツの別名と思ってもらえればいい。
植物のなかには土壌中のケイ素を大量に吸収して蓄えるものがある。タバコ(葉)、スギナ(葉)、キュウリ(実)、サルサパリラ(根)、甘草(根)、エキナセア(全草)、穀物などが有名だ。
なかでもタバコ葉のケイ素含有量は植物のなかでもトップクラスだ。
葉にフィトリス(phytoliths)と呼ばれる小顆粒があって、そのなかにケイ素がぎっしり埋め込まれている。

そう、タバコとクォーツ(ケイ素)が抱き合ったということは、タバコが土壌中のケイ素を吸収して内部に取り込み、植物界の神、鉱物界の神、両者が人間の病苦を癒やすためにこの世に顕現したということだ。
古代インドの神話は、現代科学の目から見ても充分に正しかったということだ。

ケイ素は、骨、皮膚、髪の構成要素であることはもちろん、精神への影響も大きい。
飲み水、食品など、ケイ素の摂取量が多い人ほど、認知機能が高く、アルツハイマー病を発症しにくいことがわかっている。
https://academic.oup.com/ajcn/article/81/4/897/4649100
これは2005年の研究だが、すでにこの30年前にEdith Carlyleが著書”Silicon Biochemistry”のなかで、「脳は、事実上、ケイ素でできている」と述べている。
脳は体の他のどの部位よりも、ケイ素の取り込みが多い。特に、海馬、尾状核、レンズ核で濃度が高かった。
記憶を司る海馬でケイ素の濃度が高いことは、非常に興味深いことではないか。
ケイ素の摂取量の減少がアルツハイマー病の発症率の増加につながることと関連しているに違いない。
ここから類推すれば、タールなどの添加物を含まない純粋なタバコ葉を吸っている人では、ケイ素が多く供給されるため、認知症の発症率が低いと考えられる。
さらに、認知症患者では、脳内のアルミ濃度がケイ素濃度より高い。アルミが蓄積すると、ケイ素を押し出してしまうことがわかっている。

必然か偶然か、ケイ素はコンピューターの半導体メモリーに欠かせない。
人間の記憶にもPCの記憶にもケイ素が関わっているというのは、妙に不思議な一致じゃないか。

PC、ケータイなど各種デバイスには、必ず半導体が、つまりケイ素が使われている。つまり、ケイ素は現代文明を根底から支える元素であり、そういう意味で我々の周りにはケイ素があふれているが、我々の食事からはケイ素がどんどん減っている。
精製した穀物はケイ素を豊富に含むヌカやフスマの部分を捨ててしまうし、現代の農地からは土壌中のケイ素がますます減少している。

ケイ素が不足しがちな現代人だが、食品やサプリを使ってケイ素をしっかり摂取してみるといい。
そうすれば、奇跡が起こる。どんな奇跡かって?
タバコを吸いたい欲求が、魔法のように消えるはずだ。
ケイ素こそ、魔法のミネラルと呼ぶにふさわしい。
次回以降、ケイ素がどのように著効するか、その具体例を見ていこう。

タバコ2

2019.9.27

嫌煙の風潮がますます強まり、喫煙者は肩身が狭い受難の時代である。
「世間の圧力に負けてなるものか。なに、タバコ税の分だけ、国の税収に貢献していいるぐらいなんだ。堂々と胸張って吸うぞ」と強がる愛煙家も、
「勝手にタバコを吸って健康を害しているくせに、非喫煙者と同じように健康保険を利用できるのって、どうなの?あと、受動喫煙で好きでもない煙のにおい嗅がされてる人の気持ち、わかる?」などと攻撃されれば、なかなか反論しにくい。

生きにくさはひしひしと感じている。本音としては、「いっそ、禁煙しようか。タバコ代も積もり積もればバカにならないし、健康のことを思えば、やめれるものならやめたい」と思っている喫煙者もいるに違いない。
というか、思い立って禁煙を試みた人もいるだろう。それも一度二度ではなく、何度も。ところがそのたびに、抑えがたい喫煙欲求に屈服してきた。
「俺はなんて意思が弱いんだろう」挫折のたびに、自己嫌悪を感じる。

「自分を責めないでください。タバコをやめられないのは、あなたの意思が弱いからではありません」
著書”The Natural Cure For Cigarette Smoking” のなかでAnthony Shkreli氏は、説いている。
「タバコがやめられないのは、ある種の欠乏症によるものです」

世の中には2種類の飢えがある。
空腹による飢えのことは、誰しも知っている。しかしもうひとつ、あまり知られていないタイプの飢えがある。
この飢えは20世紀になって、Curt RichterやLeslie Harrisといった科学者が発見した『特殊飢餓(special hunger)』と呼ばれる飢えである。
食事を充分に摂取しているつもりでも、その食事にある種の要素が欠乏していれば、それを渇望する特殊飢餓を発症する。

ミネラル欠乏に陥った人(特に若年女性)が、粘土、ガラス、爪、洗濯のり、土など、異物を衝動的に食べる現象が古くから知られていて、pica(異食症)と呼ばれている。
アフリカのある原住民はこの性質をよく知っていて、妊娠を控えた女性が食べるための石(食用の石)が市場で販売されている。このpicaも特殊飢餓の一例だ。

「喫煙者も同じではないか。煙という、”食品ならぬもの”への欲求が抑えられないというのは、ある種の欠乏による特殊飢餓ではないか」と著者は指摘する。
「あなたはタバコに依存しているのではない。あなたは、飢えているのだ」
そうであるならば、食事の改善など何らかの方法でその欠乏を満たすことができれば、タバコへの欲求も自然と消失するはずだ。

Richterはラットの食事から1種類だけ栄養成分を抜いて、様々なタイプの特殊飢餓を作り実験を行った。
たとえば、食事からチアミン(ビタミンB1)を抜くと、脚気のラットができる。このラットの前に、13本の食事ボトルを並べる。そのうち12本はビタミンB1を含まないが、ただ1本だけはB1を含んでいる。
そうすると、ラットは見事にこのB1入りのボトルを選び、他のボトルは一顧だにしない。
「このB1入りのボトルへの執着はすさまじく、ケージのボトルを交換しようとすると、ラットがボトルに噛み付いて何としても離そうとしないほどだった」とRichterは記録している。
たまたま選んだのではない。欠乏を補ってくれるものを、本能がしっかり察しているのだ。

Richterは他にも、副腎を除去したラットを使った研究を行った。副腎を除去したラットに通常のエサを与えていると、普通は1週間ほどで死亡する。これは、副腎が塩(えん)の代謝に関わっているためだ。
このラットを、塩の溶液が自由に飲める環境においてやると、この溶液を選び生存する。
副甲状腺を除去したラットは、血中カルシウム濃度を保てなくなり、死亡する。しかしカルシウム溶液を置いておくと、やはりこの溶液を選んで生存する。
体内のアンバランスを是正するのに何が必要であるかを、適切に察しているということだ。

さらに研究は続く。
ラットにビタミンB群を抜いたエサを長期間与えた。ポイントは、その他の栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミンB以外のビタミン、ミネラル)はしっかり与えていることである。
Richterはこのラットのケージ内に健康なラットの糞を入れてみた。通常の食事をしているラットでは、糞など見向きもしないところ、これらのB群欠乏ラットは、なんと、エサそっちのけでこの糞を食べ始めた。
自分の生存に必要なものは本能が告げ知らせる。それが生存に必要であるならば、ウンコだろうが何だろうが構わずむさぼり食う。それが生物というものだ。

タバコへの衝動を抑えられない人は、タバコのなかに含まれる何かによって、自身の特殊飢餓を満たそうとしているのではないか。
だとすれば、その「何か」とは何だろう。
著者は、「古代インドの神話のなかに、そのヒントがある」という。

タバコ1

2019.9.27

職場の同僚が「ニコチン補給してくるわ」といって、タバコを吸いに外へ出る。
そう、同僚のこんな口癖に見られるように、タバコに対する依存性は、ニコチンが引き起こしている、ということになっている。
それは医療関係者でなくても、誰もが知っている”常識”だ。

しかし、これまで世に出た医学文献のうち、ニコチンの依存性を実証した文献はただのひとつとして存在しない。
http://www.ecigarette-politics.com/is-nicotine-addictive.html

逆に、ニコチンがいかに体によいか、ということを示した論文なら、無数にある。
神経疾患(ADHD、強迫性障害、統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病)、自己免疫疾患あるいは炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、癌、風邪など)、ニコチンの有効性が確認されている疾患は多い。

そもそもニコチンは、普通の食事に含まれている成分のひとつだ。
ナス科植物(ナス、ピーマン、トマト、ジャガイモなど)に当たり前に含まれていて、血中ニコチン濃度を調べたら誰でも陽性になる。
しかし、ナス科植物のタバコだけは、そこに含まれるニコチンだけは例外で、体に悪い、ということになっている。
不思議だ。
様々な研究データの示すところを素直に読めば、逆が事実であるはずなのに、なぜか僕らのなかでは「ニコチン=害悪」というイメージができあがっている。

ところで、ニコチンの分子はこんな形をしている

シンプルな構造の分子で、当然のことながら、以下のナイアシン(ニコチン酸)に似ている。

実際、ニコチンが体内で酸化されればニコチン酸(ナイアシン)になる。
わかりやすい話でしょう?
そう、ニコチンは毒物なんかじゃない。
ナイアシンが不可欠なビタミンであるように、ニコチンもれっきとした栄養素だ。

多くの被験者に純粋なニコチンを高用量で6ヶ月に渡って投与しても、誰一人として依存を生じなかった。ニコチンの依存性を証明しようとした研究は、ことごとくすべて失敗している。
もういい加減認めよう。
ニコチンは依存性物質ではないのだ、と。

では、なぜ、ニコチンには依存性がある、ということになっているのか。
「ニコチンは依存性があり、体に悪い」という社会通念を広めることで、金もうけをしている人がいる。
禁煙したい人に対して「タバコ依存はニコチン依存なのだから、ニコチンを別の方法で摂取することで禁煙できる」という理屈のもと、禁煙補助薬を売り込むことができる。
実際にはろくに効きもしないのにね。
『ニコチンパッチを6ヶ月以上使っても、禁煙には無意味』
https://www.cardiosmart.org/News-and-Events/2015/03/Duration-and-Effectiveness-of-Nicotine-Patch-Use

では、タバコ依存に陥っている人は、ニコチンでなければ一体何に依存しているのか。
一般的なタバコを吸っている人に対して、有機無添加のタバコ葉をパイプで吸っているような人は、タバコ依存にならない。
このあたりをヒントに考えれば、タバコに何らかの依存性を引き起こす添加物が加えられている、という推測は自然だろう。
しかし企業秘密なのだろうか、僕が調べた範囲では、その物質に関する情報をつかむことはできなかった。

ただ、調べていくなかで、おもしろそうな本を見つけた。
“The Natural Cure For Cigarette Smoking” (Anthony Shkreli著)
取り寄せて読んだところ、タバコの依存性の本態について、非常に興味深い説が述べられていた。
次回のブログではこの点を掘り下げていこう。

有機ゲルマニウムと肌

2019.9.26

浅井ゲルマニウム研究所の中村宜司さんから、中村さんの研究チームが学会誌に論文を提出しその論文がアクセプトされた、との報告を頂いた。
できたてホヤホヤ、と言ってもいいくらいに新しい論文だ。
その要約を紹介しよう。

『有機ゲルマニウムは正常な皮膚線維芽細胞の酸化ストレスによる細胞死を抑制する』
https://www.nature.com/articles/s41598-019-49883-7.pdf
「活性酸素種(ROS)は皮膚の細胞によって極めて有害である。ROSおよびその他の刺激から皮膚を守る化粧品を開発する意義は、ここにある。
レパゲルマニウムは合成の水溶性有機ゲルマニウムポリマーである。本研究において我々は、ゲルマニウムが健常人の皮膚線維芽細胞(NHDFs)に取り込まれる様子を同位体顕微鏡検査(isotope microscopy)を用いて視覚化しようと試みた。
さらに、NHDFs内部のレパゲルマニウムの水酸化モノマー(3-(トリヒドロキシゲルミル)プロパン酸(THGP))の内容量を、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS/MS)を用いて決定した。その結果、THGPは用量依存性に取り込まれることが確認された。
次に我々は、ROSによって誘導されるNHDFの死に対するTHGPの予防効果を評価した。遺伝子発現プロフィーリング分析によって、予防効果を確認した。
0.59〜5.9 mMのTHGPを添加することで、キサンチン酸化酵素とヒポキサンチンの反応により起こるROSや、H2O2を加えると起こるROSに起因する細胞死が減少した。
さらに、本研究の意義は、THGPの効果はROSがスカベンジャーとして直接働くことによって生じているのではないことを初めて示したことにある。これは、THGPの作用機序が、一般的な抗酸化物質(たとえばビタミンC)の作用機序とは異なることを意味している。
遺伝子発現プロフィーリング分析によって、THGPが核内受容体サブファミリー4グループAメンバー2(NR4A2)遺伝子(細胞死に関連している)と、インターロイキン6(IL6)およびケモカイン(C-X-C)リガンド2(CXCL2)遺伝子(炎症反応に関連している)の発現を抑制していることが明らかになった。
さらに、H2O2によって誘導されるIL6の産生が、THGPで処置をしておくと抑制されることが示された。
我々の研究結果は、ROSによって誘導される細胞死に対するTHGPの予防効果は抗酸化酵素によるものでもなければ、ROSがスカベンジ(貪食)されることによるものでもない、ということを示している」

有機ゲルマニウムが様々な効果があることは以前に紹介したから、ここでは詳しくは繰り返さないけど、ざっというと、、、
まず、免疫賦活作用。有機ゲルマニウムによって、インターフェロンγの産生が高まり、NK細胞やマクロファージが活性化する。こうして抗腫瘍作用が発揮される。
さらに、痛みの抑制作用。熱傷や癌による痛みに対して著効する。
有機ゲルマニウムの鎮痛作用は、NSAIDsやモルヒネによる鎮痛の機序とまったく違うのが興味深い。
そもそも、癌性疼痛というけど、癌になるとなぜ痛むのか?
悪性腫瘍は周辺の正常な組織を侵食して増殖していく。その際、健康な細胞が破壊され、細胞内にある核酸やATPなどが飛び散る格好になる。
「ATPは生体内でのエネルギー通貨」というのは高校の生物で習っただろう。しかしATPが有用なのは細胞内にあってこそで、ひとたび壊死した細胞から漏出すると、発痛物質として作用する。有機ゲルマニウムには、このATPの暴走を鎮める働きがある。
癌の痛みに苦しむ患者にとって、モルヒネは大きな救いになるが、モルヒネは便秘や吐き気など副作用も強い。有機ゲルマニウムの併用によって、モルヒネの使用量を減らすことができる。
ヤケドにも有機ゲルマニウムが有効だ。患部に直接塗布すれば、鎮痛作用はもちろん、創傷治癒促進効果があることがわかっている。傷の治りが早くなるし、しかも瘢痕化せすにきれいに治してくれるのだから、使わない手はないだろう。
ちなみに以前紹介したように、生ローヤルゼリーを塗るのもいい。
ただ、有機ゲルマニウムと生ローヤルゼリーの併用がどう作用するのかはわからない。併用によって相乗作用が生まれるとすれば素晴らしいことだけど、ひょっとしたら相殺する可能性もなくはない。もし相乗作用があるのなら、化粧品あるいは軟膏として、極めて理想的なものができると思う。

ヤケドやキズのような弱った組織に保護的に働くぐらいだから、健康な組織に塗布しても無害であることはもちろんだ。有機ゲルマニウムは、化粧品に使用可能な成分として認可されている。
上記の論文は、平たくいうと、「有機ゲルマニウムがなぜお肌にいいのか」を科学的に追求したものだ。
「活性酸素が正常な皮膚組織を破壊してしまうところ、そこに有機ゲルマニウムがあることで、細胞死を抑制することができる。たとえばビタミンCにも同様な作用があるが、有機ゲルマニウムは、ビタミンCが活性酸素のスカベンジャーとして作用しているのとはまた別の機序で抗酸化作用を発揮している」
これが今回の発見の骨子だ。

ところで、当院では浅井ゲルマニウム研究所で作られた有機ゲルマニウムを扱っている。
浅井ゲルマニウム研究所の有機ゲルマニウムは、他社製品と製法が違う。
他社が二酸化ゲルマニウム(毒性あり)を経由して有機ゲルマニウムを精製するのに対して、浅井ゲルマニウム研究所では多結晶ゲルマニウム(毒性なし)から有機ゲルマニウムを精製するので、毒性の生じる余地がない。
ただ、その分費用がかかり価格に転嫁せざるを得ないのが難だが、品質にとことんこだわるのが有機ゲルマニウムの生みの親、浅井一彦氏の意志を継ぐ研究所の自負だ。
僕のクリニックで浅井ゲルマニウム研究所の商品を扱うにあたって、中村さんにひとつ、注文したことがある。
「有機ゲルマニウムの質自体が、他社製品よりも優れていることはわかったのですが、サプリとして加工する際に使う添加物は何とかならないものでしょうか。敏感な患者は、こういう添加物も気にすると思いますので」
と言ったところ、ありがたいことに、中村さんはこのわがままを聞いてくれた。
院内での取り扱い専用で、添加物を一切含まない純粋有機ゲルマニウム100%を特別に作ってくれたのだ。

この有機ゲルマニウムは、他では買えません。
興味のある方は、ぜひ当院に来てご相談を!

潰瘍性大腸炎とCBDオイル

2019.9.25

40代男性。潰瘍性大腸炎の診断を受けている。
「トイレにずっとこもりきりで、仕事になりません。
便意を感じて一度トイレに行ったら、1時間は出られない。いや、本当を言うと、1時間でも自分には大きな妥協です。
許されるならもっと長くトイレにこもっていたい。でも仕事があるから、しぶしぶトイレを出ます。
しかし、しばらくするとまた便意が訪れて、トイレに行かないといけない。一日にそういうことが4、5回はあるでしょうか。
最初は『生理現象だから仕方ないね』と言ってくれた上司も、次第に態度が冷たくなって、
『ちょっとひどいよね。一回でしっかり済ませられないものかな』
『あのさ、トイレにこもっている時間も給料が発生してるっていう自覚、ある?』
病気に対する理解がない、と言いたいところですが、上司の気持ちはわかります。
潰瘍性大腸炎になって初めて、この病気のつらさがわかりましたから。上司には申し訳なく思います。
トイレに思う存分こもれないこと、上司の冷たい態度、そういうのが大変なストレスで、ますますおなかの調子が悪くなります。
何とかならないでしょうか。
診断を受けた病院から薬を二つ処方されていて、飲んでいます。しかしほとんど効いてる実感がありません。
この症状が少しでも改善できれば、と思ってここに来ました」

上記は何も特殊例というわけではなく、潰瘍性大腸炎の患者にはありがちな話だ。
しぶり腹、という症状で、便が出てもすっきりしない。延々満たされない便意を待って、トイレにずっとこもりきり、ということになる。
単純におなかが不愉快というだけでなく、上記のように、仕事や学業に差し支えが生じることもよくある。
腸脳相関、ということが最近よく言われるように、腸の不調は脳神経系の機能低下やストレス耐性の低下につながるし、逆にストレスが腸の症状を悪化させたりもする。
この悪循環に、患者は苦しむことになる。

さて、このような患者にどのようにアプローチするべきか。
まず、食事の改善は絶対の必要条件だ。とりあえず精製糖質、小麦製品、乳製品の摂取を控えるように言った。
それプラス、何かできることはないか。

まず、潰瘍性大腸炎の患者では血中ビタミンD濃度が有意に低いことが分かっている。
https://link.springer.com/article/10.1007/s10620-012-2531-7
大腸癌の発生率が高いことも、これと関係しているかもしれない。
一日中デスクワークで外にほとんど出ない人では、日光に当たる機会もないだろうから、サプリが何より心強い味方になる。
「サプリではなく、できるだけ食品で治したい」というこだわりのある患者にも、ビタミンDだけはぜひともサプリで、とお勧めしている。

『ナイアシンはプロスタグランジンD2を介したDプロスタノイド受容体1の活性化によって潰瘍性大腸炎を改善させる』という論文がある。
https://www.embopress.org/doi/full/10.15252/emmm.201606987
細かい内容はここでは省く。しかし論文のタイトルを読むだけで、いわんとすることはわかるだろう。ナイアシンが潰瘍性大腸炎に有効、ということだ。
そこで、ホットフラッシュの副作用に注意喚起しつつ、ナイアシンの服用も勧めた。

さらにもう一つ。『炎症性腸疾患におけるカンナビジオール』という論文。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ptr.4781
大腸炎に対する大麻の有効性は、実は昔から言われていた。しかし、臨床で使う際に最も困るのは、大麻の酩酊作用だった。
「下痢は治ったものの、ラリってしまう」ということでは、やはり仕事にならない。そういう事情があって、腸疾患に対する大麻の使用は長く忘れられていた。
しかし精製技術が進み、THC(酩酊成分)を除去してCBD(有効成分)だけを残すことが可能になった。
今やアメリカでは多くの潰瘍性大腸炎患者がCBDオイルで救われている。
なぜCBDオイルが効くのか。長年その機序は不明だったが、今では多くのことが分かっている。
CBDオイルは外因性カンナビノイド系受容体(たとえばペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)に作用して薬効を発揮している。
こうした作用をする薬物は他になく、腸疾患に対する新たな薬としての役割が期待されている。
もっとも、効きもしない薬を売ってぼろ儲けしている製薬メーカーが、こういう「本当に完治させてしまう薬」の普及を許すわけがないと、個人的には思っている。
CBDオイルが厚労省のガイドラインが推奨する治療薬に記載されることは、今後もおそらくあり得ない。本物は、その本物さゆえに、無視(あるいは弾圧)されるものだ。
厚労省推薦のスタンダード治療であっても治せなければ意味がないし、一般に認められていなくても、効くものは効く。
僕は細々と、自分の患者にCBDオイルを使っている。そして上記の患者にも、お勧めした。

さて、上記患者の初診から2か月後。
「ずいぶんよくなりました。
まだ会社でトイレに行くことは行きます。3回くらいは行くでしょうか。でも、行ったとしても、トイレに入っているのはせいぜい5分ほど。
昔のように1時間もこもるなんて、まったくなくなりました。仕事の集中力もつきましたし、長時間働いても以前より疲れにくいように感じます。
先生のおかげです。ありがとうございます」
潰瘍性大腸炎は指定難病で、一般に治癒は困難とされている。
しかしその難病が、2か月でほぼ寛解してしまった。
見る人から見れば、この診察室の風景は、ちょっとした「奇跡」である。
しかし僕は淡々と「いえ、僕のおかげというか、食事制限をちゃんと守ったりして頑張っておられるでしょう。治ったのは、ご自身の努力のおかげですよ」と答える。
そう、そもそも難病なんかじゃないんだ。
食事を改め、あとは治癒を早める栄養素を上手に取り入れれば、それだけであっさり治る病気なんだ。
しかし、寛解に際して、ビタミンD、ナイアシン、CBDオイルのうちどれが決定打になったのか、それはわからない。
早く苦痛をやわらげてあげたくて、すべて同時に使ったからだ。
どの一つが、というわけではなく、相乗的に効いたのかもしれない。
しかし僕は研究者じゃなくて臨床医だから、とにかく患者が治れば、ひとまずそれで万々歳なんだ。

単純から複雑へ

2019.9.23

はじめ、物事はシンプルなはずだった。すべて見慣れた簡単なものばかりで、きちんと理解できた。
でも段々複雑になってくる。わからないことが増えてきて、もはやすべてを理解するなんてできない。窒息しそうな複雑さのなかで、自分を見失わないようにすることで手一杯、という有様だ。

具体的に何に対する比喩、ということではない。
どんな物事も、単純から複雑へ、という流れに従っているようだ。
たとえば体の構成要素。
僕らが食べているものは、ほとんどがCとHとOという、ごくシンプルな元素から成り立っている。
この単純なピースが複雑に組み合わさって、精妙無比な機能を持つ細胞が作られる。
医学の研究はすべて、単純なピースが織りなす複雑系に対する挑戦のようだ。

将棋もそうかもしれない。
序盤はシンプルで、指し手も限られている。しかし局面が進むにつれ、可能な候補手は指数関数的に増えていく。
頭の中の将棋盤に様々な「あり得る未来」を描きながら、可能性の海のなかを深く潜っていく。序盤の単純さはどこへやら、今や複雑さのなかで溺れないように必死になっている。
逆に、「詰むや詰まざるや」の最終盤になると、再び候補手は絞られてくる。単純から複雑へ、そして再び単純へ、収束していく。これが将棋の流れだと思う。
将棋の強さは、中盤から終盤にかけての、特に焦点のない「ぼんやりした局面」で、いかに厳しい手をさせるか、にかかっている。

自然数もその例かもしれない。
1、2、3、4、5、、、
数字の並び。単純にして、しかも美しい。
しかしたとえば、こんな並びはどうか。
7062、7063、7064、7065、7066、、、
同様に、自然数の並びではある。しかし、別に単純でもなければ美しくもない。
自然数は、いつ「美しくなくなる」のだろう。
森毅先生が、ある本のなかでこんなことを言っていた(うろ覚えだけど)。
「たとえば正多角形を考えてみる。正三角形や正方形は基本。タイルの敷き詰めもできるし、美しい性質もたくさんある。
正五角形は内部に黄金比を宿しているし、正六角形は正三角形の組み合わせだから、やはり美しい。しかし正七角形は、数学的に特に興味深い性質もないし、特段美しくもない。
つまり、正多角形のうち最初の『美しくない』多角形は、正七角形だと言えそうだ」
言われてみれば、そうかなと思う。
人間が一度に認識できる個数は、特別な訓練をしている人でなければ、7あたりが限度だという。
目の前に6個のコップがある。「6個」と認識できる。
しかし7個以上になれば、何個というより、「たくさん」と認識する。
このあたりが、単純と複雑の境目なのかもしれない。

すべてが手のひらにおさまるような単純系は、美しくて魅力的だ。
しかし人間には、その世界に安住することをよしとせず、複雑系のなかに飛び込んでいこうとする性質があるようだ。思いがけないお宝やワクワクは、複雑系のなかにこそある、という思い込みがあるのかもしれない。
一方、ときどきそんな複雑系にうんざりして、単純さが恋しくなったりする。都会暮らしの喧騒に疲れれば、田舎の実家が心地よいものだ。
複雑と単純、両方を希求する矛盾した心が、人間の本質なのかもしれない。

天狗裁き

2019.9.22

電話で起こされた。
「施設職員から連絡で、利用者で息が止まっている人がいる、とのことです」
起き上がって時計を見ると、深夜3時。
死亡確認の依頼だからそれほど急ぐこともないのだが、すぐ身支度を始める。
看護師からカルテを受け取って、タクシーに乗り込んだ。

行き先の介護施設の名前を告げた。タクシーが動きだす。
座席に深く腰をかけ、大きなため息をついた。
眠気のモヤが、まぶたのあたりを覆っているようだ。
タクシーのなかではラジオの落語番組が流れていた。
演目はすぐにわかった。桂米朝の『天狗裁き』。昔同じ音源のCDを持っていて、何度も聞いたことがある。
でも、笑う気になれない。
頬を動かしてニヤリとする気にさえなれなかった。

眠気と、眠りを中断された不愉快と、笑わせようとする米朝と、誰かの死亡確認に向かう自分と。
深夜の都会を走るタクシーのなかで、自分という人間が、急にわからなくなる錯覚に陥った。「一体俺は、今どこにいて、どこに向かっているんだろう」

ものの数分で施設に到着した。
死亡確認にかかる時間は、それよりもっと短かった。
90代女性。いつものように眠りについた。深夜巡回していた職員が、呼吸が止まっていることに気付いた。
老衰。何の苦しみもなく、眠るように、あるいは眠りとともに、息を引き取った。
「3時27分。死亡を確認しました」厳かに宣言して、ご遺体に神妙に頭を下げた。

待たせていたタクシーに戻ると、まだ落語が続いていた。
話はいよいよ終盤、サゲに向けて、米朝が鞍馬の天狗を演じているところだった。
「女房が聞きたがり、隣家の男が聞きたがり、家主が聞きたがり、奉行さえ聞きたがったという、おぬしの夢の話。
そんなもの、この天狗にとっては、つまらぬ話よ。聞きとうもない。
聞きとうもないが、しかし、、、
そのほうがどうしてもしゃべりたい、というのなら、聞いてやらぬでもないぞ」
「いや、もう堪忍しとくなはれ!ワシ、ほんまに夢なんか見てやしまへん」
「天狗をあなどる気か!八つ裂きにしてくれる!」
「あー!助けてー!」
ふと、妻の呼ぶ声がする。「ねぇ、ちょっと、あんた。ねぇ、あんた、えらいうなされて。どんな夢みてたん?」

そう、人生は確かに、夢のようだ。
現実のなかで、夢のように現実感のない経験をすることもあれば、夢のなかで妙に現実感のある経験をすることもある。
現実と夢は、その境目に立って、対比を感じることでしか、違いを認識できないようだ。
しかし、夢か現実、その二択なのかな。
深夜眠気がくすぶる頭で、すでにこの世にいない米朝の落語を聞き、誰かの死亡を確認する、そういう自分が妙にシュールで、この経験自体、何かの夢なんじゃないかという気さえする。夢か現実か、ではなく、その中間にただよっていたような。
現実はそれほどソリッドでもなく、かつ、案外、夢もそんなにフワフワしてないような気がする。

『境界性人格障害患者では、夢と現実を混同しがちである』
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2015.01393/full
なんていう論文もあるが、夢と現実の混同は誰しも起こし得るものに違いない。
個人的には、夢と現実の境目に立つような不思議な感覚は、嫌いじゃない。
ただ、悪夢だけはごめんこうむりたい。
この世界には、医療が人助けどころか、むしろ人殺しになっているという、悪夢のような現実がある。起きても覚めない嫌な夢も、『天狗裁き』のように笑えるのならいいんだけど、現実の悪夢は笑えない。
僕はそういう医療に自分なりに抵抗しているんだけど、きちんと戦えているだろうか。ときどき、夢のなかでもがいているような、息苦しい無力感にとらわれるときがある。
そういうときには、落語でも聞いて、せめて笑いに紛らわせないと、やってられないんだな。

皇族の人権

2019.9.20

ユーチューブで、「天皇とかいう国営宗教は廃止すべき」という動画を見た。
ざっと要約すると、
「テレビや新聞などのマスメディアで『様』という敬称をつけて報道される天皇(あるいは皇室)という存在があることは、異常だ。
創価学会の池田大作をニュースで『池田様』と呼べば、誰でも異常だと感じるだろう。しかしメディアにすっかり洗脳されている我々は、天皇についてそれを異常に思うことはない。
創価学会にお布施をする人は同意のもとでやっているが、皇室には毎年200億円の予算が計上されている。
これは、天皇教とでもいうべき、国民全員参加型の国営宗教に他ならないのではないか。
そもそも、天皇はそんなにすごい人なのか?我々が伏して拝むべき偉大な存在なのか?
違う。そこらへんにいる普通のおじいちゃんだ。
我々は、天皇の行いや人間性に敬意を払っているわけではなく、単に天皇という称号にひれ伏しているだけだ。
スティーブ・ジョブズは偉大だ。彼がいなければ、マウス式のウィンドウズやタッチパネルのiPhoneも生まれなかった。しかしNHKで「ジョブズ様」と報道されるか。されるわけがない。特定の個人を『様』付けで呼称する異常さを、みんな認識しているからだ」

このあたりまでが前半。
割とよくある天皇批判で、特に新味はない。
どうでもいいことだけど、マウスの発明者はエンゲルバートで、タッチパネルの発明者は日本人。別にジョブズが作ったわけではない。ただ、ジョブズがいなければウィンドウズやiPhone が生まれなかったという指摘は、その通りだろうな。

後半の主張は、ちょっと新しいと思った。
「天皇制の本当の問題は、皇族という一部の人が不当な好待遇を受けている、ということではない。むしろ、その逆だ。
皇族の人にとって、人権はまるでないがしろにされている。
皇族に生まれれば、生まれてすぐに、マスコミから好奇の視線にさらされる。その行動や言動の一挙手一投足が報道され、プライバシーなんてあったものじゃない。
学校に入れば、高い確率でいじめられる。
普通の人のように、『夢』を語ることさえできない。『天皇になりたい』なんてこと、言えない。そもそも、皇族に主体性はいらない。国民の象徴なのだから、今後のあり方は政府の審議によって決められる。
たとえば、なりたい職業につくために頑張って努力する。そういう努力の場さえ、皇族には与えられていない。
伝統だから我慢しろ、っていうの?
伝統だから、国民の象徴だから、人権がなくても仕方ないじゃないか、って?
人権というのは、そういうものじゃないでしょう。生まれた瞬間から、万人に等しく与えられている。それが人権でしょ。
そのはずなのに、皇族という一部の人たちにだけは、人権が剥奪されている。
21世紀の現代にこんな野蛮が堂々と行われている状況が、一体看過されていいのか」

皇族の人権、という視点はおもしろいと思った。
一昔前の日本人なら、誰しも身分相応という美徳を持っていた。百姓の家に生まれたら自分も百姓で、百姓なりの生活をやっていく。大工に生まれたら大工だし、商人に生まれたら商人。みんな自分の分相応をわきまえていた。でも不幸かというと別にそうでもなくて、それなりに楽しく人生をやっていた。
それが、西洋の価値観が入ってきて、人権なんてものを与えられた。全員皆平等で、職業選択の自由なんてのも与えられた。
封建制の時代に生きていた人を、抑圧のもとで苦しむかわいそうな人だとすれば、西洋の価値観が浸透することは、「解放」ということになるだろう。
個々人に人権があって、世襲とかに縛られず、自分の好きなように生きていける、という価値観は、庶民だけのものではなくて、皇族にも等しく共有されるべきだ。
だから本来、皇族も「解放」されるべきなんだ。たとえば愛子様や悠仁様が、コンビニバイトしたりする自由も認められるべきなんだけど、そんなこと、絶対に許されない。

子供時代って、誰しも未熟なものだ。でも、未熟なりに世間に揉まれて、だんだん人間ができてくる。同級生とケンカしたり、誰かに恋したり失恋したり、勉強で優越感や劣等感を感じたり。心の中で嵐が吹き荒れるような少年時代、青年時代をくぐり抜けて、みんな大人になっていく。
そのはずなんだけど、皇族だけは、その様子を始終監視されている。マスコミが、SPが、その他多くの人々の好奇の視線が、皇族を見つめている。
もっとバカなことを言ったりやったりしたいだろうに、許されない。
未熟であるべき子供時代に、落ち着いた完成形を求められる。たまらんやろうな。
こんな気の毒なことってない。

この動画を作った人は、天皇という国営宗教は廃止すべき、と言っている。
個人的には、賛成しない。
動画前半の、「国民の税金でぜいたくな生活してる」とか「普通のおっさんのくせに、天皇っていう称号だけでチヤホヤされてる」とか、主張としては幼いな。
ただ、動画後半、皇族の人権というテーマは、とても重いと思う。

明治以降、天皇が東京に移って以降、庶民の天皇のイメージは大きく変わった。
政治が天皇の権威を利用して、現人神として変に奉ってしまった、という歴史的な事情もあるだろう。
もう一つ、東京と京都、土地柄の違いもあるんじゃないかな。
平成天皇が新幹線で京都駅に到着したとき、周囲の人だかりのなかから、「天皇さん、お帰り!」という声があがったという。
こんなエピソードは、東京では考えられない。
東京の人は、まず、陛下相手に呼びかけないし、ましてや「天皇さん」なんて、そんな呼びかけはあり得ない。頭の固い人は、「不敬だ!」なんて言いそうだ。
現在の皇居はもともと江戸城で、いわば要塞だった。一方、かつて天皇の住んでいた京都御所は、壁も低くて、庶民との距離感は近い。
敬して遠ざけるような冷たさがある東京と違って、さすが千年天皇のお膝元だった古都だけに、天皇、庶民、双方に近しさがあるようだ。
天皇が東京に移らずにずっと京都にいたなら、皇族を『様』付けで呼ぶような今の妙な習慣は生まれず、もっと庶民に親しみのある存在だったんじゃないかな。

サプリの副作用

2019.9.20

何らかの体調不良があって、その原因がビタミンやミネラルの不足であった場合、サプリメントがよく効く。
たとえば、飽食の時代とされる現代日本にも”隠れ脚気”や”隠れ壊血病”の人がいるもので、前者にビタミンB1を、後者にビタミンCを投与すれば、劇的に改善する。
患者は快癒を喜び、医者に大いに感謝する。
「ちゃんと食事をしているつもりだったが、意外に栄養不良があるものなんだな」と患者は認識を改める。
ここまではいい。
しかし、さらなる健康を求めて、サプリ信者になる人がいる。
風邪のときに薬を飲んで症状が治まって(実際には風邪は薬で治らないが)、「これはすばらしい薬だ」と感動して、それ以後毎日風邪薬を飲み続ける、なんて人はいない。
しかしサプリでは、そういうことがしばしば起こり得る。

ビタミンやミネラルの欠乏症状に対しては、サプリメントを使えばいい。ここに異議を唱える人はいないと思う。
しかし短期的に著効するサプリを、長期的に服用しても、何ら問題はないのだろうか。
長期的に飲み続けても、やはり体にいいのか。それとも、何らかのデメリットがあるのか。
実はこの点については、議論がある。

僕はホッファーの本を読んで栄養療法に目覚めた。
ホッファーの本に、このような記述がある。
「患者が言う。『先生のおかげで病気が治りました。しかし先生、私はいつまでサプリを飲み続けないといけませんか』
このような質問に対して、私はいつもこのように答えることにしている。『あなたが快適でいたい限り、ずっとです』と」
ホッファーは、ポーリングとともに栄養療法を創始した立役者の一人だ。
対症療法一辺倒の既存の医学界にとって、栄養療法の出現は脅威だった。製薬会社にとっては特許のとれないビタミンは、一円の得にもならない。それどころか、ビタミンなんぞで患者の病気が治ってしまっては、薬が売れなくなってしまう。
そこで製薬業界は栄養療法を潰すために、ありとあらゆることをやった。ネガディブキャンペーンもやれば、御用学者にビタミンの有害性を喧伝する捏造論文を書かせたりした。ロビー活動をして政治家に働きかけ、サプリを『薬』として扱うよう(つまり、一般の人が簡単に買えないよう)法律を改正しようとさえした。
ホッファーは、そういう弾圧と実際に戦ってきた人なんだ。サプリの効用(大量長期服用も含め)を全面的に擁護するのは当然だろう。
その心情は理解できる。

しかし、様々な研究が行われ、新しい知見が蓄積して進歩していくのが科学の世界だ。ときには従来の常識が覆るパラダイムシフトが起こることもある。栄養療法もその例外ではない。
「ある種のサプリメントの長期的服用は、むしろ健康にマイナスではないか」という研究がいくつかある。
こういう研究に対して、どこから研究資金が出ているのか、とひとまず疑う姿勢は重要だが、「製薬会社のネガディブキャンペーンに違いない」と決めつけるのも、公平な態度ではないと思う。

僕の臨床経験でも、「その体調不良はおそらくサプリメントの大量服用によるものではないか」と思われる症例を見たことがある。
この患者は知的レベルの高い人で、漫然とサプリを飲んでいるわけではなかった。「このサプリはこの論文で有効性が示されているから」と、自分できちんと考え納得した上で飲んでいるような人だった。
ただ、飲んでるサプリの種類と量がものすごく多かった。
飲んでいるサプリの一覧を見た。確かに、どのサプリも悪くない。一つ一つを見れば、各々の症状にきっと効くはずだ、と思う。しかしこれを全部飲むとなると、ちょっと、、、
どう助言したものかと、言葉に詰まってしまった。一つ一つは、全部合っている。でも全体としては、間違っている。
還元主義の罠だ。局所の事実の総和が、全体の真実とは限らない。

https://www.consumerreports.org/cro/2014/05/do-vitamin-supplements-work/index.htm
ここにあげられている例として、以下のようなものがある。
・50歳以上の男性において、ビタミンE、セレンの長期服用は前立腺癌の発症リスクを増加させる。
・マルチビタミンのサプリを長期に服用しても、癌や心血管系疾患の予防効果はなかった。また、加齢に伴う精神機能の低下を予防する作用もなかった。
・オメガ3系脂肪酸のサプリを長期に摂取しても、心血管系疾患(心筋梗塞、脳卒中など)の抑制にはならなかった。

「効果がない」だけならまだしも、逆に癌のリスクが上がるとか、本当ならショックだな。
僕のほうにも「抗酸化物質だから、体に悪いはずがない」という思い込みがあるから、ビタミンEにしてもセレンにしても、遠慮なく飲み続けていいよと患者に勧めてしまいそうだ。
こういう研究を見てしまうと、長期的な健康の維持にはやっぱり食品が無難だなと思う。
もっというと、短期的にすぐ改善させたい場合でも、食品で改善させるのが本来あるべき形なんだろうな。
食養生という言葉があるように、B1欠乏ならぬかとか胚芽を食べればいいし、C不足なら柑橘類を食べればいい。
食事の一工夫で改善するところ、サプリの服用を勧めるというのは、一見近道のようでいて遠回りなのかもしれない。

Dr.Sebi

2019.9.14

かつてアメリカにドクター・セイビー(本名Alfredo Bowman 1933~2016)という人がいた。
「ドクター」という呼称ではあるが、正式な医学教育を受けたわけではない。
ハーブの効用などを独自に研究して自らの治療哲学を打ち立て、多くの患者を病気から救った。
たとえば癌や膠原病、エイズなど、現代医学では治癒が困難とされる難病さえ治したという。
地元の人に細々と健康アドバイスをしていた彼だが、実際に治癒した患者やその家族から口コミで評判が広まった。
1980年代にはニューヨークで「知る人ぞ知る」といった存在になった。

彼の治療哲学を簡単にまとめると、以下のようになる。
・すべての病気は、粘液(mucus)より生じる。
たとえば粘液が蓄積したのが肺であれば肺炎に、膵臓に蓄積すれば糖尿病になる、といった具合。
・体内をアルカリに保つことができれば粘液は生じず、従って病気にならない。
つまり、病気は体が酸性に傾くことによって生じるのであって、アルカリ環境下では存在し得ない。
この二点がドクター・セイビーの基本テーマである。

現代の病気の多くは、食のゆがみから生じる。
動物性食品や人工的に精製した植物、加工食品などが体を酸性にし、粘液の蓄積を促し、体を病気にする。
病気の治療や予防のための食事として、ドクター・セイビーは次のような食事指針を示している。

1.以下の表に記載された食物をのみ食べること。
2.毎日1ガロン(3.8リットル)の水を飲むこと。
3.薬を飲む人は服用1時間前に「ドクター・セイビーのサプリメント」を飲むこと。
4.動物性食品は摂らないこと。
5.アルコールは禁止。
6.小麦の摂取は避け、表に記載された「自然に育った穀物」のみを食べること。
7.電子レンジは食品を「殺す」ため、使用を避けること。
8.缶詰および種無し果物を避けること。

一般的な医者がこの食事指針を見れば、特に2.と3.に対して、相当な拒否反応を示すはずだ。
西洋医学を実践する医者からだけでなく、栄養療法を実践する医者からさえ、批判の声が出てきそうだ。
「水を1日4リットル近くも飲めだって?あきらかに飲みすぎだ」「東洋医学的に言っても、過剰な水の摂取は水毒となって体を冷やす」
「動物性食品がダメってさ、ただのビーガンじゃないの」「肉や魚などが含む動物性タンパク質やビタミンの効用を軽視している」
3.に対しても、「自社製のサプリを売り込もうってのか。なかなかの商売人だね」

いろいろな批判があるだろう。
実際、ドクター・セイビーの理論の正しさを科学的に検証した研究は存在しない。
しかし理屈はともかく、彼の食事指針を守ることで、エイズ、鎌状赤血球貧血、白血病、SLEなどの多くの難病患者が病気から回復し、健康を取り戻してきたことも事実だ。
「表に記載の食品のみを食べ、かつ、私の配合したサプリメントを摂取することだ。これによって、体内をアルカリに保って粘液を減らし、結果、病気を治すことができる」
実際に治療実績のある人の言葉だけに、傾聴する意味はあると思う。

そう、ドクター・セイビーは多くの患者を救ってきた。
しかし妙な話だけど、「結果を出している医療だけに、その存在が許せない」という一部勢力がいる。
1987年ニューヨーク州医学委員会は、彼を「医師免許なしに医療行為を行った」として訴えた。
これに対して立ち上がったのは、彼によって救われた患者たちである。
「ドクター・セイビーは医療を実践しているのではない。我々に精神的助言を与え、食事法を示唆しているだけだ」
結果、検察は彼を有罪にすることができず、無罪放免となった。しかし何としても彼を陥れたい一部勢力は、あきらめない。
今度はニューヨーク弁護士会が彼を「消費者に対する詐欺罪」で訴えた。
原告の訴えが通り、サプリの販売に際して、治療効果を記載することが禁止された。

こうした裁判が起これば、「インチキ療法を実践するニセ医者が訴えられた」と新聞が大々的に取り上げる。
一部勢力に牛耳られたマスコミは、彼が無罪放免になったことは報道しない。
ドクター・セイビーにとっては大きなイメージダウンになったが、それでも、「本物」であるだけに、患者の好意的な口コミは止めようがない。
評判が評判を呼び、ついには、リサ・ロペス、スティーブン・セガール、ジョン・トラボルタ、エディー・マーフィー、マイケル・ジャクソンなど、多くの著名人が彼のもとを訪れて助言を求めるまでになった。

「こんな危ない男を、もはや放ってはおけない」一部勢力の危機感はピークに達した。
2016年彼はマネーロンダリングの罪で逮捕され、刑務所で拘留中に死亡した。
多くの人が彼の死に疑問を持った。
「彼の実践する医療が広まることを、不都合に感じる人たちがいる。そういう一部勢力にはめられ、殺されたに違いない」
しかしただの憶測だ。何も証拠はない。

彼の死から三年が経った。彼を慕う声はいまだに絶えない。
「ドクター・セイビーの功績を、広く世界に、そして後世に、知らしめるべきだ」という有志が集まって、彼のドキュメンタリー映画を作ろうという動きが進んでいた。
グラミー賞にノミネートされたこともあるラッパー、ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)もその一人だ。
彼はドクター・セイビーの健康法の実践者であり、ドクター・セイビーの死は他殺だと確信していた。
彼の曲にこんなライムがある。”They killed Dr.Sebi. He was teaching health.”
ドキュメンタリー映画の作成にも積極的に協力していて、映画でナレーターを担当する予定だった。
一部勢力にとってよほど目障りだったのか、2019年4月銃殺された。
見せしめとしての効果は十分だった。映画化の動きは頓挫した。

しかし、、ほんまに殺してまうんやから怖いなぁ( ゚Д゚)

さて、個人的には、陰謀論に興味はない。
「こういう説もあるよ」ということで紹介したまでだ。
ただ、医療者として、ドクター・セイビーが実践してきた医療には興味がある。
僕の患者にも有効な治療法があるのなら、ぜひ取り入れたい。
「Dr.Sebi’s cell food」で検索すると、彼の意志を継ぐ人が運営するサプリ販売サイトが出てくる。
まず思ったのは、値段がけっこう高い、ということ。普及を願うなら、もうちょっと安くしたほうがいいんじゃないの?^^;
しかし、ものは試しで、サプリをいくつか買ってみた。

実際に自分で飲んでみたんだけど、、、
もともとが健康なせいか、たいして効果は感じなかった。
ただ、ドクター・セイビーが誠実だなと思うのは、サプリに配合しているハーブを、企業機密にせずに、ぜんぶオープンにしているところ。
どのハーブがどういう症状に有効か、著書で解説してて、その本も買ったけど、なかなか勉強になる。
一番賢いのは、自分の症状によさそうなハーブを、Dr.Sebi’s cell foodのサイトから買うのではなく(やたらに高額)、iHerbとかの別のサイトで買うことじゃないかな。