コロナウイルス対策として、ティーツリーオイルが有効、というのをネット上で見かけた。
ティーツリーオイルはその抗菌力で有名で、以前のブログで、歯周病に有効なエッセンシャルオイルのひとつとして紹介したことがある。

基本的に、ウイルスと細菌は別物である。
どちらも病原微生物という点では共通している(そもそもウイルスは「生物」なのか、という問題は置くとして)。
しかし、サイズが全然違う。ウイルスはナノ(10の-9乗)レベル、細菌はマイクロ(10の-6乗)レベルの世界に住んでいる。ざっと、千倍違う。
身長が1メートルの人間はあり得ても、1000メートルの人間はあり得ない。サイズが千倍違うのだから、生物としての特性、繁殖機構、病原性の発症機転なども違うはず、というのが自然な推論である。
ところが一般の病院では、単なる風邪(ライノウイルスなどによる感染症)に対して抗生剤を使う医者がたくさんいる。抗生剤は、細菌に対して殺菌作用なり静菌作用なりがあり得ても、ウイルスに対しては効果がない。
効果がないどころか、抗生剤によって腸内細菌が壊滅的な打撃を受け、体調を一層くずすことになるだろう。患者は、風邪の病勢が悪化したのだと考える。まさか、医者からもらった薬のせいで体調が悪化したとは思わない。実に、無知は幸せである。こんなデタラメを知ってしまったら、医者に腹が立って、心穏やかではいられないだろうから^^;

こんな具合に、細菌とウイルスは別物だから、ティーツリーオイルがウイルスにも効くという情報を見たときに、意外な感じがしたんだな。本当に根拠があるのかな、と思い、論文を調べてみた。
『メラレウカ・アルテニフォリア(ティーツリー)オイルのインフルエンザウイルス(A/PR/8型)に対する活性~その作用機序の研究』
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166354210008120
「我々の以前の研究で、メラレウカ・アルテニフォリア(ティーツリー)オイルには、MDCK細胞内のインフルエンザA型に対して抗ウイルス活性があることを示した(MDCK細胞というのは、イヌの腎臓からとった細胞で、こういう研究でよく用いられる)。
具体的には、ティーツリーオイル(およびその構成成分)は、細胞毒性を持つ用量よりも少ない用量の投与で、インフルエンザウイルスの増殖・複製を抑制する効果があることを、我々は確認した。成分としては、テルピン4オール、テルピノレン、アルファ・テルピネオールが主要な活性成分であった。
本研究の目的は、MDCK細胞内でインフルエンザウイルス(A/PR/8型)H1N1型に対してティーツリーオイル(およびその成分)が、どのような作用機序で効果を発揮しているのかを調べることである。
【結果】どの成分にも、殺ウイルス活性やMDCK細胞の保護作用は見られなかった。ウイルス複製のどの段階にティーツリーオイルおよびその活性成分が効いているのかを調べるために、細胞にウイルスを感染させて以後様々な時間差をおいてからティーツリーオイルを投与した。すると、ウイルス複製が最も抑制されるのは、感染から2時間以内にティーツリーオイルが投与された場合であることがわかった。これは、ティーツリーオイルが、インフルエンザウイルスの複製サイクルの初期の段階に作用することで効果を発揮していることを示している。
ティーツリーオイルは、ウイルスのノイラミニダーゼ活性を抑制しているわけではなかった。このことは、4メチルウンベリフェロン(蛍光性基質の 2′-O-(4-メチルウンベリフェリル-N-アセチルノイラミン酸からウイルスのノイラミニダーゼによって切り出される)の量を測定することで示された。
細胞内リソソームの酸化に対してティーツリーオイルが及ぼす効果を、アクリジン・オレンジを使った生体染色で調べた。比較として、バフィロマイシンA1(マクロライド系抗菌薬)を使う対照群を設けた。
染色する前に、細胞を0.01%ティーツリーオイルで37℃で4時間処置すると、酸性の細胞質小胞にアクリジン・オレンジが蓄積するのが抑制された。これは、リソソームの酸化に干渉することでウイルスの脱殻が抑制されたことを示している」

ちょっと難しい内容だけど、要するに、「ティーツリーオイルはウイルスにも効く」ということです。
もう少し言葉を足すと、ティーツリーオイルは、ウイルス感染の初期段階(ウイルスが細胞内に寄生してどんどん増殖していく段階)に作用して、ウイルスの脱殻を防ぐことで増殖を抑制する、ということだ。
この研究で効果が示されたのは、あくまでインフルエンザウイルス(A/PR/8型)H1N1型に対してであって、他のウイルスに効くかどうかは不明だけども、ウイルスの増殖機構は基本的に共通しているから、一応の効果は期待できると思う。

では、さらに具体的に、ティーツリーオイルをどのように利用すればいいのだろう?
飲む、というのは、さすがにワイルドすぎると思う^^;「薬は毒で、毒は薬」。体にいいものも、大量投与ではかえって毒性が出たりするものだ。
マスクに何滴かつけるだけで、気道粘膜に侵入するウイルスに効果があるだろう。

また、これは当院でやっていることだけど、こんな具合にアロマディフューザーにティーツリーオイルを何滴か入れて拡散させる、という方法でも、いい感じに呼吸器を保護してくれるだろう。

コロナウイルスによるパンデミックは、これまでに前例がない。でも、前例がないからなす術がないかといったら、全然そんなことはない。医者に頼らず自分でやれることは何かとあるから、予防のためにやっておくといいよ。