日本オーソモレキュラー医学会の勉強会に参加してきた。
朝5時に起きて新幹線で東京に行き、勉強会終了後、トンボ帰りに神戸へ。
学会やら講演会の類は東京開催が多いから、やっぱ東京に住めたら便利だよなぁ^^

内容は盛りだくさんで、有意義だった。

鉄の代謝についての講演。
たとえば感染などによって炎症が起こると、IL-6などのサイトカインが増え、それに呼応して肝臓でヘプシジンが増加し、フェロポルチンが減少する。
ヘプシジンは人間が感染から身を守るための防御システムで、体が鉄を吸収させないように働く。フェロポルチンは鉄を細胞内から外へ汲み出すタンパクだが、それが減少するのは、血中の鉄濃度を下げるためだ。
このあたり、どういう意味かわかりますか。

そもそも鉄というのは、人間にとって毒なんだ。
活性酸素を生み出すフリーラジカル源でもあるし、細菌を爆発的に繁殖させる材料でもある。鉄によって腎臓癌が起こることがラットで示されているが、人間にとっても同じで、鉄は発癌物質にもなり得る。
感染症のあるときに体内に鉄がたくさんあれば、侵入してきた病原体にとって増殖に都合がいい環境を与えてしまう。
人間の体はよくできたもので、そういう炎症下では、鉄の血中濃度を極力低くしようとする。腸管からの鉄吸収は当然落ちるし、細胞(マクロファージも含め)は鉄を血中に出さずに自身の内にとどめようとする。
こうやって、人体がせっかく血中の鉄を少なくしようと頑張っているのに、人間は小知恵が働くから、「血中フェリチン濃度が低い!貧血だ!」と、鉄を増やそうとする。
女性の鉄欠乏貧血など、鉄剤を使わざるを得ない状況もあるけど、そういう場合でも慎重に行うべきで、安易にキレート鉄などを使ってはいけない。フェリチンだけが上がって症状はむしろ増悪する、ということも珍しくない。
ヘプシジンを上げないよう、かつ、フェリチンを上げるには、鉄剤を毎日服用するのではなく、隔日服用するのがいい。
ADHDの子供では血中フェリチン濃度が低く、しかもその重症度はフェリチン濃度と逆相関にある。

講演後、この主張の根拠となる論文を探してみた。多分、これだと思う。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/485884
ただ、その後に出た論文で、これと反対のことを言っているのがあるんだな。
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1087054711430712
ADHD群とコントロール群で、血中フェリチン濃度に有意差はなかったし、フェリチン濃度とIQやADHDの重症度にも有意な相関は見られなかった。
今日の講演者先生の主張と真逆の内容、、、( ´Д`)
どっちが本当なんだろうね。
ただ後者の論文は、締めくくりに「本研究によって血中フェリチンとADHDには相関がないことが分かった。しかし著者らは、ADHD患者の脳内で鉄欠乏が存在する可能性を否定しているわけではない」と言っている。
血中フェリチンが保たれていても、脳内で鉄の利用障害があるせいでADHDが起こっているのかもね、ということだろう。
内容的に矛盾する論文が両立している状態なんだけど、それでも、僕ら医者は、目の前に困っている患者が来たら、何らかの治療をしてあげないといけない。
こういうときに頼りたいのは、やはり、方法の有効性を主張してくれる論文だろう。「この方法は効きません」という主張はあえて見まいとする。
臨床家の気持ち的には、前者の論文のほうが真実なんだと信じて治療に向かうしかないんだよなぁ。

スーパーフードとその活用、という講演。
僕は最近、患者にアダプトゲンなどのハーブ由来のサプリを使うことが多くなっている。もちろんビタミンやミネラルも使うんだけど、ハーブのほうが食品に近いぶん、さらに使いやすいから。
「オーソモレキュラー栄養療法」という言葉に具体的な定義は多分、ないはず。
ビタミンCやナイアシンを使わずアシュワガンダやロディオラを使っているからといって、天国のホッファー先生、「お前は破門や!」とか言わないと思うんだけどな笑
モリンガとかスピルリナって、僕も一時期、スムージーに入れて飲んでたことがある。けっこう値段が張るからやめちゃったけど、飲んでるときの体調は確かによかった。
有効性のエビデンスレベルはそんなに高くないけど、なかなかバカにできないと思う。
レイシ、チャーガ、クコあたりは、実質的には漢方そのもので、それをスーパーフードという名前で装いを新たに売り出している印象だ。
広く知られていない食材をフィーチャーして健康産業が一儲けしようとしている底意が見え透いているけれど、これは悪いことじゃない。
基本的に病人相手ではなく健康な人が相手の商売で、「何々病に効く!」みたいなフレーズは薬事法に触れるから使えないんだけど、摂取した人の健康を高めてくれるのならすばらしいことだ。
製薬会社は病人相手にもっとえげつない商売してるからね。

ここで昼食休憩。
以下、午後の部に続く。