院長ブログ

真菌、コレステロール、癌3

2020.2.7

「すべての発癌物質は、ラクトン構造を含む」
これこそが遠藤章の成し遂げた発見であって、彼がノーベル賞を贈られるとすれば、この功績に対してであるべきだと思う。
授賞理由が「コレステロールの産生機序の解明とコレステロール降下薬(スタチン)の開発」ということであれば、ノーベル賞選考委員会はまったく何もわかっていないと言わざるを得ない。
コレステロール降下薬(スタチン)を開発しようという努力自体はすばらしく、その途中過程で得られた知見は、人類の健康福祉に貢献するものだった。しかしその努力の結果商品化されたスタチンは真菌毒そのもので、人類の福祉に貢献するどころか、むしろ人々の健康にとって有害無益だったと僕は考えている(高コレステロール血症の遠藤先生自身、スタチンを飲まないんだよ^^;)。そんな具合に、遠藤先生の仕事には、光と影が、功と罪が、相半ばしていると思う。
具体的にどういうことか、説明していこう。

高校で生物を習った人は、グルコースからピルビン酸ができ、ピルビン酸がアセチルCoAになってクエン酸回路(クレブス回路)に入る、と勉強しただろう。

このアセチルCoAは生命にとって絶対的に必須のもので、ここから様々なもの(コレステロール、中性脂肪、ステロイド、アミノ酸など)が作られる。
たとえば、細胞がコレステロール(およびその他のイソプレノイド)が必要なときには、まずアセチルCoAの2分子がくっついてHMG-CoAとなり、HMG-CoAにリダクターゼ(還元酵素)が作用してメバロン酸ができる。
メバロン酸がコレステロールをはじめとして、様々なイソプレノイドを作り出すもとになる。

この図で特に重要なのは、後半、HMG-CoAからメバロン酸が生成されるところである。
分子構造も含めて書くと、以下のようである。

注目したいのは赤い丸で囲ったところで、これは化学的にはラクトンと呼ばれる構造である。スタチンにもラクトン構造が含まれていて、しかもスタチンは、リダクターゼとの親和性が、HMG-CoAよりも1万倍高い。
どういうことか、わかりますか?
スタチンはHMG-CoAを押しのけてリダクターゼと結合し、結果、メバロン酸の産生が停止するということだ。この点こそが、スタチンの作用機序の核心(HMG-CoArリダクターゼ阻害)であり、スタチンの毒たるゆえんなんだ。

遠藤先生は真菌の一種であるPenicillium citrinumを使って、スタチンの研究をしていた。Penicillumという名前から見当がつくように、これはアオカビの一種である。フレミングはここから抗菌薬(ペニシリン)を作ったが、遠藤先生はスタチンを作った。いや、正確には、Penicillum citrinumから精製したスタチン(citrinin)は医薬品にはならなかった。毒性が強すぎたためだ。
初めて医薬品として承認されたのは、Aspergillus terreusの産生するカビ毒から作ったロバスタチン(“love a statin”)である。

citrinin、ロバスタチン、いずれもラクトン環構造を持っている。というか、ラクトン環構造は真菌類全般が普遍的に持っていて、彼らにとって有機物を腐敗させる強力な武器になっている。
そもそも単細胞生物であれ多細胞生物であれ、すべての生命体はHMG-CoAやリダクターゼを利用してエネルギー産生を行っている。細胞は進化の歴史の中で、HMG-CoAを含む物質を「おいしい」と感じるようになったが、真菌はここに付け込んだ。リダクターゼと結合する”ニセHMG-CoA”(ラクトン環)を他の有機物に送り込み、細胞機能をかく乱させ、ひいては生命機能を破綻に追い込む。そうして、有機物を自身の栄養物として頂く。これが、”擬態(mimicry)”と呼ばれる真菌の生存戦略である。

スタチンの添付文書をみれば、うんざりするほどたくさんの副作用が挙げられているが、これらは決して”副作用”ではない。
カビは、ものを腐らせる。同様に、スタチンは体を腐らせる。
作用機序を考えれば、”副作用”と言われているものは、カビ毒によって起こる当然の主作用なんだ。
ただ製薬会社としては、薬として販売するにあたって、あまり露骨に毒性が現れては(つまり、薬の服用と体調の悪化という因果関係があからさまに現れては)、さすがに市場に流せない(Cerivastatinのように、市場に堂々と出ておきながら、その後の有害事象報告(横紋筋融解症と腎不全による死者52人)で撤退になったスタチンもあるんだけど^^;)。

薬としての認可を得るには、毒を毒だとわからないよう、上手に加工することが必要である。
ポイントは二つある。まず、カビ毒がリダクターゼをどれぐらい阻害するのか、ということ。もうひとつは、阻害が可逆的であるか否か、である。
この二点が、細胞の致死性と発癌性を左右している。
遠藤先生が熱心に研究していたPenicillum由来のcitrininというスタチンはは実用化されなかったが、これは阻害が不可逆で、作用が強すぎたためだ。
バイエル社から売り出されたCerivastatinは、可逆的であったものの、リダクターゼの阻害作用が強すぎた。スタチンを処方された患者がすぐにバタバタ死んでしまうものだから、こんなに因果関係が露骨ではさすがの製薬会社も反論できず、やむなく撤退となった。

遠藤先生の論文。
『HMG-CoAリダクターゼ阻害薬の発見と開発』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1464741
論文中にこのような一節がある。
「ある種の微生物は、その他の生物(成長にステロールやその他のイソプレノイドを必要とする生命体)に対して、武器となる化合物を産生するのではないか。そうであるならば、HMG-CoAリダクターゼの阻害は、こうした生物にとって致命的な作用をもたらすだろう」
遠藤先生のこの推測は当たっていた。
イソプレノイドのなかでも、ドリコール(dolichol)は細胞膜の構造維持に、コエンザイムQ10はエネルギー産生に、イソペンテニル・アデニンは細胞周期の促進に、メッセンジャータンパク(たとえばRas)は細胞周期の抑制に、それぞれ必須のものだった。
リダクターゼを阻害することは、同時にイソプレノイドの阻害でもあり、結果起こることは、これらの必須栄養素の欠乏である。
具体的な症状としては、
・細胞が形態を維持できなくなり、”球体化”する(ドリコール欠乏)
・細胞分裂の停止(イソペンテニル・アデニン欠乏)
・エネルギー欠乏、易疲労性(コエンザイムQ10欠乏)
・細胞増殖の暴走、癌化(メッセンジャータンパクの欠乏)

こうした知見は、逆用すれば癌の予防(および治療)に利用することも可能で、遠藤先生の研究成果はこういうふうに使ってこそ、初めてノーベル賞級の仕事だと言えると思う。スタチンみたいな毒物を医薬品として垂れ流しておいて、それでノーベル賞をもらうだなんて、そんなデタラメはさすがにないでしょ。
ノーベル賞は存命中の人にのみ贈られるから、「ノーベル賞をもらう秘訣は、長生きすることだ」と言われたりもする。遠藤章先生は、現在86歳。平均寿命的には、そろそろタイムリミットを意識する年齢である。
先生がノーベル賞をもらうとしたら、同じ日本人として喜ばしいことだけど、もらい方(授賞理由)も大事だと思うんだな。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(Jamaes Yoseph)

真菌、コレステロール、癌2

2020.2.6

スタチンはカビ毒そのもので、その毒性は恐ろしいものだけど、スタチンの開発プロセスで、癌や糖尿病などの発生機序の一端が解明されたこと自体は、とても有意義なことだった。これらの疾患に大きく関与していることが明らかになったのは、コレステロールである。

生化学の研究により、コレステロールが細胞膜や各種ホルモン、ビタミンDの構成材料であることが知られていた。疫学的には、癌患者でコレステロール値が低いことや、コレステロール値が低い患者で癌の発症率が高いことがわかっていたが、スタチンの研究はこの理由を解き明かすことに貢献することになった。
前回のブログと内容的にやや重複するかもしれないが、この点について、少し角度を変えて見てみよう。

理科の授業で、「”何とか”アーゼ、というのは”何とか”を分解する酵素のことだ」と習っただろう。たとえばアミラーゼというのはアミロース(でんぷん)を分解する唾液中の酵素だし、リパーゼというのはリピッド(脂質)を分解する膵液中の酵素のことだ。

上図は、酵素が基質に作用して、基質を分解する模式図。
酵素と基質は、カギとカギ穴の関係にたとえられる。ばっちりハマる相手に対してのみ、作用するということだ。そして、反応の前後で酵素は変化しないが、基質が変化して、新たな物質が生じる。
反応を定式化して書くと、
酵素 (E) + 基質 (S) → 酵素基質複合体 (ES) → 酵素 (E) + 生産物 (P)

大学で生化学を勉強するとうんざりするほどたくさんの酵素が出てきて、その名前を覚えることになるが、小学校や中学校の理科で習ったこの反応式が基本であることは変わらない。
たとえば、リダクターゼ(還元酵素)という酵素がある。医学部で習うのは、せいぜい
5αリダクターゼ(前立腺肥大、男性型脱毛症に関連)とHMG-CoAリダクターゼの二つである。
後者はコレステロールを含むメバロン酸代謝のプロセスで超重要な酵素だが、扱いは軽い。
生命にとってメバロン酸経路がどれほど重要であるかを医学生に教えてしまうと、スタチンを投与することがどれほど体に悪いかが、みんなにバレてしまうから、あえて教えないようにしているのではないか、と個人的には思っている。

メバロン酸は、HMG-CoAから作られる。
上図でいうと、HMG-CoA(基質)に対して、酵素HMG-CoAリダクターゼが作用することで、メバロン酸(生産物)が作られる、という流れだ。このメバロン酸からコレステロールやイソプレノイドが作られていく経路を、メバロン酸経路(mevalonate pathway)という。
Sipersteinによると、彼が調べたすべての癌細胞では、例外なく、メバロン酸経路(およびコレステロール代謝)が破綻していた。
三共が犬を使った実験で、腸に癌(リンパ腫)が発生することを報告したが、スタチンを経口で投与した場合、消化されたスタチンがまず吸収されるのが腸であることを考えれば、この理屈がわかる。
腸は免疫の最前線で、白血球が密集している。スタチンを貪食した白血球は、メバロン酸経路が破綻し、リダクターゼが増加する。ここで細胞表面にLDL受容体が多く発現していればコレステロールの取り込みが亢進してアポトーシスを起こすところだが、LDL受容体の発現が乏しい白血球では癌化する。これが血液癌の発生機序である。

いわゆる発癌物質は、細胞内に取り込まれて発癌を起こす前に、まずメバロン酸経路を破綻させているのではないか。これがすべての癌の根本原因ではないか。これがSipersteinの考えた仮説である。

1960年、イギリスで養鶏場で飼われていた数万匹の七面鳥が一気に死ぬ騒動があった。この事件は世界中に報道され、人々を不安に陥れた。原因は何だろうか?細菌か、ウイルスか?自然発生した病原菌によるものか、生物兵器によるテロか?世界中の科学者が、原因究明に乗り出した。
結果は、驚くべきことに、カビによるものだった。七面鳥のエサとして与えられていたピーナッツに、真菌の一種アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)がわいており、この真菌が産生するカビ毒によって七面鳥たちは中毒死したのだった。このカビ毒はAflatoxin(AはAspergillusから、flaはflavusから)と名付けられ、多くの研究者がその毒性を調べたが、Sipersteinもその一人だった。
正常な細胞にアフラトキシンを与えると、1週間以内にメバロン酸経路が破綻し、その後癌化することを、彼は報告した。
『正常細胞および癌細胞におけるコレステロール合成の調整』
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780121528027500098

メバロン酸経路こそ、癌とコレステロールを結ぶミッシングリンクであることを、彼は証明したのだった。メバロン酸経路は細胞の分裂周期を調整する中枢であり、また、コレステロール(およびその他のイソプレノイド)の産生に中心的な役割を果たしている。癌細胞ではメバロン酸経路が破綻しており、リダクターゼの産生が高まっているが、スタチンはこれと同様の状況を作り出す。

癌はスタチンの副作用ではない。作用機序を考えれば、むしろ主作用である。
利にさとい製薬会社である。スタチンのこういう性質は当然知っていて、当初はスタチンを、なんと、抗癌剤として売り出そうという話さえあった。”スタチンが細胞周期をかき乱すのならば、癌細胞に投与してやればいい”というアイデアである。
腫瘍の退縮どころか、正常細胞の癌化を促進してしまうことから、研究段階で頓挫したものの、スタチンの何たるかを端的に示すエピソードだと思う。
もっとも、一般の病院で行われている抗癌剤による化学療法もスタチンと大同小異で、最終的には癌の促進にしか働かないのだけれど。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection” (James Yoseph著)

真菌、コレステロール、癌

2020.2.4

医師国家試験にこんな問題が出る。みなさん、解けますか?
【問】地上における死体の腐敗速度を 1とした場合、土中での腐敗速度として正しいのはどれか。(平成26年第108回医師国家試験E-25より)
a 1/8 
b 1/2 
c 1 
d 2 
e 8 

法医学の問題。
まず、地面に置いた死体と土中に埋めた死体。どちらの分解速度が速いと思いますか?
「土のなかのほうが微生物とかミミズとか多そうで、分解も速そう。だから正解は、dかeだろう。しかし8倍速いというのはいくらなんでも速すぎる気がする。だから、dかな。
ブッブー×
違います。それでは医者になれません^^
法医学の授業で、カスパーの法則(Casper’s Law of decomposition)というのを習う。
それは「死体を土中、水中、地上に放置したとき、その腐敗速度の比は、1:2:8である」というものだ。
土の中のほうがはるかに分解速度が遅いなんて、一見意外な感じがするね。でも、以下の解説を見れば納得するだろう。
「死体の分解速度を左右する要因は、主に4つある。
最も重要なのは温度だ。温度が10℃上がるごとに、死体の化学反応の速度は2倍になる。30℃の環境下の分解速度は、0℃のときより8倍速い、という具合だ。
さらに、環境中の湿度の影響も大きい。水がある(湿度が高い)と、分解速度は遅くなる。
また、環境中の㏗(酸性かアルカリ性か)も影響する。極端な酸性、アルカリ性の状況では、酸素による生体分子の分解が速まるが、やはり水の有無によってこの影響も緩和されたりする。
最後に、環境中の酸素濃度。土の中や水の中、あるいは高地では、酸素濃度が低いため、分解が遅い。
これら4つの要因次第で、死体が白骨化するまでわずか2週間ということもあれば、2年以上かかることもある」

どうですか。温度、湿度、㏗、酸素濃度がポイントであることに気付けば、正答できるわけです^^そういう意味で、医学というか、むしろ科学の問題だね。
個人的には、これらの4要因に加えて、もうひとつ、真菌による分解、という作用もかなり大きな影響力があると思う。
真菌の働きがもっとも活発なのは、土の中ではなくて、地表なんだ。地面に穴を掘ってみたら、土の中でカビがわいていた、という状況は見たことがないでしょう?土の中に生えているキノコ、なんて見たことがないでしょう?つまり、土の中というのは、真菌にとってはむしろ住みにくくて、酸素のほどよくある地表が生育に適しているわけだ。
このあたりは、人間との相似を感じる。
人間の体表(および腸内の体表である腸粘膜)には無数の微生物が住んでいる。しかし、その少し下は、免疫部隊が厳重に見張っていて、菌はほとんどいない。菌が侵入しているのは、癌(真菌)か敗血症(細菌)などの異常事態のときぐらいだ。

そう、癌が真菌(カビ)によって起こることを示す研究は複数あって、科学的な裏付けは充分にある。カビの産生する毒が、どのように癌を発生させるのか、その機序も明らかになっている。
ただ、こういう知識は医学部では教わらないため、医者にとって一般的な知識ではない(死体の分解速度より、はるかに本質的な知識のはずだけどね^^;)。

正常な細胞内では、リダクターゼ(HMG-CoA reductase)によってHMG-CoAからメバロン酸が作られている。
メバロン酸をもとにして、イソプレノイド(tPNA、コエンザイムQ10(ユビキノン)、その他、シグナル伝達に関与するタンパク質)やコレステロールなど、生体に必須の分子が作られる。

しかしここにある種の真菌毒(アフラトキシンなど)を投与すると、リダクターゼと結合して、その働きがブロックされる。つまり、メバロン酸の産生が停止する。結果、イソプレノイドやコレステロールの産生も停止する。
体にとってこれは一大事である。細胞は小胞体でリダクターゼをより多く作ることで、この異常事態に対応しようとする。
ここからが運命の岐路で、もしこの細胞が膜表面にLDL受容体を発現していれば、細胞内にLDLコレステロールが流入する(結果、血中コレステロール濃度は下がる)。細胞内で産生できなかったコレステロールを細胞外から取り込むことに成功したわけだが、他の代謝も滞っているため、その先のカスケードが進まず、細胞は死ぬことになる(コレステロール毒性)。
一方、この細胞が膜表面にLDL受容体を発現していなかった場合、コレステロールの細胞内流入は起こらない。しかし、メバロン酸の産生停止により、細胞周期を調節するイソプレノイドが不足しているため、細胞は癌化することになる。
「細胞死(アポトーシス)するぐらいなら、癌化してでも生き延びてやる」という、細胞の”意地”だとも思える。しかしアポトーシスも癌も、できれば避けたいものだ。

一体、僕が何の話をしているのか、わかりますか?
コレステロール降下薬の代表格、スタチン系薬剤の作用機序を念頭に置いて話しています。スタチンは、はっきり言って、カビ毒(mycotoxin)そのものだ。カビ毒が有機物(死体も生体も含めて)を分解・腐敗させようとする機序そのものを、「薬効」と称している。カビ毒が流入して機能が破綻しそうになった細胞が、生きようとして必死になって細胞内にコレステロールを取り込む。その結果、「ほら、血中コレステロールが下がって、よかったね」と言っている。
もうね、いい加減こんな茶番はやめにしない?^^;

スタチンの副作用をざっと挙げると、糖尿病、横紋筋融解症、認知症、癌がある。
なぜ、糖尿病が起こるのか?
膵臓のβ細胞は、細胞膜表面にLDL受容体を発現している。つまり、スタチンによって細胞内へのコレステロール流入が起こり(おかげで血中コレステロールは下がるのだが)、β細胞が死ぬ。結果、インスリンが出せなくなって糖尿病になる、という具合だ。
横紋筋融解症や認知症の発症機転も同様だ。筋肉やニューロンにLDL受容体が発現しているせいで、コレステロールの流入により細胞機能が破綻してしまう。
スタチンを取り込んだ細胞が、LDL受容体が細胞膜表面に発現していない(あるいは少ない)場合には、細胞周期の破綻により、癌細胞になる。
副作用として、他にも、体重減少、筋緊張低下、ふらつき、震顫などがある。

当然、製薬会社は研究段階でこういう副作用に気付いていた。
実際、三共は、犬への投与で腸内で血液癌(リンパ腫)が生じたことを報告し、スタチン系薬剤の開発中止を表明した。かつては良心的だったんだね。今ではジェネリックをしれっと売ってるけど。
スタチンの開発には日本人の遠藤章の尽力が大きくて、他の2名(BrownとGoldstein)は1985年にノーベル賞を受賞していることから、遠藤さんのノーベル賞受賞が期待されている。
たとえばこんな記事。
『ノーベル賞候補・遠藤章さん 10年間笑顔で待ち続ける秋田の実家』
https://mainichi.jp/articles/20191018/k00/00m/040/310000c

遠藤さんはスタチンの開発者だから、当然、その毒性についても精通している。
海外メディア(『ウォールストリートジャーナル』)相手だから気が緩んだのか、遠藤さん、こういう発言をしている。
「2004年に受けた検診で、LDLが155だった。スタチンを飲んでもおかしくない数値だけど、薬は飲まずに、頑張って運動して130まで減らしたよ」
「なぜスタチン開発者のあなたが、自分の発明品を飲まないのですか?」という記者の質問に対して、
「日本には、紺屋の白袴という言葉があるんだよ」

自分では絶対飲まないような薬を市場に流通させておいて、それでノーベル賞候補だなんてさ、何かの悪い冗談でしょう?

参考
“PROOF FOR THE CANCER-FUNGUS CONNNECTION”(JAMES YOSEPH著)

ショウガ

2020.2.3

『安心』3月号が全国の書店で販売中です。

小医の寄稿した文章も掲載されております。興味のある方はご一読くださいm(._.)m

安心の編集者さんが僕に一冊献本して頂いたおかげで、購入の労が省けた格好だけど、僕としては初めての全国誌デビューである。うれしいので、自腹でもう二冊購入しました^^
ぱらぱらと本を開いて、他の記事も読んでみる。様々な健康法、健康食材が挙げられている。
エビデンスがどうのこうの、という話になれば、強い根拠があるわけではないだろう。しかし、少なくとも、どれも害のないものである。全国のおじいちゃんおばあちゃんが安心して試せるものである。
西洋薬を見よ。有効とするエビデンスはある。しかし実際に飲めば、健康になるどころか、むしろ副作用で様々な病気になるだろう。
「何よりもまず、害をなすなかれ」が医聖ヒポクラテスの教えるところである。何らかの不調を感じたら、西洋薬に頼る前に、まず『安心』を読みましょう^^

ショウガについて特集されていて、おもしろいと思った。
だいたい、ショウガ科の植物が体にいいことは古くから知られている。生姜は、ショウキョウとして漢方薬に用いられるのはもちろん、調味料として当たり前に用いられているし、今や二日酔い対策の定番となったウコンもショウガ科の植物だ。
薬味として僕の大好きなミョウガもショウガ科だし、「スパイスの女王」として有名なカルダモンもショウガ科である。

ショウガ、ウコン、ミョウガ、カルダモン。
どれも風味が強くて、大量摂取には向いていない。単体で食べるというよりは、他のメイン食材の引き立て役、という感じだ。
どれもショウガ科であり、どれも健康効果があるのだから、ショウガ科植物は、実に偉大だ。この素晴らしい植物を、生活に使わない手はない。

具体的にどういうふうに体にいいのだろうか。
それは今月号の『安心』のメインテーマだから、ここでは詳しく話しません^^
ここでは、『安心」で全然触れられていなかった効果、つわりに対する有効性について、論文を紹介しよう。
『妊娠悪阻に対するショウガの効果』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/002822439190202V
「30人の女性を対象として、妊娠悪阻に対するショウガ(Zingiber officinale)粉末とプラセボを用いた無作為化クロスオーバー二重盲検を行った。
クロスオーバーというのは、実薬群とプラセボ群を、観察期間中に入れ替える操作をかます研究で、単なる二重盲検より、エビデンスレベルが高くなるよ。
観察期間の前半4日間、参加者は1日250㎎のショウガ粉末を含んだカプセルを飲むか、あるいは乳糖の粉入りのカプセルを飲んだ。で、2日間のウォッシュアウト期間(ショウガもプラセボも飲まない期間)をおいて、後半4日間は、飲むカプセルをこっそり入れ替えた。観察期間中つわりの症状の重症度(および軽快度)を二通りのスコア(主観的評価、客観的評価)で評価し、そのスコアを統計的に解析した。
結果、主観的な評価として、19人(70.4%)がショウガ粉末投与中に症状の軽快を感じた(P = 0.003)。客観的な評価でも、ショウガ投与後にはつわりの症状がプラセボ群に比べて有意に軽快していた。
副作用は観察されなかった。
結論:ショウガ粉末の投与は妊娠悪阻の症状の消失および軽快に対して、プラセボよりも有効である」

非常にきれいな、クリアカットな結果だね。
妊娠中、つわりに悩む人は多い。こういう人は病院に行って、メトクロプラミドとかプロクロルペラジンなどの処方を受ける。これ、どういう薬だと思いますか?
どちらもドーパミン受容体拮抗薬です。
と言っても、一般の人はピンと来ないでしょう。だからもっとはっきり言うと、ずばり、統合失調症の薬です。
つわりで気分の悪くなった妊婦さんに、統合失調症の薬を投与している。これが現在、産婦人科病棟で行われている治療です。

不気味ですよね。「妊娠中にこんな薬飲んで、大丈夫?」って思いますよね。
でも一般には安全とされている(だからこそ、妊婦にも遠慮なく処方されている)。
『妊娠時におけるメトクロプラミドと先天性奇形および胎児死亡のリスク』
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/1752754
結論:大丈夫、有意差は出なかったよ。
という論文だけど、、、
こんな不気味な薬飲むより、自分でショウガをすりおろして水に溶いて飲んでいるほうがリスクがないし、効果も多分、ショウガの方があるんじゃないかな。
少なくとも、僕に嫁がいるとして、妊娠したとして、つわりに苦しんでいるとしたら、妙な薬よりショウガを勧めたいな。

ポーカー

2020.2.2

大学時代に仲のよかった同級生連中と、ときどき飲み会をする。
みんな仕事やら家庭やらがあって忙しいから、定期的に開催しているわけではない。
誰かがふと、「飲み会をしよう」とライングループでつぶやいて、突発的に決まるのがお決まりの流れだ。平均すると、年に1、2回くらいの頻度でやっている。

そういうわけで、きのう仕事を終えてからすぐに東京に向かい、友人宅で皆と酒を飲みながら近況を話し合った。

学会などで東京に行くとなれば、山手線沿線の、ビルや商業施設が林立して人が猛烈に混み合うようなところに行くことが多いけど、今回お邪魔した友人宅は、井の頭公園駅の近くにあった。
驚いたのは、井の頭公園の自然の多さである。小さな川が流れていて、木々が茂っている。「こんなに静かな、落ち着いた町が、東京にもあったのか」と思った。
大阪で言えば、山手線は環状線、京急沿線は阪急沿線に似ているようだ。都会の喧騒とは距離を置きながらも、しかしその気になれば30分で新宿まで行ける。梅田へのアクセスがいい阪急沿線の駅と同じような感じがした。

そう、関西出身の僕は、東京のことを何も知らない。
飲みながら、こんな話が出た。
「開成中学の社会科の入試問題に、こういうのが出るんだってさ。ネットの記事なんだけどね、問題、読むよ。
『御徒町で地下鉄に乗り、都庁に行くことにしました。そこで大江戸線に乗ることにしました。上野御徒町駅で大江戸線に乗るときについて、次の文のうち正しいものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 都庁前駅に行くためには1番線に乗らなければならない。
イ 都庁前駅に行くためには2番線に乗らなければならない。
ウ 都庁前駅に行くためには1番線・2番線のどちらに乗ってもよい』
さて、どれだと思う?
これさ、正解はウなんだけど、東京出身者ならだいたい解ける。でも、東京出身者ではない人には、多分解けない。つまり、東京出身者には有利で、そうでない人には不利な問題なんだ。なんでこんな問題が出るのか?
それはね、開成中学の先生の、ちょっとした”思い”なんだ。
開成中学を受験するのは、開成に行きたい子供だけじゃない。合格しても全然開成に行く気もないのに受験する子供がたくさんいる。なぜか?塾の実績作りのためだよ。たとえば灘中学を合格したような子は、まず開成にも受かる。塾としては『開成に何人合格』と宣伝できるのは大きなメリットだから、優秀な子供に受験を勧めて、実績作りに貢献させる。
開成の先生だって、そういう子供がいることは百も承知だよ。ただ、あまりいい気持ちはしていない。だから、東京出身者が少しだけ有利になるような、さっきみたいな問題を出す。露骨なひいき、というような大げさなものではないよ。せいぜい2、3点の話であって、合否を左右する問題じゃない。この問題を落としたって、受かる子供は受かる。ただ、『東京出身の人、頑張ってね』という、ちょっとしたメッセージなんだ」
なるほど、しかし灘中学の先生も同じような気持ちを持っているんじゃないかな。
開成中学が本命の子供が、塾の実績作りのために、行く気もない灘中学を受験している。早稲田アカデミー(東京で有名な進学塾)はバス3台も出して、大挙、灘に乗り込む。塾業界のえげつなさは、西も東も変わらんよね。

友人の一人が最近ポーカーにハマっているという。
昼ご飯を一緒に食べながら、あまり熱心にポーカーの魅力を語るものだから、それなら僕もひとつ、と思って、渋谷にあるポーカーバーに行った。
ポーカーといえば、多くの人がまずイメージするのは、クローズド・ポーカーだろう。5枚の手札を配られて、役を作るためにカード交換をして、その後全員がカードをオープンにして勝敗を競う、というスタイル。
今回、ポーカーバーで経験してきたのは、テキサスホールデムというスタイル。
詳しい説明は省略するけど、結論を言うと、もう、むちゃくちゃにおもしろかった。
何がおもしろいといって、完全に”心理戦”なんだ。クローズド・ポーカーしかしたことのなかった僕は、この歳になって初めて、『ポーカーフェイス』という言葉の意味を真に理解した。そう、テキサスホールデムのポーカーでは、ハッタリが超重要だ。
役がワンペアさえなくても(いわゆる”ブタ”)、澄ました顔で高額のチップを張ったりする。その澄ました顔の裏にある感情を読み合うのが、カイジの世界にいるようで^^、本当におもしろかった。
ハッタリだけではなく、頭のよさも当然必要で、特に期待値の計算ができないようでは、安定した勝率をあげることはできない。
数学の参考書を開くと、確率の問題は、サイコロを投げたりトランプをめくったり、バクチみたいなことばかりしているものだけど^^;、これは確率論の発展がそもそもバクチの研究に由来することを考えれば、当然のことだ。

おもしろいと感じたのは、勝ったせいもあるかもしれない。
そう、ビギナーズラックのおかげか、5時間ほどプレーして、僕はボロ勝ちしてしまった。ただ、一円の得もしていない。換金できればいいんだけど、それをやると完全に賭博で、お縄を頂戴することになるからね^^;
勝ちたいと思いながらも、「どうせ勝ったところで、ただのチップやし」と妙に冷静なところがあって、それぐらいの心理状態の方が勝ち運に恵まれるのかもしれない。
ポーカーのおもしろさを知って、すぐにポーカーのアプリをダウンロードした。将棋、バックギャモンに続き、ポーカーも僕の趣味のひとつに加わった格好だ。
仕事そっちのけにならないよう、気を付けなくては^^;

嫉妬

2020.1.31

マスコミが俳優の不倫で騒いでいるけど、まぁ、すごくどうでもいいニュースだね^^;
どのコメンテーターだったか、「東出昌大や唐田えりかを批判できるのは、妻の杏さんだけ」と言ってたけど、その通りだと思う。家族内のもめごとであって、世間が騒ぐことじゃない。
マスコミ(および世間)が東出氏を批判しまくった結果、東出氏はドラマやCMの仕事から完全に干されてしまった。今後の俳優人生がどうなるかさえ、危ぶまれている。
もし離婚するとなった場合、どうなるか?
不倫による離婚だから東出氏は多額の慰謝料を払うことになるだろうし、さらに、幼い子供が三人もいるということだから、養育費も相当な額になるだろう。そういう状態で、仕事が空っぽならどうなるか。慰謝料も養育費も払えない。そうなったら、困るのはむしろ杏さんだ。
マスコミが妙な正義感を振り回して、内輪のもめごとを好き放題にかき乱し、結果、誰も得していない。有名人って本当に気の毒だ’Д’
しかし、マスコミがこういう不倫騒動を大きく報道するのも、数字がとれるからなんだよね。誰も関心を示さないなら、さすがのマスコミも報じない。つまり、下劣なニュースの繁栄は、僕らの下劣な心の反映、ということかもしれない^^;

『”不倫罪”の女性を石打ちで殺害 アフガニスタン』
https://www.bbc.com/japanese/34718223
信じられない話だけど、女性の社会的地位がずいぶん向上したこの21世紀にも、不倫が文字通り、”命がけ”の国もある。つまり文化圏によっては、今回の一件で唐田さんは命を落としていた可能性さえある。恐ろしい話だね ゚Д゚
しかし、女性には理不尽に聞こえるかもしれないけど、不倫した男性側(東出氏)が殺されることは、どの文化圏においても、まずあり得ない(ただ、現在の東出氏を見ればわかるように、マスコミの力が荒れ狂って、社会的に”死に体”にまで追い込まれることはあり得る)。

一体、この男女差は何なのか?こういう論文がある。
『男性の性的嫉妬』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0162309582900279
Male sexual jealousy
「性的な嫉妬は、父性としての自信を守ろうとする機能であり、従って、男性心理の普遍的に見られる側面であると思われる。これには複数のエビデンスによる裏付けがある。
不倫に関する法律の各文化間の比較研究(および時代ごとの比較研究)のレビューによると、不倫に関する考え方が驚くほど共通している。つまり、それは「既婚女性が他の男と性的接触を持つことは罪であり、被害者はその夫である」という考えである。
デトロイトで起こった不倫が原因の殺人事件(1982年)のように、男性の性的な嫉妬こそが根本にあると我々は考えている。殺人事件の発生原因を各文化間で比較したレビューによると、男性の性的嫉妬を動機とする犯行はどこの文化にも普遍的に見出されるものである。”普通”の嫉妬を対象にした社会心理学的研究、”病的”な嫉妬を対象にした精神医学的研究、いずれの研究も、男性が抱く嫉妬と女性が抱く嫉妬は質的にまったく異なるものであり、研究者らの理論的予測と一致しなかったことを報告している。
男性が暴力を行使したり、あるいは暴力で威嚇したりして、女性の性的行動を強制的に拘束していることは、どの文化圏にも普遍的に見られる現象のようである。女性の性的自由が近親相姦の禁止則によってのみ制限されている社会もある、と唱える研究者もいるが、この主張は記述人種学(ethnography)と明らかに食い違っている」

なんだかんだで、男が文化(社会、法律、学問、芸術など)を作っているから、その産物であるたとえば法律には、男の欲望が反映されている。
それは、根本的には体の解剖学的違い(男性が産ませる性であり、女性が産む性である)に起因するものだから、仕方がないのかもしれないし、是正のために何らかのアファーマティブアクションが必要な場合もあるかもしれない。
しかし、嫉妬という人間に普遍的に見られる感情が、男女で全然質的に違うという指摘はおもしろい。

男の嫉妬、と聞けば、映画『アマデウス』が思い浮かぶ。
モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)の映画ということになっているけど、完全にサリエリ(モーツァルトと同時代に活躍した宮廷音楽家)の映画だと思った。
精神病院で晩年を過ごすサリエリのもとを、神父が訪れる。物語はサリエリの回顧を中心に展開する。
このサリエリ役の俳優(マーリー・エイブラハム)の演技がすごかった。サリエリのモーツァルトに対する”複雑な思い”が見事に表現されていたと思う。
女の尻を始終追いかけまわし、大便がどうのこうのと下品な言葉で大笑いし、賭けビリヤードに狂う遊び人。
しかしひとたびペンを持って五線譜に音符を書きつければ(それはものの5分とかからない)、譜面にあるのは途方もない美をたたえた天上の旋律で、そのことごとくが音楽史に残る傑作なのだった。
サリエリが数年の歳月、身悶えしながら書いた音楽よりも、モーツァルトがビリヤードのキューを持ちながら鼻歌交じりに書いた音楽のほうがはるかに美しいのだった。
天賦の才というものが歴然と存在するという、この残酷さ!
サリエリに与えられた才能は、ただ、モーツアルトのすごさがわかるという、その才能だけだった。

「グラッチ」と神に祈りと感謝を捧げつつ、苦心して作った曲を、サリエリが皇帝に献上した。彼にとって、最も誇らしい瞬間である。
その曲を、モーツァルトが皇帝の面前で遠慮なくけなす。「単調だな。こうしたらもっとよくなるんじゃない?」とモーツァルトがアレンジすると、たちまち華やかな曲に生まれ変わる。
サリエリの当惑と屈辱が伝わってくるようだ。次にサリエリがつぶやく「グラッチェ」には、神への怒りがこもっているようだ。「なぜ私ではないのだ!なぜ、あんな下品な男に才能を分け与えたのか!」
しかしモーツァルトへの感情は、憎悪だけではない。
モーツァルトの曲の魅力を語るサリエリの様子は、彼の才能に対する賞賛と憧れを隠そうともしない。そういうときの彼は、「モーツァルトの偉大さを一番理解しているのは、この自分なのだ」と、誇りに思っているふしさえある。「私はね、彼を知らなかったことがない。私が育ったイタリアの片田舎にさえ、彼の名声は聞こえていた。14歳の私は、8歳にしてすでに皇帝や教皇の前で演奏を披露し11歳で交響曲を書き上げる神童がいることを知った。彼こそがまさしくアマデウス(”神に愛された子”)であり、私の崇拝する偶像だった」

しかしそういう具合に、モーツァルトの才能がわかるというそのこと自体が、彼への嫉妬をも掻き立て、ついにはモーツァルトを殺害するに至った。
そう、嫉妬は、人を殺す。
嫉妬は莫大なエネルギーを持つ感情だから、うまく使えば大きなパワーを与えてくれるに違いないんだけど、これを上手に使いこなすのは相当難しいようだね。

ところでこの映画でモーツァルト役を務めたトム・ハルスは、他にこれといったヒット作のない俳優なんだけど、同性愛者であることをカミングアウトしている。
男女のしがらみに関する嫉妬と完全に無縁な彼にとって、嫉妬という感情と無縁なモーツァルト役は、この上ないハマリ役だったんじゃないかな。

パニック障害と酸塩基平衡

2020.1.30

「体内の酸性化は万病のもと」という言葉は、パニック障害にも当てはまるようだ。
まずは、『パニック~その原因と治療』(“Panic: Origins, Insight, and Treatment” Leonard J.Scmidt著)の一節を紹介しよう。
「パニック発作は、ホルモンバランスの変化によって起こる。パニック発作が起こると、ホルモンによって心臓の調律リズムが影響を受けやすくなり、不愉快な動悸を生じる。
この調律リズムを落ち着ける簡単な方法がある。それは、重曹(炭酸水素ナトリウム、ベーキングソーダ)を使うことである。
小さじ4分の1ほどの重曹を水に混ぜて飲む。それだけである。
体のpHバランスが整い、洞房結節(心筋に電気信号を送っている)に対するホルモンの影響を打ち消すことができる。さらに、重曹によって、胃が神経節(十二指腸の裏側にあって、交感神経、副交感神経の切り替えに働く)を圧迫する力をゆるめ、結果、心臓の洞房結節に対してもリズムをゆるめる信号を送ることになる」(Larrian Gillespie博士)

パニック発作の原因は不明とされている。
ただ、疫学を見てみると、女性の発症率が男性よりも2倍以上高い(パニック障害に限らず、不安障害は全般的に女性の頻度が高い)。また、平均20〜30代の若年で発症するというデータがある。

若い女性に好発するということは、女性ホルモンが関与しているのでははないか、というのは当然の類推だとして、さらに、「ホルモンバランスの乱れの背景には酸塩基平衡の異常があり、その是正に重曹が有効だとはないか」というのが上記の文章のエッセンスだ。

パニック障害には酸塩基バランスの異常が影響しているというのは、今や多くの学者が指摘している。たとえばこんな論文。
『パニック障害における酸塩基平衡調節障害と化学感受性のメカニズム』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4471296/
パニック障害は、再発性のパニック発作を特徴とする複雑な不安障害であり、その発症機序はいまだに十分にはわかっていないが、本疾患に罹患する患者において、死亡率や自殺企図(および既遂)のリスクが有意に高いことが知られている。
しかし、近年、脳機能イメージング(neuroimaging)やパニック発作誘発テストを使った研究により、パニック現象の病因についての洞察が深まり、その発症の背景にある神経的機序が明らかになりつつある。
蓄積しているエビデンスによると、パニック発作の誘因として、アシドーシスの関与が示されている。パニック発作誘発テストにおいて、CO2の吸引や乳酸ナトリウムの注射といった酸塩基平衡を乱すような要因によって、パニック発作が誘発されることが明らかになった。
従って、血中pHがパニックに関連する恐怖、自律神経、呼吸反応に影響する化学感受性のメカニズムの解明こそが、パニック障害の病態生理の解明に直結している。
本稿において、我々は酸塩基のアンバランスや化学感受性のメカニズムがパニック障害に影響を与えていることを示す研究を供覧し、これらの発見が将来に持つ意味を議論していく」

ごく控えめにいっても、革命的な意味を持った論文、だと思う。
この論文がどうすごいのか、わかりますか?
精神科をやっていれば、”不安”を主訴に来院する患者は後を絶たない。会社のストレスとか、家族間の問題があるのなら、傾聴し相手の悩みに寄り添う精神療法が有効なときもあるだろう。でもほとんどの場合は、そうではない。患者は、対象のない、漠然とした、ぼんやりとした不安に苦しんでいる。こういう患者には、これまで抗不安薬を出すぐらいしか方法がなかった。
抗不安薬は十中八九ベンゾジアゼピン系で、これは事実上の”覚醒剤”だ。依存性と耐性があって、患者はこれなしで次第に生活できなくなる。もう薬をやめることはできない、つまり、延々精神科に通い続けるしかないのだから、精神科にとっては、正直、”固定資産”で、こういう患者がクリニック経営を支えている。こんな具合に、精神科医にとっては”蜜”だが、患者当人にとっては地獄である。
しかし、上記論文の内容「パニック障害は酸塩基平衡の乱れが原因であり、そのバランスを是正することで治癒可能である」という知識が一般化すればどうなるか?
不安やパニックを訴える患者に対しては、抗不安薬を処方するのではなく、まず、重曹の飲用を勧める。これだけで多くの患者が救われ、精神科に通う必要がなくなるだろう。新たなベンゾジアゼピン依存患者が生じなくなることは、精神科経営にとっては痛手かもしれない。しかし日本の精神科医療は、今よりはるかにすばらしいものになるはずだ。
そう、パニックに対する重曹の有効性は広く知られるようになれば、精神科の治療現場は一変するだろう。
上記の論文にはそれだけのインパクトがあると思う。

万病が酸性化した体液のせい起こるのなら、理屈上、体液をアルカリ性にするアプローチで万病が治ることになる。
しかし考えてみると、僕がこれまでブログで提唱してきた治療法の多くは、結果的にアルカリにするアプローチでもあったようなんだ。
たとえば、以前のブログで、ベンゾジアゼピンの離脱に液体のマグネシウムやケイ素をお勧めしたことがあるけど、ああいうのも要するに、体液をアルカリ化するアプローチなんだよね。
ビワの種(アミグダリン)が癌に効く、という以前のブログも同じ意味合いで、アミグダリンは体液をアルカリにしてくれるから、癌体質(酸性)を是正してくれるわけだ。

しかし、一般の医者はもちろん、患者当人だって、まさか、そこらへんの掃除に使うような重曹飲んで万病が治るなんて、信じてくれないだろうなぁ^^;

犬の話2

2020.1.30

犬の話をした前回の続き、というわけでもないけど、犬を飼っているおかげで罹患率の低下する病気がいくつかある。たとえばこんな論文。
『幼少期におけるペット(犬、猫)への曝露と、統合失調症あるいは双極性障害の発症リスク』
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0225320

「統合失調症や双極性障害などの重篤な精神障害は、人生の早い段階での環境曝露との関連性が指摘されている。たとえば犬や猫などの家庭内ペットとの接触は、幼少期における環境曝露の一要因である。
出生後から12歳までに犬か猫を家で飼っていたことと、後年統合失調症(あるいは双極性障害)の診断を受けることとの間に相関があるかどうかを調べた。これは、396人の統合失調症患者と381人の双極性障害患者、594人の対照群を使ったコホート研究である。
結果、幼少期に犬への曝露があることは、後年統合失調症の診断を受ける可能性が有意に減少した(ハザード比0.75)。さらに、出生直後および生後一年以内に犬に曝露していると、統合失調症の相対リスクが有意に減少していた。
犬への曝露と双極性障害の間には有意な相関は見出されなかった。また、猫への曝露は、後年、統合失調症、双極性障害、いずれの罹患リスクとも有意な相関がなかった。」

犬にはわかりやすいメリット(統合失調症の罹患率低下)があって、猫には特にそういうメリットがないという。
何かいかにも、犬らしい結果だし、猫らしい結果だと思う^^
でも猫好きにとっては、そういうメリットのあるなしは当然関係なくて、ただもう、かわいいから飼っている。僕も実家で猫を飼っているけど、飼い始めたのは僕が高校生のときからだから、幼少期の曝露、という意味では関係なさそうだ。

猫もときどき、飼い主への親愛の情として顔を舐めてくれたりするけど、頻度としては犬と全然比較にならない。
犬はもう、舐めまくってくるからね^^;ああいうのが、結果的に飼い主家族の健康にものすごく大きなメリットになっている。特に恩恵を受けるのは、腸内細菌叢(つまり免疫系)が形成期にある小さい子供だ。

幼少期から犬を飼っている人のアレルギー発症率が低いことは多くの研究が示している。たとえばこんな論文。
『幼少期のペット飼育が用量依存性にアレルギーのリスクを減少させる』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30566481
「幼少期のペット飼育によって、後年のアレルギー発症から幼児を守る、と示唆する研究は複数ある。そこで我々は、その関係性(生後一年以内の猫と犬の飼育と、後年のアレルギー発症)が用量依存性であるかどうかを調べた。
【結果】用量依存性の関係が見られた。つまり、生後一年以内の時点で、家庭内で飼っている犬や猫の数が多ければ多いほど、各種アレルギー症状(ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎)が少なかった。
アレルギーの罹患率はペットを飼っていない人では49%だったのに対し、5匹以上飼っている人では0%だった(P=0.006)。
【結論】7〜9歳の児童におけるアレルギー疾患の罹患率は、生後一年以内の時点で家庭内で飼っていたペットの数に応じて、用量依存性に減少している。これは、猫や犬がアレルギーの発症に対して予防的に作用する”ミニ農場”効果(“mini-farm”effect)を示しているものと考えられる」

清潔志向の行き過ぎが、現代におけるアレルギー患者の大群を作り出した。
病気の予防に対してするべきことは、消毒しまくることでもなく、ファブリーズを撒きまくることでもない。犬や猫を飼って、むしろテキトーに不潔にしておくことなんだ。
安保徹先生が言ってた。「トイレで用を済ませても手を洗わないこと。まず、そこからです」と。
普通の医者にはなかなかできないアドバイスだなぁ^^;

犬の話

2020.1.30

読んでて何か、妙に胸が温まる感じがしたので、翻訳してみなさんにも紹介しよう。


『毎日一人でバスに乗って公園まで行き、遊び、それからバスに乗ってまた帰ってくる犬』
https://www.irishpost.com/news/dog-rides-bus-every-day-play-local-park-takes-bus-home-178196?fbclid=IwAR1i2hJnXbSM_LW5LLUApX_CMHtvNRpRzNX3wBgrJ0l4vyPrOGFsd8JnEiU

「みなさんに小さいお子さんがおられるなら、子供を一人でバスに乗せるなんて、とてもできない、と思いますか?もしそうなら、このワンちゃんをご覧なさい。
エクリプスちゃんです。

ラブラドールとマスチフのミックスで、なんと、公園まで自分一人でバスに乗って遊びに行くのです!人間の助けが要らないんですね。

ワシントン州シアトルに家があって、家の近くのバス停でバスに乗って、行きつけの公園で降りて、そこでおなじみの友達(犬ですよ)となんやかんやと何時間か遊ぶ。
それで、またバスに乗る。首輪にバスチケットをくっつけてて、そのチケットを使ってバス賃を払い、それで家に戻る。家で夕ご飯を食べて、エクリプスちゃんの一日は終わり。

このエクリプスちゃん、一体どんなふうにして、一人でバスに乗るようになったと思いますか。
ある日、公園に遊びに行こうと、飼い主のジェフさんとバスに乗ろうとしていたときのこと。エクリプスちゃんは公園に行くのが楽しみで、ものすごくワクワクしていた。でも、バスがすでに来て停車しているのに、ジェフさん、タバコを吸っていて、その一服が終わるまではバスに乗ろうとしない。退屈で待ちきれなかったエクリプスちゃんは、なんと、停車しているバスにさっと飛び乗って、そのままジェフさんが気付かないうちにバスが発車してしまった。

幸いバスの運転手はエクリプスちゃんのことを知っていて、この”果敢な旅行者”をガッカリさせたくなかったから、いつもの公園のところで降ろしてあげた。ジェフさんが追いつくより前に。

ジェフさん、「あれ、この子、全然一人でバスに乗って行けるんじゃね?」って気付いたんだな。何度かそういう具合に一人で公園に行かせてみた。何も問題ない。首元にバスの乗車券をつけておけば、ちゃんとその意味がわかってて、数時間後にはちゃんと家に帰ってくる。エクリプスちゃん、ジェフさんの思った以上に頭がよかったんだ。

エクリプスちゃん自身、この毎日の一人旅を大いに楽しんでいるようなんだ。
しかし最も大きいのは、バスのお客さんへの影響だった。いつもバスに乗る人は、エクリプスちゃんのことを知るようになった。
いつもの場所でバスに乗って、いつもの場所でバスを降り、何時間か遊んで、またバスに乗って家に帰るワンちゃんと、同じバスに乗り合わせれば、みなさん、どんなふうに思いますか?
何だかニッコリしてしまいますよね。

そう、エクリプスちゃんはみんなを笑顔にする。エクリプスちゃんの毎日の旅を紹介するフェイスブックの投稿は、30万もシェアされた。」

アメリカという国は問題も多いけど、こういう、いい話も多いな。
日本ではこういう話は生まれにくいと思う。
「公共交通機関に犬が侵入しているわけで、こんな話は美談でも何でもない。犬が苦手な人への配慮を怠っているバス会社の責任はどうなるのか?」
「飼い主のネグレクトであり、ある種の動物虐待だろう。飼い主の責任が追及されるべきではないか?」
「公共交通機関は動物のために運行しているのではない。この一匹だけがバス停にいた場合、運転手はどう対応すべきか。動物を乗せるためにわざわざ立ち止まるというのは、人間のための交通機関というそもそもの趣旨に反しているし、犬への配慮という、運転手に過剰な負担を強いるものではないか?また、盲導犬のように特別なトレーニングを受けているならまだしも、ただの一介の大型犬である。そこらへんに小便を引っかけないとも限らない。衛生的にどうなのか」
みたいな未熟な正論をいうアホがうじゃうじゃわいてきて、いい話の芽も何もかもつぶして、ますます笑顔のない日本になっていくっていうね^^;

もし僕がエクリプスちゃんが乗る路線のバスの運転手だったら、乗せたり降ろしたりのために停車することは、余計な労働どころか、むしろうれしいんじゃないかな。他のお客さんが笑顔になってくれる”お犬様”なんだよ^^?こういう負担なら、喜んで引き受けたい。

こういう話を読むと、ますます犬が飼いたくなるなぁ。

コロナウイルス対策2

2020.1.29

コロナウイルス対策として、ティーツリーオイルが有効、というのをネット上で見かけた。
ティーツリーオイルはその抗菌力で有名で、以前のブログで、歯周病に有効なエッセンシャルオイルのひとつとして紹介したことがある。

基本的に、ウイルスと細菌は別物である。
どちらも病原微生物という点では共通している(そもそもウイルスは「生物」なのか、という問題は置くとして)。
しかし、サイズが全然違う。ウイルスはナノ(10の-9乗)レベル、細菌はマイクロ(10の-6乗)レベルの世界に住んでいる。ざっと、千倍違う。
身長が1メートルの人間はあり得ても、1000メートルの人間はあり得ない。サイズが千倍違うのだから、生物としての特性、繁殖機構、病原性の発症機転なども違うはず、というのが自然な推論である。
ところが一般の病院では、単なる風邪(ライノウイルスなどによる感染症)に対して抗生剤を使う医者がたくさんいる。抗生剤は、細菌に対して殺菌作用なり静菌作用なりがあり得ても、ウイルスに対しては効果がない。
効果がないどころか、抗生剤によって腸内細菌が壊滅的な打撃を受け、体調を一層くずすことになるだろう。患者は、風邪の病勢が悪化したのだと考える。まさか、医者からもらった薬のせいで体調が悪化したとは思わない。実に、無知は幸せである。こんなデタラメを知ってしまったら、医者に腹が立って、心穏やかではいられないだろうから^^;

こんな具合に、細菌とウイルスは別物だから、ティーツリーオイルがウイルスにも効くという情報を見たときに、意外な感じがしたんだな。本当に根拠があるのかな、と思い、論文を調べてみた。
『メラレウカ・アルテニフォリア(ティーツリー)オイルのインフルエンザウイルス(A/PR/8型)に対する活性~その作用機序の研究』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166354210008120
「我々の以前の研究で、メラレウカ・アルテニフォリア(ティーツリー)オイルには、MDCK細胞内のインフルエンザA型に対して抗ウイルス活性があることを示した(MDCK細胞というのは、イヌの腎臓からとった細胞で、こういう研究でよく用いられる)。
具体的には、ティーツリーオイル(およびその構成成分)は、細胞毒性を持つ用量よりも少ない用量の投与で、インフルエンザウイルスの増殖・複製を抑制する効果があることを、我々は確認した。成分としては、テルピン4オール、テルピノレン、アルファ・テルピネオールが主要な活性成分であった。
本研究の目的は、MDCK細胞内でインフルエンザウイルス(A/PR/8型)H1N1型に対してティーツリーオイル(およびその成分)が、どのような作用機序で効果を発揮しているのかを調べることである。
【結果】どの成分にも、殺ウイルス活性やMDCK細胞の保護作用は見られなかった。ウイルス複製のどの段階にティーツリーオイルおよびその活性成分が効いているのかを調べるために、細胞にウイルスを感染させて以後様々な時間差をおいてからティーツリーオイルを投与した。すると、ウイルス複製が最も抑制されるのは、感染から2時間以内にティーツリーオイルが投与された場合であることがわかった。これは、ティーツリーオイルが、インフルエンザウイルスの複製サイクルの初期の段階に作用することで効果を発揮していることを示している。
ティーツリーオイルは、ウイルスのノイラミニダーゼ活性を抑制しているわけではなかった。このことは、4メチルウンベリフェロン(蛍光性基質の 2′-O-(4-メチルウンベリフェリル-N-アセチルノイラミン酸からウイルスのノイラミニダーゼによって切り出される)の量を測定することで示された。
細胞内リソソームの酸化に対してティーツリーオイルが及ぼす効果を、アクリジン・オレンジを使った生体染色で調べた。比較として、バフィロマイシンA1(マクロライド系抗菌薬)を使う対照群を設けた。
染色する前に、細胞を0.01%ティーツリーオイルで37℃で4時間処置すると、酸性の細胞質小胞にアクリジン・オレンジが蓄積するのが抑制された。これは、リソソームの酸化に干渉することでウイルスの脱殻が抑制されたことを示している」

ちょっと難しい内容だけど、要するに、「ティーツリーオイルはウイルスにも効く」ということです。
もう少し言葉を足すと、ティーツリーオイルは、ウイルス感染の初期段階(ウイルスが細胞内に寄生してどんどん増殖していく段階)に作用して、ウイルスの脱殻を防ぐことで増殖を抑制する、ということだ。
この研究で効果が示されたのは、あくまでインフルエンザウイルス(A/PR/8型)H1N1型に対してであって、他のウイルスに効くかどうかは不明だけども、ウイルスの増殖機構は基本的に共通しているから、一応の効果は期待できると思う。

では、さらに具体的に、ティーツリーオイルをどのように利用すればいいのだろう?
飲む、というのは、さすがにワイルドすぎると思う^^;「薬は毒で、毒は薬」。体にいいものも、大量投与ではかえって毒性が出たりするものだ。
マスクに何滴かつけるだけで、気道粘膜に侵入するウイルスに効果があるだろう。

また、これは当院でやっていることだけど、こんな具合にアロマディフューザーにティーツリーオイルを何滴か入れて拡散させる、という方法でも、いい感じに呼吸器を保護してくれるだろう。

コロナウイルスによるパンデミックは、これまでに前例がない。でも、前例がないからなす術がないかといったら、全然そんなことはない。医者に頼らず自分でやれることは何かとあるから、予防のためにやっておくといいよ。