「無添加がいい、化学調味料なんてもってのほかだ、とか急に健康オタクになった夫が言い出してさ。味の素がいかによくないか、電子レンジがどれだけ体に悪いか、みたいなのを力説するわけ。
今まで散々そういう文明の利器に頼っておいて、いきなり何だよ、って思うんだよね。
手間がかかるけど、これまで味の素を一振り入れて味付けしてたのをやめて、昆布やかつお節をわざわざ煮出してダシをとるんだけどさ、化学調味料の強い味付けに慣れちゃってるもんだから、薄いとか味気ないって文句を言う。
もうね、お前が自分で料理しろよ、っていう。
仕方ないから、これ、旦那には言ってないけど、今でも味の素使ってる。ただし、量は減らしてね。
『うん、うまい。やっぱり天然の味はいいなぁ』なんて言ってて、本当、バカ舌なんだよ」
話を合わせて一緒に笑っておいたけど、怖い妻やなぁ笑
そう、化学調味料の発明は実に偉大で、いまや外食産業はこれなしでは成り立たないだろう。
どんな粗悪な食材でも、おいしくしてしまう魔法の粉。ダンボール肉まんというのがあったように、その気になれば食べ物ではないものさえ、おいしくできてしまう。
しかしこのおいしさには、リスクが潜んでいる。

肝毒性をテーマにした論文があったから、紹介しよう。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896841107001400
表題は、『グルタミン酸ナトリウム:肝臓の炎症および異形成を促進する悪役』
タイトルにvillain(悪役)なんていう、比較的感情的な言葉があるのは珍しい。小説には出てきても、論文には使われる語彙じゃないからね。
内容は、、
自己免疫疾患を含め様々な病気の経過において、慢性的な炎症こそ、共通のテーマである。慢性炎症の経過は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を見ればよくわかる。
NASHは西洋化した社会で患者数が急増している。西洋式のライフスタイル、特に食事が直接的な影響を与えている。
懸念すべきことは、NASHが悪化すれば、最終的に肝細胞肉腫になる可能性があることだ。
我々は以前、ICRマウスにMSG(グルタミン酸ナトリウム)を注入すると炎症が起こり、中枢性肥満や2型糖尿病になることを報告した。炎症に対してMSGが長期的にどのような結果を及ぼすかを調べるために、MSG注入マウスの、特に肝病理に注目して、継続的な分析を行った。
6ヶ月齢および12ヶ月齢までに、すべてのMSG注入マウスでNAFLDかつNASH様の組織像を呈した。特に、12ヶ月齢のマウスの脂肪肝炎像は、人間のNASH像と見分けがつかないほど類似していた。 さらに、繊維化した肝組織内に異形成結節病変が見られる個体があった。
MSG注入マウスでは、人間のNAFLD、NASH(前癌病変)とよく似た脂肪変性および脂肪肝炎が起こっており、肥満と糖尿病を呈することを我々は観察した。
これらの結果は、日常生活でMSGが広く用いられていることを考えると、非常に重要である。我々としては、MSGの安全プロフィールが再検討され、食品市場からその使用が禁止されることを提案する。

肝臓の病理像に変化が見られたということは、MSGは肝臓で代謝されて、その際に肝臓に負荷を与えるということだろう。
うまみ調味料であって、砂糖みたいに甘いわけではないMSGが、肥満や糖尿病の原因になり得るというのは、意外なことだ。
ただ、あくまで動物実験であって、MSGを体内に注入するという、人間の日常生活ではあり得ない状況での結果だということも気にとめておきたい。
だから、健康オタクの旦那さんが、天然の昆布ダシだと思いながら毎日MSGを盛られていたとしても、少量なら大きな問題はないだろうけど、この夫婦は、信頼関係とか、もっと根本的なところでやばいと思う^^;