去年(といっても、2週間ほど前のことだけど)、アメリカで最高齢の男性が亡くなった。
リチャード・オーバトンという112歳の退役軍人。
この人が109歳のときに、以下のようなショートフィルムが作られた。

ここで述べられている彼の食生活、ライフスタイルが興味深い。
タバコは吸うし、毎朝のコーヒーは欠かさない。コーヒーは多いときには朝だけで4杯も飲む。ときには朝からウィスキーさえ飲む。
牛乳が好きで、「生まれてからずっと飲んでいる」という。
スープが好きだというんだけど、映像を見れば明らかなように、キャンベル社のスープで、添加物がてんこ盛りの缶詰。
さらに、毎晩アイスクリーム(バター・ピーカン)まで食べる。
日々健康に気を使って、食べたいものも我慢している人からすれば、卒倒するような食生活だろう。
食事と長寿の関係を調べる学者の努力を、あざ笑うかのような実例だ。

ただ、1日12本のタバコを吸っているとはいっても、映像を見れば分かる通り、一般的な紙巻きタバコではなく葉巻(シガー)を吸っている。
それに、「吸っている」とはいっても、肺まで入れているのではなく、ふかしているだけだ。
「なぜ吸うの?って聞かれるけど、気分がよくなるからだ。
でも、ふかしているだけだよ。肺まで入れたってまずいし、咳きこんじゃうからね」

「タバコは体に悪い」ということは、世間一般の常識になっているけど、これはちょっと不正確だと思う。
正しくは、「タバコに含まれている添加物が体に悪い」というべきだろう。
かつてネイティブアメリカンにとって、タバコは薬であり、また、儀式に不可欠なハーブだった。
タバコの葉を煮詰めた汁を飲む部族さえ存在した。https://www.nicotianarustica.org/blog/2015/9/8/magico-religious-use-of-tobacco-among-south-american-indians
幼児がタバコを誤嚥したとなれば一大事で、吐かせたり中和したり、救急対応が必要なんだけど、実は危険なのはタバコというより、タバコに含まれている添加物なんだ。
だから、この人が吸っているのが大量の化学物質が添加されている紙巻きタバコだったなら、果たして112歳の長寿を保ち得たか、けっこう微妙だと思う。
吸っていたのがシガーだということがポイントじゃないかな。あと、ふかしてるだけで、肺まではいれないっていうのも。

動画で直接的な言及はないけど、きっとこの人、少食だろう。
大食らいで長生きの人はいない。食事量の制限によって寿命が伸びるということは、動物実験でも示されている。
人は高齢になるにつれ、解糖系よりもミトコンドリア系が優位になる。つまり、エネルギー産生の能率が高まるから、少ない食事量でやっていけるようになる。
こういう老化の自然な流れに反して暴飲暴食するような生活だと、長生きなんてできない。
アイスクリームとか添加物満載のスープとかを毎日食べているとしても、少量であれば、肝臓がきちんとデトックスしてくれて、悪影響は少ない、ということだろう。

あと、他の百歳越えの長寿者と共通してることだけど、この人もしっかり、毎日の生活を楽しんでいた。
運転することを楽しんでいるし、猫を見ることを楽しんでいる。
アイスクリームを遠慮なく楽しんでいるし、教会で人と交流したり歌ったりすることを楽しんでいる。
ただ、人生を楽しむこと。
これに勝る健康長寿の秘訣はないのかもしれないな。