肥満に対しては、アプローチはいろいろあるんだけども、まずは糖質制限を勧めたいところ。
でも「甘いもの、ダメですよ」といったところで、はいそうですかわかりました、とはならない。
わかっているけどやめられない、というのが糖質の恐ろしいところなんだ。

糖質依存の克服にはいくつかアプローチがある。
甘いものは脳のドーパミンの分泌を促し、強い快感をもたらす。ここが糖質のやめにくさの核心だから、ナイアシンというゆるやかなドパミン刺激作用のあるビタミンを摂取するのは一つの手。
あるいは、腸内のカンジダがある種の神経因子を分泌しそれが迷走神経経由で脳に届いて、結果、宿主の糖質摂取行動を促進するという機序に注目するならば、腸内環境の改善に取り組むのもひとつ。
糖質にはまっている人は総じて、エネルギー代謝が解糖系優位になっていて、ミトコンドリア内で行われている電子伝達系があまり機能していないことに注目するなら、ミトコンドリアを活性化させるビタミン、ミネラルの補給も有効な手立てだ。

肥満の人は、血中のビタミンD濃度が低く、副甲状腺ホルモンの濃度が高い傾向がある。(https://academic.oup.com/ajcn/article/72/3/690/4729361)
ビタミンD濃度の低いことが肥満の結果なのか原因なのか、はっきりしないが、適度な日光浴を兼ねた散歩やビタミンDの摂取は何らかの助けになるだろう。

ロディオラの効用については以前のブログに書いたことがあるが、肥満にも有効だ。
(https://www.omicsonline.org/open-access/rhodiola-rosea-from-the-adaptogenic-role-to-the-antiadipogenic-effect-2161-1017.1000e123.pdf)
抗脂質生成作用、つまり脂肪細胞ができにくくなる作用があって、結果、肥満を抑制する、というメカニズムのようだ。

しかし、そもそも論だけど、肥満の人がみんながみんなやせるべき、ということはない。
BMI(体格指数)という、やせか肥満かを識別する目安がある。体重(kg)を身長(m)で2回割って、その値が25以上なら肥満、ということになっているけど、本当、ただの目安にすぎない。
常識的にわかると思うけど、BMIが25以上であっても、相撲取りみたいに筋肉メインで体脂肪率の低い体格もあれば、甲状腺機能低下症なんかで脂肪というか水分がたまっているような太り方もある。
ただ、「甘いものをドカ食いしてて運動もろくにしない」人のBMI25以上は、遠慮なく食事制限に取り組んでください。

「やせたいんです。こんな醜い体じゃ外を出歩くこともできません」
という若年女性。BMIを計算すれば、22。何の問題もない数字だよ。
「いえ、そんなの関係ありません。とにかく体重を落としたいんです。周りの人にデブって言われています」
全然そんなことないと思うけど。その程度でデブというのは、本当にデブの人に失礼じゃないかな。
「やせ薬、ありませんか。ネットで調べてきたんですけど、マジンドールって置いてませんか」
醜形恐怖、ボディイメージのゆがみ、というのは、体よりは心の問題だろう。
ここで患者の要望通り、安易に食欲を抑制する対処をしては、患者のためにならない。
まず、話を聞く。
職場や学校での人間関係のストレス、親子関係のトラウマなど、内面的に何らかの問題が出てくることが多い。
幼少期、思春期、青年期など、人生の各ステージでこなすべき課題があって、その課題を先送りのまま次のステージに進んでしまうと、思わぬ形で足をすくわれることがあって、摂食障害もその現れの一つだ、という説がある。
だとすれば、摂食障害の根本的治療というのは、なかなかタフな作業だ。
医療者は患者の内面深くに降りて行って、問題点を見つけ、その解決策を見つけないといけない。
それが親からの虐待など、容易に癒しがたい傷であったら?
一医療者が解決するにはあまりにも大きい問題で、無力感のなかで途方に暮れることも多い。
しかし栄養療法的には、打つ手がないわけではない。ナイアシンだ。
アメリカでは戦場でのストレスに起因するPTSDに悩む退役軍人が多いが、そうした症例にはナイアシンが著効する、というのがホッファーの主張である。
いわゆる「心の傷」、カウンセリングなどを通じた本人の意識改革によってしか治らないとされている症状が、単純なビタミンの投与で治るというのはにわかには信じがたいことだが、多くの戦争帰還兵がナイアシンによって救われたのは事実である。
おまじない以上の効果は発揮するはずで、一度試してみる価値はある。