先月オーソモレキュラー学会に行くために久しぶりに新幹線乗ったら、降車時に運転手が英語でアナウンスしてた。いつから始まった習慣なのかね。しかし、その英語がびっくりするぐらいヘタクソだった。ああいう、全力のカタカナ英語風発音は久しぶりに聞いた。ついフフってなったけど、近くに座ってた外人も失笑してた。
日本人としては恥ずかしいけど、観光で来てる外人にとっては案外こういう英語は旅情を感じるポイントのひとつかもしれない。昔タイに旅行に行って飛行機から降りるとき、パイロットの英語がひどいタイ語なまりの英語で、そういうところに、僕はすごく「旅」を感じたから。

「学会で東京に行くんだけどさ、具体的には田町に行きたいんだけど、どう行くのが早い?新幹線で東京駅まで行って乗り換え?」と聞いたら、「いや、品川で山手線に乗り換え」と即座に返ってきた。さすが、東京在住だけあるなぁ。
「いや、その質問は超イージーだよ。あつしが電車のことわかってなさ過ぎるだけだね。山手線の内回りと外回りもわかってないでしょ」
あー、それ、確かにわからない。大阪にも環状線があって、内回りだ外回りだ言ってるけど、意味がわからない。
「まずね、日本では道路、鉄道、いずれも左側通行だってこと、わかる?」
あー、言われてみれば確かに!道路は知ってたけど、線路も左側通行やね。それは知らんかったわ。
「でね、次にその左側通行の道路なり線路なりが、輪っかを描いているところを想像してみなよ。外側を走ってる電車は時計回りに、内側を走ってる電車は反時計回りに動いていることがイメージできるでしょ」
あー、なるほど。よくわかった。それなりに長く生きてきたつもりだけど、こんな基本的なこと、今まで知らなかったとはなぁ。環状線の内回り外回り。義務教育で教えてもいいぐらいの話だね。
ところで、環状線の大阪駅から新今宮駅まで行くには、内回り、外回り、どっちが早い?
「うーん、微妙だね。それほど変わらないんじゃないかな。大阪のことは詳しくないから、ネットで調べてよ」

閑話休題。
オーソモレキュラー学会の話をしよう。とある演者が、PQQについて話していた。
PQQって聞いたことありますか?
「環太平洋パートナーシップ協定のこと?」それはTPPだね。
「バーベキューのこと?」それをいうならBBQだね。
「6Pチーズで有名な?」それはQBBだね。
そうではなくて、、、
PQQというのは、ピロロキノリンキノン(Pyrroloquinoline quinone)の略称だ。
PQQについては、文献で何度か読んだことはあったけど、誰かの講演を聞くのは初めてのことだった。

PQQは細菌の脱水素酵素の研究中に、酸化還元反応に関与する補酵素として発見された。哺乳類では生合成されないが、ヒトやラットの各組織には微量のPQQが存在する。これは食事から摂取したPQQが全身に取り込まれるためだ。

ある栄養素が重要かどうかは、その栄養素を抜いた食事をとらせてみて、どういう影響が出るかを観察すればわかるものだ。
ラットでそれをやってみた。すると、PQQを抜いたエサを与えられたラットでは、成長障害、免疫異常、生殖障害など、様々な不調が現れた。
写真で比較すると、その影響は明らかだった。普通食のコントロール群に比べ、PQQ欠乏食のラットは、小柄で、毛並みの色ツヤが悪く、いかにも病弱な様子だった。

PQQの効用として、成長促進作用、抗糖尿病作用、抗酸化作用、神経保護作用などが確認されている。これらの効用の背景には、PQQがミトコンドリアの活性を高める可能性が言われている。

体内で生合成できず、食事性に摂取するしかない必須の微量栄養素。これはビタミンの定義だ。
そういう意味ではPQQはビタミンに他ならないのだが、現在のところ、学者間でのコンセンサスはない。しかし近いうちに、公式にビタミンの一種として認められる日が来るかもしれない。

講演を聞きながら漠然と思った。
成長促進作用があるということは、僕みたいに筋トレをしている人にとっては、筋トレの能率を高めてくれる可能性はないかな。
ミトコンドリアのエネルギー産生能率を高めるということは、アスリートの運動能力を高める可能性もあるな。
PQQのある食事とない食事で、あれだけマウスの色ツヤが違うということは、美容にかなり効く可能性があるな。
欠乏すると不妊になるということは、現在不妊症に悩むカップルにとって、有効な治療法となる可能性はないかな。

発見されて以後まだ歴史の浅い物質だけに、今後の実力は大部分未知数で、ひょっとしたらものすごい有効な栄養素かもしれない。
ナイアシンやビタミンCぐらい効くとすれば、栄養療法の世界にとっては、ちょっとした事件だろう。

そう思って、ネットでPQQをいくつか買ってみた。親しい人に手渡して「モニターになってよ。後で使った感想、教えて」
で、きのう、使用者本人から話を聞いた。
「すごいよ、これ。ほら、見て、私の肌。2週間前よりきれいになったと思わない?(う、うん、きれいになった、、かも)もうね、化粧の乗りが全然違う。明らかに肌のツヤがよくなった」
他の変化は?
「他は、ちょっとよくわからない。もともと別に病気もないし、元気だから。ただ、私が一番変化を感じたのは、肌の調子。これは本当に、劇的によくなったと思う」

女性にとって「肌がきれいになる」というのは、たとえば「風邪をひきにくくなる」とか「疲れにくくなる」なんかよりも、はるかにうれしいことだろう。
ちなみに、使ったのはこのメーカーのもの。

コエンザイムQ10やNAC、グルタチオンが入っているから、PQQ単独の効果とは言いにくい。他の栄養素がもたらす抗酸化作用やミトコンドリアの賦活作用などが、PQQの効果と相乗的に効いた可能性は、普通にあるだろう。
誰しもに効くとは限らないが、美肌を目指す人は一度試してみる価値はあるだろう。