知能と血中ビタミンC濃度の関係について、Kubala and Katz(1960)がこんな報告をしている。
被験者は3都市にある四つの学校(幼稚園から大学まで)の学生351人である。
彼らを血中ビタミンC濃度測定の結果をもとに、高ビタミンC群(血液100mlあたり1.10㎎以上)と低ビタミンC群(100mlあたり1.10未満)に振り分けた。
さらに社会経済的な指標(家族の収入、両親の教育歴)をもとに調整してペアを作り、各群から72人を選んだ。
すると、高ビタミンC群の平均IQは低ビタミンC群よりも高かった。
具体的には、平均値で高ビタミンC群は113.22、低ビタミンC群は108.71と、4.51の差があった。
条件を均一に調整した両群でこれだけの差が生じる確率は、5%以下である。つまり、統計的な有意差を以て、IQの違いが確認されたということだ。

ここまでで、「血中ビタミンC濃度の高い人は、親の年収や学歴とは無関係に、IQが高い」ということが言えた。
この研究では、さらなる介入を行った。
両群の被験者に6カ月間オレンジジュースを飲んでもらい、その後、IQを再度測定した。
すると、高ビタミンC群ではIQの増加はごく軽微(+0.02)だったが、低ビタミンC群ではIQが3.54増加した。
偶然にこれだけの差が生じる確率はやはり5%以下で、統計的に有意な差である。

この結果を踏まえて、どういうことが言えるか?
「頭の良さは、作れる」ということである。
「まさか。単にオレンジジュースを飲むだけで、頭が良くなるとでもいうのか?」
そう、この研究は、そのまさか、が事実であることを示している。
ただし、同時に限界をも示していて、もともと血中ビタミンC濃度が高い人では、6カ月間毎日せっせとオレンジジュースを飲み続けても、IQの増加はごくわずかだった。
「血中ビタミンCが低いことが原因でIQが低い人」に対しては、IQを上げることが可能だよ、ということ。あくまで条件付きということだね。
ビタミンC欠乏性IQ低下症、とでも呼ぶべき人が存在するわけで、この研究はそういう人にとっては福音だと思う。
だって、単にオレンジジュース飲むだけで頭が良くなるんだから。

ところで、頭が良いからって、一体何の意味があるのか?
世の中には、おバカキャラゆえに愛される人もいる。
それに、頭の良さが幸せに直結するかといえば、必ずしもそうとは言えない。高い知性ゆえに、苦悩もまた増えるものだ。
『アルジャーノンに花束を』がそのあたりの事情を上手に描いていたよね。
しかしそれにもかかわらず、頭の良さは、あって損はないと僕は思う。頭の良い人はアホな振りができるけど、逆はできない。
学業、仕事はもちろん、人間関係でも優位に事を進められるだろうし、スポーツのように運動能力が求められる分野でも、知性がものをいう。
IQと収入に相関があることは、多くの研究が示しているところだ。
自分自身の社会的成功、あるいは我が子の幸福を願う人にとっては、ビタミンCの効用を使わない手はない。

上記の研究にはさらに続きがある。
人数をもう少し絞って、各群32ペア(合計64人)の被験者を、さらにもう1年追いかけた。
つまり、18カ月間、64人の被験者フォローし、この間4回の血中ビタミンC濃度測定と知能検査を行った。
その結果は以下のようである。

グラフを見てわかるように、血中ビタミンC濃度が50%上昇すると(血液100mlあたり1.03㎎から1.55㎎に増加すると)、IQが3.6上昇している。
この増加は、成人がビタミンCの摂取量を1日あたり50㎎増加させることで(1日100mgから150㎎に増加させることで)生じた変化である。

この研究を行ったKubala and Katzは以下のように結論している。
「知能検査によって算出されるIQのばらつきの一部は、そのときの栄養状態が反映されている。
少なくとも今回の研究で明らかになったのは、柑橘系、あるいはビタミンCを含むその他の栄養分がIQに影響している、ということである。
ビタミンCの摂取が減少することで、頭の切れや鋭さが低下する」
またこの研究では、血中ビタミンC濃度とIQに正の相関が見られたが、血中ビタミンC濃度が血液100mlあたり1.55㎎だったときに最も知的パフォーマンスが高かった。
この濃度は、70kgの成人が1日180mgのビタミンCを摂取することで達成できる。

この研究は1960年に行われたものだから、研究で使用されたオレンジジュースは、多分、ちゃんとしたオレンジジュースだったと思う。
ちゃんとした、という意味は、現代のスーパーで一般に売っているような濃縮還元のバッタもんジュースとは違う、ということだ。
だから、この研究を見習ってIQを高めるためにオレンジジュースを飲もうという人は、メーカーとか品質にはこだわったほうがいいよ。
ジュースではなくサプリでビタミンCを摂るのなら、180㎎といわず、もっと多めに摂るといい。
天然のビタミンCと合成のビタミンCではずいぶん吸収率が違うから、たとえばビタミンC(1錠1000㎎)のサプリを、毎日1錠摂るといい。
それだけで、メンタルパフォーマンスを高く保つ一助になるはずだ。

参考
How to Live Longer and Feel Better (Linus Pauling著)