電話をとると、深刻な女性の声が「今、17週。妊娠中期で、堕ろしたいのですが、可能でしょうか?」
あるいは、男性の声が「男性不妊ではないか、と思っています。そちらで精子の運動能を検査して欲しいのですが、今日お伺いしていいですか?」

あのね、それ、ナカムラクリニック違いですから!

でも仕方ないことかもしれない。
ややこしいことに、神戸市内だけでも、ナカムラクリニック、いくつかあるんだよね^^;

東灘区のナカムラクリニックは産科・婦人科が専門で、上記のような主訴の電話は、まず間違いなく、東灘のナカムラクリニックさんと勘違いしておられます^^;
開業から40年の立派なクリニックです。
当院にちょくちょく間違い電話が来るように、向こうにも「栄養療法のことで相談したいのですが」みたいな意味不明の電話が行っている可能性は高いと思う^^;
まったく同じ名前で開業したことでご迷惑おかけしていると思うので、一度ご挨拶に行ったほうがいいかもしれない。

垂水区には、なかむらクリニックがあります。麻酔科、リハビリ科、小児科を標榜しておられます。
また、その他、中村医院がふたつ(西区、東灘区)、中村レディースクリニック(西区)、中村内科(東灘区)、なかむら耳鼻咽喉科(兵庫区)、中村眼科医院(北区)、中村歯科医院(灘区、北区)、中村デンタルクリニック(東灘区)と、もう、神戸だけでも「中村」があふれている。
全員家族なら、一大グループなのにね^^

同じような名前が乱立するのには、理由がある。
神戸市はクリニックの名前として、基本「名前+クリニック」か「名前+医院」しか認めていないんだ(なぜだろう?頭がカタイね)
何かもうちょっと凝った、個性的な名前(たとえば『健康ニコニコクリニック』とか)をつけたいとなれば、その理由を書いた書類を提出しないといけない。
僕はそれがめんどうだったので、あっさり、ナカムラクリニック、で登録を済ませた。
しかし産婦人科のナカムラクリニックさんに新参者の当院が迷惑をかけていると思うと、僕のほうがもうちょっと工夫した名前で開業するべきだったな。

ちなみに、クリニックの名前だけではなくて、僕の名前も安くて、同姓同名があちこちにいる。
まず、中村の時点で、全国名字ランキング8位で約百万人(1044000人)いる。
『名字由来ネット』
https://myoji-yurai.net/prefectureRanking.htm
下の名前もよくある名前だから、多分、日本全国で数十人はいるんじゃないかな。

しかし友達の話を聞いていると、レアすぎる名前でも、それはそれできついのかなという気がする。
「漢字だとほぼ確実に読んでもらえない」とか「百均のハンココーナーには絶対置いてない」とかは笑い話にできるけど、名前のせいでいじめられたという人もいるだろう。
「自分の名前は地元にしかない名前で、この名前の人は自分を含めてもうあと12人しかいない」とか、子孫を残さないとっていう変なプレッシャーを感じるよね^^;
このあたり、僕には「中村姓を残さねば」みたいな圧力は皆無なので、その点は気楽です^^

僕はかつて「名前なんて親が子供に勝手につけた、単なる記号だ」と思っていた。それ以外の意味なんて何もない、と。
いかにも幼い考え方だったな。今はそんなふうには思わない。
宮崎駿の『風の谷のナウシカ』は映画で見たことがある人は多いだろうけど、マンガ版で読んだこと、ありますか?
映画版にはないけど、マンガ版には、ナウシカが巨神兵を手なずける場面がある。それまではろくに話すこともできなかった巨神兵が、ナウシカから『オーマ』と名付けられたことで、ナウシカを母親のように認識し、急速に知性を発達させた。
あるもの(物、者)に名前を与えることでそれが精神性を獲得したり、命名者に恭順の意を示したり、という設定は、すごく示唆的な感じがした。
名前は、自と他を区別するための単なる記号じゃない。もっと深い、もっと精神的な意味を持ったものだ。

こう思うようになったきっかけは、いわゆる”見える人”に会ったことで、以前のブログにその経緯を書いたことがあるけど、諸事情からそのブログは非表示にしました^^;
ただ、その人も言ってたけど、子供にいわゆるキラキラネームをつける昨今の風潮は、相当やばいよ。
物質でさえ、命名することで、その名前に応じた精神性を持つと僕は思っている。ペットはもちろん、人間となれば名前の影響はものすごく大きい。
基本的に一生背負っていくものなんだから、もうちょっと真面目に名付けてあげないと。