これを見てわかるように、ベンゾジアゼピン系はかなり危険なドラッグである。
どこの病院でも普通に処方されているが、一度ハマってしまうとなかなかやめられない。医者はこの薬を初めて患者に処方するときは、そのリスクをきちんと説明するべきだ(もっとも、起こり得る副作用を知れば、ほとんどの患者がベンゾの服用を拒否するだろうけど)。

ベンゾの種類(抗不安薬か睡眠薬か、長時間作用型か短時間作用型か)、量、服用の頻度によって、体への影響は異なるが、だいたい2週間ほどの連用で依存性が形成される。短時間作用型ほど依存性が強い。
依存性だけでなく耐性も形成されるから、最初はよく効いてもだんだん効かなくなる。同じ効果を得るには量を増やすことになって、ますますハマっていく。
「やばい。私、この薬なしでは生きていけなくなってる」
患者がそう気付いて、意を決して薬を一気に断とうものなら、恐ろしい副作用に襲われることになる。
寝れなくなるのは当然として、イライラしたかと思えば不安や緊張を感じたり、ときにはパニック発作が出るなど、心は平静を保てない。物事に集中することができず、記憶力も低下して、仕事なんてとてもできない。
ぐちゃぐちゃになるのは精神面だけではなくて、体も大変なことになる。
冷や汗が吹き出て、動悸と頭痛に悩まされ、体のあちこちの筋肉が痛くなる。吐き気がして食事がとれず、げっそりと痩せる。

安易にベンゾを処方する精神科医もひどいが、肩こりにデパスを処方する整形外科の先生とかもいる。デパスにハマった後、薬をやめようとする患者がどれほどの地獄を見ることか。ベンゾの安易な処方は、ほとんど犯罪的じゃないかな。

ベンゾの処方について、諸外国では処方期間に上限があるなど、危険性が認識されているが、日本は基本的に野放し。十年以上飲み続けている人なんかもざらにいる。
副作用が不快で、何とかこの薬をやめようとして、当院に来られる患者もいる。
こういう治療経験を通じて、ベンゾのやめにくさは僕にも身にしみてわかっている。
食生活の改善指導は当然として、文献を参考にいろんなサプリやハーブを使ったり、あの手この手でベンゾの離脱症状にアプローチした。効果のあるものもあれば、ないものもあった。
そういう試行錯誤を経て、方法論としてある程度形になってきた。

たとえばベンゾをやめたい患者には、まずマグネシウムを勧めたい。こんな論文がある。
『薬物乱用および薬物依存におけるマグネシウム』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507260/
「物質の常用癖はひとつの精神障害だと考えられている。マグネシウムはアヘン製剤や精神刺激薬(コカイン、アンフェタミン、ニコチンなど)への依存強度を軽減する。また、マグネシウムは動物実験において、モルヒネ、コカイン、その他依存性物質への依存を減少させるのみならず、コカインの自己投与を減少させ、コカインやアンフェタミン摂取の再発率を減少させることが示されている。ヘロイン依存症者、アルコール依存症者、その他薬物依存症者では、血中および細胞内のマグネシウム濃度が健常被験者と比較して低下している。
マグネシウムが強度の依存性物質の使用を減少させる機序のひとつは、マグネシウムが報酬系を適度に刺激することによると我々は考えている。しかし、マグネシウムの作用機序は他にもいくつかあって、脳内のシナプス前終末でのドーパミンやグルタミン酸の減少、NOシンターゼ(一酸化窒素合成酵素)活性の減少、GABA作動性神経の賦活化、シナプス後NMDA受容体活性の減少、カルシウムイオンあるいはカルシウムチャンネルへの作用により放出される神経伝達物質の減少といった機序が考えられる。
離脱症状の出現後にマグネシウムイオンを投与すると、離脱による臨床症状の程度が軽減する。ストレスによって依存性物質への依存が発生しやすくなるし、ヘロイン依存症者においては、ストレスによりドラッグフリータイム(クスリをキメていない時間)が減少し、再摂取率が増加することが示されている。
ストレスはカテコラミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなど)放出を増加させ、体外へのマグネシウム喪失を促進する。こうして体内のマグネシウム濃度が減少することが、依存性薬物を再び使ってしまう一つの重要な原因である。」

マグネシウムがいいといっても、摂り方が重要だ。マグミット(酸化マグネシウム)を飲んでも吸収がイマイチで、「下痢するだけ」ということにもなりかねない。
個人的には、吸収性のいい液体のマグネシウムを勧めている。


ただし、これ、ビックリするぐらいまずいです^^;
塩化マグネシウムだから、意味合いとしては要するに、にがりと近い。
マグネシウムはケイ素と協調して働くから、同時にケイ素水も勧める。

さらに、グリシンがよく効く人もいる。これについては次回に書こう。