ラグビーの試合なんて、これまで一回も見たことがなかった。
でも日本主催のワールドカップということで、皆、熱狂する。こういうお祭りごとは好きだから、ちゃっかり”にわかファン”として、日本代表の試合は一通り全部見た。

前回のサッカーワールドカップのときは、外国で開かれていたせいで、日本代表の試合が深夜3時からキックオフとか、いまいち盛り上がりに欠けた記憶がある。深夜3時なんて、まともな社会人は寝てる時間だよねぇ。
その点、今回は日本主催だから、どの試合も週末の夜7時過ぎとかが多かったと思う。仕事明けのサラリーマンが、ビール片手にバーやパブリックビューイングで応援するのに絶妙の時間だった。この辺は日本主催のメリットだな。
でも、今回のワールドカップが盛り上がったのは、それだけじゃない。
日本が予選の4試合を全勝するという、誰もが予想しなかった快進撃を見せたことが最大の要因だろう。
しかも、勝っただけじゃなく、内容もすごくよかった。ホーム開催だから強い、のではなく、日本代表の強さがしっかり出ている勝ち方だった。
ロシアに勝ったのは順当だとして、アイルランドに勝つ番狂わせを演じ、サモアを圧倒し、スコットランドとの激戦を制した。試合にひとつひとつ勝つにつれ、皆の注目度が倍々ゲームで増えた。それは視聴率に如実に表れていて、熱狂がピークに達した南アフリカ戦では、関東地区で49.1%、関西地区で47.9%を記録した。負け戦でこの数字。勝ってたら50%は確実に超えてたと思う。

南アフリカ戦は、なんばヒップスのスポーツバーで見た。
写真のように、会場は満員。座れた人は幸運で、立ち見が基本。何百人いたことやら、見当もつかない。好プレーのたびに、日本コールが沸き起こる。ゲームが拮抗していた前半の緊迫感はすごかった。南アに押し込まれた後半はちょっと冷めた感じがあったけど。

日本代表の最初の試合はロシア戦で、近所のバーで見ていた。
確か、ロシアにいきなり先制のトライを決められて、「やっぱ日本弱いわ」って雰囲気になった。見てて痛い気分になって、帰りたくなった。弱いチームは応援したくないな。
でも隣にラグビー通のおじさんがいて、「いや、ロシアは格下だから、このままでは終わらないはず」って言ってて、本当にその通りになった。
この人が、いろいろラグビーの初歩を教えてくれた。
今何で止められたの?ノックオン?何それ?というところから始まって、そもそもトライで5点入って、その後のキックが決まれば2点入って、ということさえ知らない。そのあたりの基本的なルールや反則を、簡単に説明してくれた。
ワールドカップの期間中、同じような風景が全国の飲み屋で展開されていたと思う。飲み屋のプチ解説者として、ラグビー経験者の需要がこんなに高まるなんて、一体誰が予想しただろうか^^

こんなふうに日本代表の試合を全部で5つ見て、ラグビーのおおよそのルールと楽しみ方はわかった。
それで思ったのは、ラグビーの魅力は、相撲取りとサッカー選手が同じチームでプレーしてるようなごちゃ混ぜ感だと思う。スクラムやモール、タックルなんかはとても相撲的で、サイドにボールを次々展開するスピード感はサッカーのようだ。
サッカー選手が求められるうまさというのは、ボールコントロール、ポジション取り、突破力とか、どこのポジションであれ、割と均一だと思う。でもラグビーは、ポジションによって、求められるものが相当違う。自分の持ち味を生かせるポジションで自分の仕事をすればいいわけで、そういう意味で、社会の縮図のようだ。

敵陣でスクラムを組む。しかし相手側に粘られて、思うように得点できない。そんな中、相手の守備を突破して、一気に疾走して、トライを決める。あの疾走感がすごい。感動して、何か泣きそうになる。松島はそういうトライをいくつも見せてくれたし、スコットランド戦の稲垣のトライは芸術的だと思った。
こんなスポーツがあることを、僕はこの年齢まで知らなかったんだ。世の中には、僕の知らない楽しいことが、きっともっといっぱいあるんだろうな。