院長ブログ

血液型占い

2018.7.25

「B型?やっぱりね!あつしさんマイペースだから、きっとそうだと思った」みたいなこと言われてもどう反応したらいいのか分からへんから、とりあえず笑っとこ。
血液型は飲み屋で話すネタの定番だから、僕も一応「A型は几帳面、B型はマイペース、O型は大雑把、AB型は二面性がある」程度の知識は持ってて、お姉ちゃんの話に合わせられるようにしているんだけど、まぁ正直、全然信じてません笑
こんなの、バーナム効果そのものでしょ。両義性の間を揺れ動くのが人間だから、どう言われたって当たってるように感じるものなんだ。

そもそも血液型というのは、赤血球表面にある抗原の型のことなんだけど、これが人の性格に影響することがあるのか?
あるとすれば、どういう機序で?白血病の人に骨髄移植をすると血液型が変わることがあるが、それに伴って性格も変化するのか?

血液型と性格の関係がこんなに言われているのって世界中でほとんど日本だけだ(他には日本の影響を受けた韓国や台湾ぐらい)。
この背景には、血液型と性格の関係が初めて本格的に論じられたのが、日本人研究者によるものだったということもあるかもしれない。(1927年『血液型による気質の研究』古川竹二https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00224545.1930.9714153)
あと、日本人の血液型の割合って、A型38%、B型22%、O型31%、AB型9%と、けっこういい感じにバラけていて、こういうのも血液型占いがウケる一因になりそうだ。たとえば中南米(ボリビア、メキシコ、コロンビア、ジャマイカ)ではほとんどの人がO型だし、ペルーやブラジルに至ってはほぼ100%の人がO型なんだけど、こんな国で血液型占いが流行らないのは明らかだろう。
アメリカはA型41%、B型10%、O型45%、AB型4%と、A型とO型に偏っていて、アメリカ人には自分の血液型を知らない人も多い。というか、「血液型って何?どういうタイプがあるの?」と、その存在自体知らない人もいる。だから、来日したアメリカ人は、日本人の誰もが自分の血液型を知っていることに、非常に驚く。

血液型と性格の関係は日本発祥だけあって、すでに戦前、軍によって詳しく研究された。血液型と性格に本当に相関があるのなら、兵士をどこの部署に配置するかを決めるのに、血液型が参考になる。
たとえば俗説が言うように、O型が本当に大雑把だとすると、O型の人に重要機密の扱いを任せるわけにはいかないし、A型が規律正しく勇猛果敢だとすると、前線にはA型の人員をメインで集めよう、といった具合に、適材適所な配置が可能になるだろう。省庁や企業の人員雇用にしても、血液型による優遇(あるいは差別)が必要悪になるかもしれない。
でも、研究の結果、相関は否定された。つまり、血液型と性格というのは、科学的にはケリのついた話なんだ。

それでも、僕ら日本人は血液型の話が大好きだ。
飲み屋のバカ話として盛り上がっているうちはいいんだけど、こういうのを真に受ける人が一定数出てくるもので、たとえば僕の父は「あいつ、AB型の変人やからな」みたいなことをちょくちょく言う。しかも割とマジなトーンで。
まじめに訂正するのもあれやからスルーしてるけど、血液型による差別なんてのも起こりかねへんのよね。
そういう意味で、血液型の話って、けっこうリスキーな火遊びなんだよ。
「A型はアホ、B型はバカ、O型は頭からっぽ」とかね、こういうシャレにとどめとく分には全然いいと思うんだけど。