そう、FDAは製薬会社を信用している。
しかしFDAは製薬会社に対して、スタチン製剤が”コンタミフリー”(異物混入なし)であることを証明する試験を課しているわけではない。
「カビ毒を成分ごとに分離する技術はすでに開発済み」と製薬会社は主張する。「そもそも適切な分離ができないと、スタチン製剤を作る工場で職員がcitrininに曝露してしまう。職場環境保全のためにも、そのあたりの技術は当然しっかりしている」と。
しかし本当だろうか。
カビ毒の分子量は、おおよそ1モルあたり200~500 gである。
しかしたとえば、ロバスタチン(メルク社)の分子量は404.54であり、citreoviridin(強力なカビ毒)の分子量は402.48である。
混入の可能性は、本当に、ないのだろうか。

ヒトに投与すると、citreoviridinは中枢神経系に蓄積し、上行性麻痺、けいれん、呼吸停止を引き起こす。
よく勉強している医者なら、これらの症状を見て、ピンとくる。「すべてALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状じゃないか」と。
スタチン誘発性のニューロパチー(神経損傷)とALSについて、報告は数多い。
・『コレステロール降下薬との関連が疑わしいALS様症状~カリフォルニア大学サンディエゴ校のスタチン効果研究への症例報告分析』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19591530
・『薬剤誘発性神経障害のリスク評価~スタチンとニューロパチー』
https://n.neurology.org/content/58/9/1321
・『スタチン療法は中枢神経系の髄鞘再生を阻害する』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2671276/
・『プラバスタチン投与と関連した多発性単神経炎(モノニューロパチー)』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17133326
・『スタチンと神経筋変性疾患と筋萎縮性側索硬化症様症候群について~VigiBaseからの症例報告の分析』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17536877

citrininを含め多くのマイコトキシン(カビ毒)は神経毒である。
スタチンを飲むということは、神経毒を飲むということであり、さらに、その錠剤のなかに製造プロセスで他の神経毒が含まれている可能性は否定できない。
最初のスタチン製剤(メルク社のロバスタチン)の承認に際して、なんと、FDAさえそれがカビ毒由来であることを知らないままに承認した。
FDAでさえ知らないのだから、一般の医者はもちろん知らない(僕もこの本を読むまで、正直知らなかった)。
当局自身が自分たちが何を承認したのか認識していない、そんなデタラメな品質検査が行われている。それがFDAの実態なんだ。

1979年、米に寄生するカビの一種Aspergillus terreusから新たなカビ毒が単離された。この毒は実験動物に震顫(tremors)を起こすことから、territremsと名付けられた。
territremsは、citrininやスタチンと同じように、ラクトン環を含むポリケチドのひとつである。
実験動物にこれを投与すると、震顫、けいれん、ひきつけ、筋消失(筋委縮)が起きる。これらはすべて、ALSの症状である。また同時に、すべてスタチンの副作用として報告されている症状である。

こうした症状を呈する患者を臨床で診察し除外診断をしていくなかで、たとえ熟練の内科医でも、スタチンが神経毒であることを知らなければ、せいぜい多発性硬化症かパーキンソン病かALSと診断するのがオチだろう。
つまり、お薬手帳に書かれているスタチンの服用歴を見落として、territrems誘発性ニューロパチーであると正しく診断できない、ということだ。

このように、薬の副作用について医者が無知である状態は、患者にとって不幸であることはもちろん、医者や製薬会社にとっても、不幸なことではないかと思う。
医者だって人間である。自分の仕事に誇りを持ちたい。自分の処方する薬が患者の健康を高めて、患者の人生をよりよくするものであって欲しいと思っている。なかには金に魂を売った医者もいるかもしれないが、そういうのはごく一部だろう(と信じたい)。
製薬会社で働いている人(研究職であれ営業職であれ)も、医者と同じ気持ちだろう。
しかし、このような毒みたいな薬を飲まされて健康を害した患者のなかには、大げさではなく、文字通り人生を失った人がいる。そういう人は、遠慮なく医者や製薬会社を訴える。

福田実という人がいる。
大学時代は応援団とワンダーフォーゲル部に所属して若いエネルギーを発散し、就職してからは会社と愛する家族のためにバリバリと働いていた。
たまたま受けた会社の健康診断で高脂血症と診断され、コレステロール降下薬を飲み始めたことから、地獄が始まった。
「不整脈から始まり、やがて突然の腰痛に襲われた。尻の筋肉が痛くて力が入らなくなった。それでも、薬を飲み続けた。飲み始めて半年後には、顔のむくみ、喉の渇き、喉の筋肉のつり、血尿、胃痛、じんましん、脱毛、排尿困難、皮膚が薄くなって熱いものや冷たいものが掴めない、全身の筋肉が柔らかくなる、治療済みの虫歯が歯髄炎に、水虫、結膜炎、背中にヘルペス、喉は咽頭炎など、ありとあらゆる症状が出た。身体中の毛が抜け、皮膚が痛くてカミソリが使えず、顎が外れそうになり、少しの辛さや酸っぱさでも胃にしみるようになり、排尿時には尿道が痛み、もはや普通の生活はできないほどになった。
二年ほど経ってようやく薬をやめたが、時すでに遅く、もう症状が改善することはなかった」
「医療過誤、そんなものは他人事だと思っていた。会社の健康診断で高脂血症と診断された際には、食事などの生活習慣も変え、積極的に健康になるために医師のアドバイスも受けた。すべては健康で元気よく働き、幸せに長生きするために。そのささやかな願いはすべて壊されてしまった。医者から出された中性脂肪とコレステロールの薬のせいで、二度と治らぬ体にされ、俺は今、死にかかっている。元気で働くために、家族で幸せになるために、そして長生きするために飲んだ薬のせいで」
この人は、薬のせいで人生を破壊された。その怒りは察するに余りある。
薬害被害者として、医者と製薬会社を相手に訴えた。通常こういう裁判は、よほどのことがない限り、患者が勝てないようになっている。しかし2010年、裁判で全面勝訴となった。
勝訴は意味のあることだろう。しかし勝訴によって、失った健康が戻ってくるわけではない。
僕らがこの人から学ぶべきは、医者と製薬会社の危険性である。
医者自身が、スタチンが危険なカビ毒だと認識していないんだよ?
運転手が目隠ししながら運転する車に同乗すれば、怖いでしょう?医者に頼るというのは、それと同じようなものだよ。

参考
“Proof for the cancer-fungus connection”(James Yoseph著)
『私は薬に殺される』(福田実 著)