院長ブログ

牛肉

2018.11.24

「糖質制限?砂糖菓子みたいな甘いものはもちろん、できればパンや麺類も控えめにしろだって?
じゃ、一体何を食えばいいんだ?
タンパク質?
そうか、じゃ、肉とか魚食えばいいんだな。よし、わかった。」
という理解のもと、糖質を減らし、タンパク質の摂取を心がけている人は多いと思う。
糖質の過剰に起因する症状は多いから、この食事方針でおおむね間違っていないんだけど、いくらか気を付けるべきこともあって、そのひとつとして、タンパク質の質について指摘しておきたい。

肉をたくさん食えと言われたら、スーパーで肉を大量に買う人もいるだろう。まとめ買いして冷凍保存しておけばお買い得だからね。
しかしこういう場合に買う肉は、アメリカ産の安い牛肉であることが多いと思う。
アメリカ産牛肉の質について、警告を発している記事がある。
https://www.organicconsumers.org/news/hormones-us-beef-linked-increased-cancer-risk
このページの内容を訳しつつ紹介すると、、、

アメリカで生産される牛肉はホルモン剤による汚染がひどいが、これは近年の生殖器系の癌や小児の癌の増加と関連している。
性ホルモンの増加と生殖器系の癌の発生には相関があり、1975年と比較して、前立腺癌は60%、精巣癌は59%、乳癌は10%増加している。
家畜に投与されるホルモンには、天然由来のエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンもあるが、合成のホルモン(ゼラノール、トレンボロン、メレンゲステロール)もある。
粒状に固めたこれらのホルモン剤が、牛の耳の下に定期的に埋め込まれる。屠殺される100日ほど前の、肥え太らせる時期には、念入りに行われる。
これらのホルモン剤を打つ打たないで、屠殺後の肉の重量がまったく変わってきて、ホルモン剤の投与により牛一頭あたり80ドル以上利益が増えることになる。
しかしその肉には当然ホルモン剤が残留していて、普通の家畜の肉と比べて20倍も高いホルモン濃度が検出される。
違法とされているが、耳の下の皮下ではなくて筋肉に直接ホルモン剤を埋め込むこともよく行われていて、そうすると残留ホルモンはさらに高くなる。
しかもそうした残留ホルモンの有無やその濃度について、まったく検査が行われていない。
シノベックスS(エストロゲンとプロゲステロンの合剤)を耳元に一個埋め込むだけで、肉の中に残留するホルモン値は20倍に跳ね上がる。
8歳の男の子がハンバーガーを2個食べたとしよう。それだけで、この男の子の血中エストラジオール濃度は10%も増加する。(小児では通常血中ホルモン濃度は非常に低く保たれているものである。)
小児癌の発生率が1975年以後、38%も増加しているのは不思議なことではない。
ホルモン剤の危険性については、実は昔から言われていた。有識者による調査や議会の公聴会でも証言されているのだが、政治がまったく動かない。
アメリカ人女性の乳癌の罹患率は、ホルモン剤を使用した牛肉の販売が許可されていない地域と比べて、5倍高いことが知られている。
これは地域差や人種差によるものではない。
ロサンゼルス(人口密度、人種の多様性が最も高い地域)で行われた研究によると、元来乳癌罹患率の低い日本人移民も2世になると急激に罹患率が上昇することが示されている。

単に「肉を食え」だけでは、焼肉の食べ放題とかに行く人も多いと思うけど、ああいう食べ放題の店で出てくるお肉が、グラスフェッドでホルモン剤フリーな高級肉であるはずがない。
外食をするときも、スーパーで肉を買うときも、肉の質にこだわることを忘れちゃいけないよ。
糖質制限のおかげで糖尿病は軽快したけど、乳癌になりました、では、まったく笑えない。
食べるものの安全性を確保するのが、すごく難しい時代になってしまった。
魚(特に大型の回遊魚)には水銀などの有害ミネラルが多いということは昔から言われていたけど、311以後放射能にも気を付けないといけなくなった。
ブラジル産鶏肉もやばいというけど、焼き鳥のチェーン店なんて、みんなそういう激安肉を使っていると思う。
安く仕入れて高く売る、というのが商売の基本だからね。客の健康なんて気にしてたら、商売が回らないだろう。
もはや無邪気に性善説で生きていくわけにはいかない時代なんだ。
外食をするのなら、危険な食材を使っているかもしれないリスクを承知の上でないといけない。
めんどくさいことだけど、自分で知識を仕入れることが必要で、その上で自衛するか妥協するかを選んでいく。
それしか方法がないんだよね。