笑いとは何か、ということについて、ベルクソンやら桂枝雀やら、いろいろな人が分析している。
様々な笑いを分析して、共通する要素を抽出して、笑いを生み出す法則を見出したとしても、それで無敵のお笑い芸人になれるかというと、そんなことないと思う。
「笑いとは、緊張と緩和である」と枝雀がいう。これは極意かもしれない。でもこれを知ったところで、別にギャグセンスが備わるわけではない。こういう法則を知らなくても、おもしろい芸人はおもしろい。
笑いとは何かについて一番真剣に考えているのは、笑いを生み出す芸人よりは、お笑い番組を作る放送作家かもしれない。
高須光聖のTEDを見て、なるほど、と思った。

「笑いとは、共感と意外性である」というのがこの人の答え。
モノマネを見れば、確かに笑う。みなさんの同級生にもいたでしょう、モノマネのうまい人。級友や先生のモノマネをして、みんなを笑わせる。なぜおもしろいんだろう。不思議だ。
「それは彼のモノマネのなかに、共感する要素があるから。しかし似すぎているモノマネは、あんまりおもしろくない。似すぎたら、もはや、その人だから」
コージー富田のモノマネなんか見てると、確かにそう思う。うまいだけでは、別に笑えない。意外性の部分で笑っていると思う。

『エアトレイン佐藤卓夫の電車ものまね』

この動画を見て、笑うというより感心してしまった。
うますぎる芸は、強い共感を呼ぶ。でも意外性が消えてしまって、それで笑いも消えてしまうのかな。
別の動画で、この人、大阪の御堂筋線を完コピしてるんだけど、こっちは声出して笑った。車内アナウンス広告までマネしてて「そこまでマネるの?」っていう意外性があったからかもしれない。中川家礼二も爆笑してた。
純粋に技術だけでいえば、この人は礼二を超えている。礼二は車掌モノマネだけだから。
でも笑わせるのがうまいのは礼二のほうで、そこはさすが芸人だなと思う。

『高齢者のうつ病、認知、睡眠に対する笑い療法の効果』
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1447-0594.2010.00680.x
【目的】
高齢者のうつ病、認知機能、生活の質(QOL)、睡眠に対する笑い療法の効果を調べること。
【方法】
2007年7月から9月にかけて、65歳以上の109人の被験者を二つのグループに分けた。
48人は笑い療法群に、61人は対照群とした。
笑い療法群では、一か月に4回以上笑い療法を受けた。二群について、笑い療法の前後で、老年期うつ病評価尺度(GDS)、ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)、 Short‐Form健康調査‐36 (SF‐36)、 不眠症重篤度指数 (ISI)、ピッツバーグ睡眠の質指数(PSQI)を使ってどのように変化するかを比較した。
【結果】
ベースラインにおいて、二群の間に有意差はなかった。笑い療法の前には、笑い療法群、対照群でそれぞれ、GDSスコアは、7.98 ± 3.58 、 8.08 ± 3.96、MMSEのスコアは 23.81 ± 3.90、 22.74 ± 4.00、SF36のスコアは、54.77 ± 17.63 、52.54 ± 21.31、ISIのスコアは、8.00 ± 6.29 、8.36 ± 6.38、PSQIのスコアは 6.98 ± 3.41、 7.38 ± 3.70だったが、笑い療法実施後には、それぞれ、GDSスコアは 6.94 ± 3.19 (P = 0.027) 、8.43 ± 3.44 (P = 0.422)、MMSEスコアは24.63 ± 3.53 (P = 0.168) 、23.70 ± 3.85 (P = 0.068)、SF‐36のスコアは、52.24 ± 17.63 (P = 0.347)、50.32 ± 19.66 (P = 0.392)、ISIのスコアは 7.58 ± 5.38 (P = 0.327) 、9.31 ± 6.35 (P = 0.019)、PSQIのスコアは6.04 ± 2.35 (P = 0.019)、 7.30 ± 3.74 (P = 0.847) だった。
【結論】
笑い療法は、高齢者のうつ病、不眠症、睡眠の質改善に有効であり、安上がりで、しかもすぐ使える方法である。

健康を保つためには、栄養とか食事改善はもちろん大事だけど、一番安上がりで一番有効な健康法は、笑うという、ただそれだけのことだったりする。
高齢になるにつれ、人間は笑わなくなるというから、無理にでも笑うようにするといい。笑えないことばかりある世の中かもしれないけれど。
しかし、赤ちゃんの笑顔というのは不思議だ。あの笑いは、共感でも意外性でもないと思う。
生きて、ただこの世界にいるという、それだけで幸せが満ちあふれて、笑っている。
成長するにつれて、そういう笑顔は忘れちゃうんだよなぁ。