老化というのは、”情報量の過多”のことだという人がいる。
たとえば老人の顔を見よ。深いしわが刻まれ、無数のシミが散乱している。一方、若者の顔を見よ。しわもシミもない、つるつるとした美しい肌をしている。
老人と話してみよ。要点がぼやけていて何が言いたいのか要領を得ず、そのくせやたらと話が長い。一方、若者の話は、簡潔明瞭かつ機能的だ。
つまり、長く生きるということは、体や心のあちこちに不必要な情報を溜め込んでいくということだ。そういう積もり積もった情報のせいで、容姿においてもふるまいにおいても、醜くなったり非能率的になったりする。老化にはそういう側面があるんだな。

認知症患者において、脳内に蓄積したアミロイドβは”不必要な情報”の最たるものだ。はっきり、ゴミ、である。
このゴミは、神経細胞外に溜まるが、神経細胞内のタウ蛋白の異常なリン酸化を引き起こし、結果、神経細胞が壊死する(神経原性変化)。こうして脳が次第に萎縮していくことになる。
アミロイドβの蓄積は、認知症を発症する30年ほど前から始まっているという。つまり、80歳で認知症になった人は、すでに50歳ぐらいからアミロイドβによる脳萎縮が始まっている可能性がある。認知症は、1年2年で始まる病気じゃないんだ。30年かけて爆発する時限爆弾だということだ。
では、このアミロイドβの蓄積を防ぐにはどうすればいいか。
これについては以前のブログで書いたことがある。
「アミロイドβの分解は、インスリン分解酵素が行う。甘いものを多食する人では、インスリンの分泌量が多く、インスリン分解酵素の消費も激しい。だから、アミロイドβの分解にまわすだけの余裕がない。こうして分解されずに残存したアミロイドβが、どんどん脳内に蓄積していくことになる。実際、糖尿病患者では認知症の発症率が高いし(「認知症は脳の糖尿病」という先生もいる)、臨床現場を見ていても認知症患者には甘党が多い印象だ。腸脳相関を考えれば、脳の炎症には腸の炎症が関係しているもので、だからまず、腸の炎症を起こすような精製糖質とグルテンをやめること。認知症の改善には、これが絶対の前提条件だ。」さらに、デール・ブレデセンの「リコード法」を紹介した。
このブログでは、繰り返しを避けて、また別の角度から認知症を見てみよう。

「アルツハイマー病は、ビタミン療法で劇的に改善する」とソールは断言している。「ビタミンE、B12、ナイアシン、レシチンには改善を示すエビデンスがある」
ソールのDoctorYourselfにある認知症関連記事はここが詳しい。
http://www.doctoryourself.com/alzheimer.html?fbclid=IwAR0CEuZKp58BYCpo-CrTQ0ianUl74AktgIEBvyh07T4__UWX80DtQLJFDBc
以下、このページ内にある研究をいくつか紹介しよう。
・ナイアシン
『アルツハイマー病マウスにニコチンアミドを投与すると、サーチュイン阻害とリン酸タウの選択的減少を経由する機序によって、認知能力が回復する』
https://www.jneurosci.org/content/28/45/11500.short
人間換算でいうと、ナイアシン2000~3000㎎とのこと。マウス実験だから人間でも成り立つと言えないところが残念だけど、ずいぶん示唆に富む研究だと思う。
ナイアシンは、食品で言うと、肉(牛肉、鶏肉、豚肉など)、魚、ナッツ、種子などに多く含まれている。「老人は肉を食え」という主張は、認知症予防の観点からも正しいようだ。

・コリン
アルツハイマー病患者では、アセチルコリン(神経伝達物質)が欠乏している。なぜ欠乏しているのかというと、アセチルコリンを作るための酵素(コリンアセチル転移酵素)が不足しているからだ。このせいで、脳内のアセチルコリン濃度が減少することになる。では、どうすればいいのか。単純な話で、コリンを含む食品を多く食べればいい。それだけで、脳内のアセチルコリン濃度が増加する。コリンはレシチンに多く含まれている。ありがたいことに、レシチンは安いし、薬というわけでもないので簡単に手に入る。
『アルツハイマー病患者に対する高用量レシチンのプラセボ対照二重盲検』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3897460
認知症患者51人に20~25gの大豆レシチンを投与したところ認知症症状が有意に改善した、という研究。
食事からチマチマ摂取するより、こういうでっかいボトルから大さじで摂取するのが手っ取り早いよ。

・ビタミンE
アルツハイマー病患者では、抗酸化物質(ビタミンE、A、Cなど)の血中濃度が低いことが知られている。なぜか?ちゃんとした食事を摂っていないせいか、アルツハイマー病という病気自体がこうした栄養素を消耗するせいか、あるいはこの両方の理由によるものだろう。やはり、単純な話で、足りないなら、補ってやればいい。
『ビタミンEとアルツハイマー病』
https://academic.oup.com/ajcn/article/71/2/630S/4729332
アルツハイマー病患者を対象にした2年間にわたる二重盲検で、ビタミンE投与群(1日2000 IU)では認知症の進行が有意に遅かった。ビタミンEは薬(セレギリン)よりも有効だった。

ところで、当院を受診した若い女性患者で、こんなことを言っている人がいた。
「PMS(月経前症候群)がひどくて、生理が来るのが毎月苦痛でしかたなかった。肌荒れはするし、頭もおなかも痛くて、気分はイラつくし、最悪の気分でした。婦人科を受診してヤーズを処方されたけど、ほとんど効きません。どうにかならないものかと、ネットを調べていたら、ビタミンEとレシチンがいいという記事を見つけて、飲んでみたら、もう、奇跡のように効きました。これまで生理を恐れていたのがウソのようで、いまでは生理当日になって、あ、来たの、という感じです」
ビタミンEとレシチン。
どちらも認知症に効く成分でありながら、同時にどちらもPMSに有効だというのがおもしろい。老若男女問わず、積極的に摂取するといい。
ただ、難をいうなら、ビタミンEは値段がちょっとお高いんだ。モノがいい商品は特に。

60粒入りで5500円というのは、購入ボタンをクリックするのにちょっと勇気いるよねぇ^^;