ペータ・コーエン博士の発見について紹介した。
博士の説をおおざっぱにまとめると、

ワクチン接種など→体内に重金属流入→腸内でバイオフィルム形成→慢性感染症→各種神経疾患

という流れで、自閉症を始め様々な病気の背景にバイオフィルムがある、というのが主張の骨子。
一見すると、バイオフィルムを形成する細菌がたいへんな悪役のように見えるけど、必ずしもそうではないと思う。ワクチン接種などで体内に不必要に水銀を入れる愚行であったり、重金属を体内に取り込む生活習慣(食生活など)こそが根本的な原因だろう。
体内に重金属が入ってくることは、体にとって一大事である。それが心臓や脳の細胞に直接取り込まれたら、致死的な事態にもなりかねない。宿主に死なれることは、寄生している細菌たちにとっても困るんだ。そこで細菌たちは、それらの重金属をバイオフィルムの構成材料として取り込む。こうすることで重金属の拡散を少しでもとどめようとする。慢性的な感染症として自閉症や統合失調症になってしまうかもしれないが、宿主に急死されるよりはマシである。こういうふうに考えれば、バイオフィルムの形成は、むしろ細菌の慈悲深い献身だとさえ解釈できる。

だから、根本は、そもそも重金属を取り込まない生活習慣を意識することである。
バイオフィルムが形成され、不幸にも何らかの症状が出たら、コーエン博士が提唱するバイオフィルム溶解プログラムに取り組めばいい。
ナットウキナーゼやルンブロキナーゼ(個人的には、ここにさらにセラペプターゼをたすともっと効くと感じている)でバイオフィルムのセメント(フィブリン塊)を溶かし、さらに、コーエン博士オススメの”抗菌ブレンド”を追加する。
秘伝として独占すれば一儲けできただろうに、ブレンドの手の内をすべて明かしてくれるのだから、まったく博士には頭が下がる。
ざっと再掲しよう。
「ベルベリン(黄檗や黄蓮に含まれる成分)、アルテミシニン(よもぎに含まれる成分)、柑橘類種子抽出物、黒クルミの外皮、よもぎ、エキナセア、ゴールデンシール(ヒドラスチスの成分)、ゲンチアナ(リンドウ)、ティーツリーオイル、カラクサケマン、ガルバナムオイル、オレガノオイル、ニーム」
さらに、”吸収剤”として、
「キトサン、柑橘類ペクチン、特製の重炭酸塩、有機ゲルマニウム、クロレラ」

これら、挙げられている個々の成分は、生理学的にはそれぞれの作用機序があるだろう。
ベルベリンは漢方薬(オウバク、オウレン)の成分として古代中国の時代から用いられてきたし、よもぎは日本で民間療法として、エキナセアは北米インディアンが、ティーツリーはオーストラリアのアボリジニーが、伝統的に使ってきた。どの成分一つとっても、単純に、「体にいい」と言われているものである。
しかしこうした成分の共通項として、腸内でバイオフィルムの溶解を促進する作用があるというのは、切り口としておもしろい。
古来から使われてきた様々なハーブに加えて、最近の科学者の努力が生み出した成分(美原博士のルンブロキナーゼ、須見博士のナットウキナーゼ、浅井博士の有機ゲルマニウムなど)をも合わせて、つまり、古今の人類の知恵の集大成で以て、バイオフィルムとの総力戦に立ち向かっているようだ。

個人的には、EDTAといえば何となく点滴のイメージがあるが、サプリメントとしても利用できるから、興味のある人は検索してみるといい。

医者にとってのきつい記憶は、自分を頼ってきてくれたのに、治せなかった患者のことである。
ある強迫性障害の男性が来院した。持てる限りの知恵をしぼって、様々なビタミンやミネラルを試した。症状はほとんど軽快せず、数回来院した後、失望して来なくなった。
オーソモレキュラー栄養療法は、万能ではない。メガビタミンをいれても、糖質制限をしても、高タンパク食をしても、効かない人には効かない。「打率10割。どんな患者でも治します」なんて栄養療法実践医は、いないんじゃないかな。
強迫性障害の背景に腸内でのバイオフィルム形成があって、そのせいでどんな栄養素をいれても効かなかったのではないか?まず行うべきは、バイオフィルムを意識した治療プログラムではなかったか?
去って行った患者は僕の心に苦みを残していくが、「次同じような主訴の患者が来たときには、今度こそ」の教訓もくれる。
結局、苦い経験を次に生かしていくしかないんだよね。