古代インドの神話。
人間が悪に堕落したことを危惧して、自然界(動物界、植物界、鉱物界)の神々が会合の場を持った。
動物界を代表して、クマが言った。「世界から悪をできるだけ減らそう。そのためには、悪の根源である人間の寿命を縮めるべきだ。人間が長生きしては、自然界が破壊されてしまう」
どうやって人間の寿命を縮めるつもりなんだい?
「病気にかかるようにすればいい」
植物界、鉱物界の神々は、動物界の強硬な意見にしぶしぶ同意したが、植物界は人間のことを哀れんだ。
植物界の代表はタバコだった。「気の毒なことだ。もうすぐ人間たちは病気に苦しむようになる。その苦しみを、少しでもやわらげてやりたい」そう思ったタバコは、他の神々に大きな声で言った。「私が聖なるハーブになって、人間がかつての聖なる生活を取り戻せるように、手助けしようと思う」
タバコは、植物界の代表として、様々な植物たちに、ハーブとして人間の苦痛をやわらげてやるよう指示した。
鉱物界の神々も、クマの提言を聞いて、人間を哀れに思っていた。彼らも人間の病苦を癒してやりたいと思った。
鉱物界の代表はクォーツ(石英)だった。「しかし、自分は石。どうやって人間の助けになれるだろうか」
クォーツとタバコは非常に仲がよかったことから、この2人の神は語り合った。
ふと、クォーツが腕を伸ばしてタバコを抱いた。「兄弟よ。君が聖なるハーブになるというのなら、私は聖なる鉱物になろう」

神話は字義通りに解釈するべきものというよりは、何らかの比喩であることがしばしばあるものである。
クォーツとタバコが抱き合うというのは、一体何の比喩だろうか。クォーツがタバコを「兄弟」と呼ぶのはなぜか。
現代科学が、この問題に答えを与える。

タバコは、ミネラル成分として、非常に高濃度のケイ素を含んでいる。ケイ素はクォーツの別名と思ってもらえればいい。
植物のなかには土壌中のケイ素を大量に吸収して蓄えるものがある。タバコ(葉)、スギナ(葉)、キュウリ(実)、サルサパリラ(根)、甘草(根)、エキナセア(全草)、穀物などが有名だ。
なかでもタバコ葉のケイ素含有量は植物のなかでもトップクラスだ。
葉にフィトリス(phytoliths)と呼ばれる小顆粒があって、そのなかにケイ素がぎっしり埋め込まれている。

そう、タバコとクォーツ(ケイ素)が抱き合ったということは、タバコが土壌中のケイ素を吸収して内部に取り込み、植物界の神、鉱物界の神、両者が人間の病苦を癒やすためにこの世に顕現したということだ。
古代インドの神話は、現代科学の目から見ても充分に正しかったということだ。

ケイ素は、骨、皮膚、髪の構成要素であることはもちろん、精神への影響も大きい。
飲み水、食品など、ケイ素の摂取量が多い人ほど、認知機能が高く、アルツハイマー病を発症しにくいことがわかっている。
https://academic.oup.com/ajcn/article/81/4/897/4649100
これは2005年の研究だが、すでにこの30年前にEdith Carlyleが著書”Silicon Biochemistry”のなかで、「脳は、事実上、ケイ素でできている」と述べている。
脳は体の他のどの部位よりも、ケイ素の取り込みが多い。特に、海馬、尾状核、レンズ核で濃度が高かった。
記憶を司る海馬でケイ素の濃度が高いことは、非常に興味深いことではないか。
ケイ素の摂取量の減少がアルツハイマー病の発症率の増加につながることと関連しているに違いない。
ここから類推すれば、タールなどの添加物を含まない純粋なタバコ葉を吸っている人では、ケイ素が多く供給されるため、認知症の発症率が低いと考えられる。
さらに、認知症患者では、脳内のアルミ濃度がケイ素濃度より高い。アルミが蓄積すると、ケイ素を押し出してしまうことがわかっている。

必然か偶然か、ケイ素はコンピューターの半導体メモリーに欠かせない。
人間の記憶にもPCの記憶にもケイ素が関わっているというのは、妙に不思議な一致じゃないか。

PC、ケータイなど各種デバイスには、必ず半導体が、つまりケイ素が使われている。つまり、ケイ素は現代文明を根底から支える元素であり、そういう意味で我々の周りにはケイ素があふれているが、我々の食事からはケイ素がどんどん減っている。
精製した穀物はケイ素を豊富に含むヌカやフスマの部分を捨ててしまうし、現代の農地からは土壌中のケイ素がますます減少している。

ケイ素が不足しがちな現代人だが、食品やサプリを使ってケイ素をしっかり摂取してみるといい。
そうすれば、奇跡が起こる。どんな奇跡かって?
タバコを吸いたい欲求が、魔法のように消えるはずだ。
ケイ素こそ、魔法のミネラルと呼ぶにふさわしい。
次回以降、ケイ素がどのように著効するか、その具体例を見ていこう。