院長ブログ

観葉植物

2019.10.6

犬や猫を飼いたいけど、仕事が忙しくて世話できないし、そもそもペット禁止のマンションだから、飼えない。
代わりに、というわけでもないけど、植物を育てている。
鉢植えのガジュマル。
3ヶ月ほど前に買った。5センチくらいの小さな木。
朝クリニックに行けば、まず、ガジュマルに水をやる。
植物だから、動かないし話さない。でも、水を浴びて喜んでいるのがわかる。
妙な話だけど、本当に、わかる。
木の精、というのがいるような気がしている。気のせい、ではなくて。
夏の日光をたっぷり吸収して、毎日みるみる大きくなった。
鉢のサイズが合わなくなったので、大きな鉢に換えてやった。
この一夏で、20センチほどに成長した。

よく老人が趣味で盆栽を育てていたりする。何が楽しいのやら、さっぱり理解できなかった。
でも、今ならわかる。
植物は動かないし話さない。でも、毎日気にかけて何かと手をかけてやると、その熱意にちゃんと応えてくれるんだ。
ペットのようなダイレクトな反応ではないから、それはわかりにくいかもしれない。
感じようとしない人なら、何も感じないだろう。
でも、それは確かに、ある。

若いときにはわからないことがある。
若者特有の、あの直接的で、がさつで、生き急ぐような情熱。
盆栽の味を理解する心とは、対極にあるものだ。
実際に人生を生きてみて、年齢をとって、ある程度枯れて、そうして初めて見えてくるもの、というのがあるらしいんだ。
もう俺もおっさん、ということか(/ _ ; )

老若男女、誰にでもわかる話をしよう。
観葉植物の科学的なメリットについて、だ。
ビルのオフィスに観葉植物をひとつ置くだけで、ずいぶんオフィスの印象が変わるものだ。人間はかつて数百万年の間、自然の中で暮らしていた。閉め切ったビルのなかで暮らすようになったのは、せいぜいここ百年のこと。植物が僕らの精神に癒し効果をもたらす背景には、「緑への郷愁」があるせいかもしれない。
もっと実際的なメリットとしては、空気清浄作用だ。
たとえばこんな論文がある。
『観葉植物による一般的室内濃度のアルデヒドやケトンの取り込み』
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es9020316
ピースリリー(スパティフィラム属)とゴールデンポトス(サトイモ科エピプレムヌム属)の葉が、低分子量のアルデヒドやケトンを一般的な室内濃度(101−102 ppbv)でどれくらい吸収するのかを測定した。
アルデヒド(C3−C6)およびケトン(C4−C6)はこれらの植物によって吸収されたが、C3のケトンは吸収されなかった。
周辺濃度で調整した吸収速度を調べたところ、アルデヒドは7〜19 mmol(1平方メートル、1秒あたり)、ケトンは2〜7 mmol(1平方メートル、1秒あたり)だった。
長時間燻蒸したところ、吸収した総量は葉に溶解した量の30〜100倍だった。これは、揮発性の有機炭素が葉で代謝されたか、あるいは葉柄を経由して別の部位に運ばれたことを意味している。
細胞内濃度と周辺濃度の比(Ci/Ca)は、ケトンよりもアルデヒドで有意に低かった。
特に、直鎖不飽和アルデヒド(クロトンアルデヒド)ではCi/Ca比がほぼゼロだった。これは恐らく、極めて水溶性が高いためと考えられる。

ちなみに、スパティフィラムの画像。

ポトスはこういうの。

名前を知らなくても、誰しも見たことがあるだろう。
しかしこれらの植物に、空気中の有害物質除去作用があることを知る人は少ない。
高額な家やマンションを購入したものの、そこに住み始めて以後、くしゃみや鼻水が止まらなくなった、という人がいる。
シックハウス症候群だ。
建築資材に含まれる有害物質が空気中に充満して、人が住めないような新居を、大枚をはたいて買ってしまったわけだ。
こういう人は、まず、観葉植物や活性炭を部屋に置くといい。
下手な空気清浄機よりもはるかにコスパがいいはずだ。