院長ブログ

冠動脈疾患

2018.7.30

動脈硬化が進むと、狭心症とか心筋梗塞など、心臓に症状が出ることがある。
一般的な病院にかかって治療するとなれば、とりあえず以下のような指導をされることが多いと思う。

1.禁煙
2.塩分・糖分・脂肪分を取り過ぎないバランスのよい食事
3.適度な運動
4.ストレスを避け、規則正しい生活を送る
5.血縁者に心筋梗塞の患者がいれば特に注意
6.高血圧・糖尿病・高脂血症の早期発見
7.強い胸痛を感じたらすぐ病院へ

おおむね同意だけど、いくつかコメントしたい。
「タバコは体に悪い」としばしば健康の敵としてやり玉にあげられるタバコだが、この言葉は不正確で、正確には「タバコに含まれる添加物は体に悪い」である。
ナス科タバコ属の植物の葉を乾燥させて、それに火をつけてその香りを吸引することは、むしろアロマテラピーに近い行為であって、ストレス緩和作用をはじめ、様々な薬効が期待できる。
循環器に対するストレスの悪影響を軽減するためには、むしろタバコは推奨されてもいいと思う。ただし、それは添加物を含まないタバコに限る。一般に販売されているタバコは、やはり、「体に悪い」。

塩分が高血圧の原因というのは神話であって、現在ではすでに否定されているが、いまだに減塩指導がされている。人間にとって塩は不可欠であるにもかかわらず。
この間違った指導のために多くの人が無用の苦しみを味わっている。
制限すべきはむしろ、塩よりは化学調味料だ。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21372742)
味の素がどれほど体に悪影響を与えるかということは、日本ではほとんど知られていない。マスコミの一大スポンサーだから、味の素に否定的な報道はたとえそれが真実であっても言えない、ということだろう。
糖分の害については最近多くの人が知り始めたところなので、ここではあえて触れない。
脂肪分については、一概に退けるべきでない。トランス脂肪酸(サラダ油など)など極力控えるべき脂肪があるのは確かだが、現代人には不足しがちなオメガ3系脂肪酸(亜麻仁油、荏胡麻油、青魚)の摂取はむしろ推奨される。

高血圧、高脂血症など、数字だけを見て「高いね。お薬を始めましょう」と条件反射的に投薬が始まるのが現代医学だけど、なぜ高いのか、その背景に思いを巡らせば、機械的に投薬することには躊躇があってしかるべきだ。
人間の体はバカじゃない。血圧をあげる必要があるから、高いのだ。それはたとえば、末梢に虚血があるから、心臓が頑張って血圧をあげているのかもしれない。
なぜ血中の中性脂肪やLDLが高いのか。その背景にはインスリン抵抗性があることが多い。そうだとすると、まず取り組むべきは食生活の改善であるべきだ。食習慣にメスを入れずに投薬だけ開始するのでは、治療として不適切だ。

バランスのよい食事、とはよく聞くフレーズだが、この定義は知らない。ただ、野菜にしても肉にしても、現代の食事は昔と比べて、そもそも食材に含まれている栄養分自体が減少傾向にあることは間違いない。
したがって、本人としては、普通にバランスのよい食事をしているつもりでも、必ずしも十分量の栄養が体に足りているとは限らない。
そこでサプリメントの出番である。食事で摂取できるのならそれに越したことはないが、栄養の不足しがちな現代人にとって心強い味方になるだろう。

栄養療法は、サプリを含めた栄養の摂取および食事改善によって病気を治癒させる、というのがその核心である。
以下にホッファーの経験した循環器系疾患の症例をひとつ供覧しよう。
以下、”Orthomolecular Medicine For Everyone”からの引用。

「M.B.は冠動脈閉塞のために2週間の入院が必要となった。一見回復したように見え、心臓病患者の健康プログラムに参加していたが、1年経っても非常に疲れやすいままだった。
平坦なところを歩いている分にはよかったが、階段を上がると息が切れた。それに、ストレスに対処するのが非常に難しく、これがために彼は職場で上級管理職として能力を発揮することができなくなった。私のところに診察に来る前に、彼はすでに食事を改善していた。
私は彼に砂糖抜きの食事を開始し、サプリとしてナイアシン、アスコルビン酸、ビタミンE、ピリドキシン、硫酸亜鉛を加えた。1カ月後、彼はほとんど正常に戻っていた。活気に満ち、不必要に緊張を感じることもなく、ストレスに対しても楽に対処できるようになった。」

ごく簡潔な症例報告だけど、ここには栄養療法のエッセンスがつまっている。
一般的な治療では充分に軽快しなかった症状が、食事の改善と適切なサプリの併用によって、見事に治癒したわけだ。
一般的な病院で治療を受けているものの、いまいち治りきらない、という方は、一度栄養療法を試すといいよ。
別に危険な薬を飲むわけではなく、飲むのはまぁ言ってみれば単なるビタミンだから、副作用もほとんどない。
試さないと損だと思いませんか。