「手かざし」に頼る池江璃花子に「治療の遅れ」心配する声
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190910-00000011-pseven-ent

「科学的根拠のない治療の犠牲になって、かわいそうに」という声がある。
一方、科学的根拠があるとされる抗癌剤治療を行ったために、放っておけばもっと長生きできたところ、さっさと死んでいく人もいる。
池江さんの場合、すでに抗癌剤治療を受けていて、その上で「手かざし」療法も受けている。
仮にすっかり回復してオリンピックに出場するとなれば、抗癌剤治療擁護派、手かざし療法擁護派、双方が「彼女が病気から回復したのはうちの治療のおかげだ」と、自分の功績を主張するだろう。
逆に、仮に病状が悪化すれば、双方が批判しあうだろう。
「若い体に抗癌剤など投与しては、選手生命どころか、生きることさえ危険にさらすことになるのは、事前にわかりきっていた。最初から手かざし療法のみに専念していれば、今頃は健康体に戻っていただろうに」という批判があがる一方、
「手かざし療法などというエビデンスのない治療法に惑わされて、標準治療がおろそかになったことが、病状悪化の最大の原因。21世紀のこの時代に、呪術レベルの『治療』が跋扈しているのは、恐ろしいことだ」と、批判の応酬が繰り広げられる。

真実はどこにある?
個人的には、どちらにも分があると思う。
人間は、いろんな治り方をするものなんだ。
化学療法に絶対の信頼を置いているなら化学療法で治ることもあるかもしれないし、手かざし療法についても同様のことが言える。
プラセボを飲んでたって治るときは治るんだから、人間の信じる力(思い込みの力)こそ、何よりの治療なんだな。

アフリカの一部地域では、今もシャーマンがいて、西洋医学の医者よりも強い影響力を持っている。
その地域では、病気は恨みをかった人から『呪い』をかけられることによって起こる。そこで、呪術師のところに行って『呪い返し』をしてもらう。すると病気が治り、今度は『呪い返し』を受けた人が病気になる。
『呪い』ということの威力をみんなが信じている社会では、こういうことが本当に起こるんだ。
人間というのは、体と心の半分半分。精神の影響は、決して軽くない。
さらに、個人の思いだけでなく、その地域のみんなが信じているとなれば、現実的な力は絶大だ。
そういう意味では、お金も一種の呪いだね。紙幣と呼ばれるあの紙切れの力をみんなが信じているから、本当に力を持つことになるんだな。

呪うことで病気になる、という現象は、かつての日本にも当たり前に存在していた。
北野天満宮は菅原道真の呪いを鎮めるために建立されたし、安倍晴明のような陰陽師が政治的な力さえ持つほど信用されていた。
源氏物語には、嫉妬に狂う六条御息所の生き霊が、夕顔や葵の上を呪い殺す描写がある(しかし『呪い殺す』ってすげえ表現だよな^^;)。
千年前の日本人は皆、「人を呪う」ことの影響を信じていたし、その力を恐れていた。
やがて時代が進み、明治以降、科学万能の社会になった。
目に見えない非科学的なことは、もはや誰も信じなくなった。

それでも、僕ら現代人も心のどこかには、呪術的なことを恐れる気持ちが残っていると思う。
小学生のとき、『エクソシスト』を見てトラウマになりそうなど怖かった。スプラッターもののホラーは、「怖い」というか単に「びっくりする」だけで、どうってことはない。でも『エクソシスト』の悪魔祓いというテーマは、かつての日本人が普通に持っていた呪いを恐れる感覚を刺激するところがあるのだと思う。何とも言えない不気味さがあったな。

「頭の中で声が聞こえます」という30代男性。
「僕の先祖には比叡山で修行を積んだ行者がいて、僕にもそういうシャーマンの気質が流れているんだと思います。
頭の中の声は、最初は神様の声でした。僕はとてもうれしかった。いよいよ僕も神託が聞こえるようになったか、と思いました。
でもその声は、やがて神様のものではなくなりました。悪魔とも何とも言えない、とにかく不愉快な声になりました。
何かに取り憑かれたのかもしれない、と思いました。

ネットで探して、除霊のできる有名な気功師に連絡をとりました。名前、生年月日、住所さえわかれば、気をとばすことで施術できるということなので、遠隔で除霊をしてもらうことになりました。
その方の遠視によると、先祖が人から強い恨みをかったため、その怨念が僕の家に取り憑いていて、僕の心身の不調もそのせいだとのことでした。
気を送って除霊をしてもらっているとき、電話越しにですが、何か非常に、ビリビリとしてものを感じました。これが気か、と思いました。劇的に効いたわけではありませんが、少し効果があったように感じました。
それで、そうやって何度か電話で遠隔治療を受けましたが、効果はいまいちパッとしません。治療費が高額だったこともあって、結局途中でやめてしまいしました。

その後もネットを検索していて、有名な霊媒師を見つけました。その人も遠隔で霊視や除霊ができる、とのことでした。とても人気のある霊媒師で、2ヶ月待ちということでしたが予約をいれました。
その人に遠隔で霊視をしてもらったところ、電話越しに、こう言われました。『あなたの症状は呪いによるものでもなければ、霊障でもありません。単純に病気です。おそらく統合失調症です。家にもあなたにも、霊は取り憑いていません。いいですか、まずあなたがするべきことは、病院に行き、適切な医師の診察を受けることです』
それがきっかけで、自分が病気である可能性を考えるようになり、こうやってここのクリニックに受診することにつながりました」

この話には、なかなかの含みがある。
まず最初の気功師の遠隔施術で、症状が確かに軽快したように感じたこと(かつ、寛解までには至らなかったこと)。
信心深い人が高額な費用を払っていることもあって、プラセボ効果が生じる下地は十分整っているけど、それだけではないようにも思う。
個人的には、気は実在すると思っている。送られた気をビリビリと感じる感覚は、僕にも経験がある。霊がどうのこうのの理屈は僕には理解できないけど、気功師としての実力は一応本物だったんじゃないかな。しかし、やはり統合失調症を気功(あるいは除霊)で治すことは困難だったようだ。
興味をそそられるのは、2ヶ月も順番待ちの人気霊媒師の話。商売っ気だけの人なら「病気だから病院行け」なんて、客を逃すようなことは言わない。
本物の霊媒師っていうのもいるのかな。