院長ブログ

女医

2018.8.2

「今日、読売がすっぱ抜いたニュース、見た?
東京医大が女子受験生に対して、一律に減点していた、ってやつ。
現場で働いている医者からすれば、こんなの別段ニュースというわけでもないんだけどね。まぁ当然あるだろうな、ぐらいの話。
大学医学部としては、国立、私立を問わず、正直、女子には医学部に入ってきて欲しくない、というのが本音だと思うよ。
だって、女医ってさ、すぐにいなくなっちゃうんだもの。

医局はね、新人を大切に育てようって思う。様々な知識や技術を身につけさせて、で、それと引き換えに、医局にしっかり貢献してもらう。
でも女医は、結婚とか出産とかで、すぐにどこかに消えてしまう。
手塩にかけて期待して育てた新人が、恩知らずにあっさりどこかに消えてしまう無力感。そういうさ、医局の教授や指導医の気持ちって、想像したこと、ある?
医局っていうのはボランティア団体じゃないんだ。離職するリスクが高い女性は敬遠して、末永く一緒に働いてくれる男の医者が欲しい。そう思うのは、現場としては当然の感覚だろ?

特に外科はその傾向が強い。
外科ってのはある意味職人技の世界だから、指導医は本当に大変なんだ。勝手に教科書読んどけ、では人を育てることはできない。新人の前で手技を実際にやってみせ、練習させて、ダメ出しして、という地道な訓練の繰り返しを通じて、熟練の外科医に育てていくんだ。
指導医のほうも生半可な気持ちでやってないから、時には熱くなって怒ることもあれば、一生懸命自分についてくる新人をかわいいと思って、一緒に酒飲んで下品な話とかバカ話をしたりもする。
そういう世界に女医が入ってきたら、どうなるか。
やりにくくて仕方ないんだよ。まず、男よりも体力がないから、使い勝手が悪い。外科だから急患が入ることも当然あるんだけど、そういうのでシフトがイレギュラーになっただけで、愚痴をいう。
ちょっと厳しくしただけで、パワハラだセクハラだとどこかに泣きつく。そのくせ、生理休暇とか、女性としてのに特権だけは一人前にフル活用する。
外科というのは徒弟の世界なんだ。理不尽はあるよ、当然。でもそんななかで、女性たちは自分たちの性別への配慮をも要求する。正直ね、勘弁してくれよ、という感じなんだ。
うちの教授は『女医さんがいると医局が華やかになるね』なんて言っているが、もちろんあんなのは口先だけだ。本音は、女医には入ってきて欲しくないと思っている。
組織の存続のことを本当に思っている責任者にとってみれば、女医の扱いというのは何ともやっかいな悩みの種なんだ。

僕は受験生の選抜に関わったことはないから詳細は知らないが、女医のやりにくさを痛感している教授が受験生の選抜に一定の影響力を持つとなれば、入り口の段階できっちり選別しておこう、となってもおかしくない。私学なら、なおさらだろう。
この前、裏口入学がバレたニュースが問題になってたけど、裏口入学自体はニュースでも何でもない。私学なんだから、多額の寄付金を払ってくれる学生は上客だから、優遇する。経営のことを考えれば当然のことだろう。

国立大学の医学部でも、これほどあからさまではないが、女子が入学しにくいようにしているところはある。
たとえば僕の出身大学は、2次試験の受験科目は英語と数学だったが、英語の配点が数学よりもはるかに低かった。なぜだと思う?
英語ってのはね、毎日の積み重ねがものをいう科目だから、はっきり言って、バカでもできるんだ。でも数学はそうじゃない。計算ドリルを延々繰り返したって数学ができるようにならない。ひらめきとかちょっとしたコツがいる科目なんだ。
女性は論理的思考ができず、数学が苦手なものだ。逆に、毎日の努力で何とでもなる英語は、女性の得点源になってしまう可能性がある。
とまぁ、事実か偏見か知らないが(脳科学的には一面の真理を含むのだが)、このような考え方のもと、男性を有利にする配点が行われているわけだ」

でも、女医さんにこそ向いている分野もあるんじゃないですか。
産婦人科とか。女性にしか分からない悩みってあると思いますし。

「違う。分かってないね。総じて、女医は必要ない。例外はあるだろう。でも基本的には、現場は男の医者で充分だ。
たとえば産婦人科で、産婦がお産をする。『男の医者か、女医、どちらかに分娩を手伝って欲しいか、選べ』となったら、たいていの人は男の医者を選ぶよ。
女医って未熟に見えるんだよ。「きちんとした、経験豊富な男の先生をお願いします」って思うんだ。
絶対に失敗したくないってときの女性心理だからね。人間の本音はこういうときに出る。
当の女性自身だって、女医を望んでなんかいやしないんだよ。
僕の所属する医局には女医はいない。無理なんだ。女性に何時間も立ちっぱなしの外科手術を任せるということは。体力的に。そして、職場の雰囲気的に。
誤解のないように言っておくけど、僕は女性蔑視の意味でこんなこと言ってるんじゃないよ。
むしろ真意は逆で、女性擁護の立場から言っている。こんなハードな職場で働かせちゃいけないと思う。

すでに女子入学者の割合が半分を上回った医学部もあると聞く。この先、きっと大変なことになるよ。
現場の先生は、そういう危機感を身をもって感じているから、そもそも入り口で女子を制限しようとしたんだ。
この一件、世間一般の人は女性差別だと騒ぐだろうが、僕には大学当局の心情が分かるだけに、批判できないな。
性別によって、できる仕事、できない仕事、向き不向きがあることは、いまさら言うまでもなく明らかで、一般企業はこの原則で職員の採用を行っているのに、医学部だけはそこからはみ出しちゃいけない、というのは、ちょっと酷じゃないかと思う。
たとえば僕が風俗嬢になりたくて、採用面接に行って、性別を理由に落とされたら、男性差別だ、と訴えようか」

先生、それは極論です笑